小５理科「天気の変化」指導アイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小５理科「天気の変化」の板書例、教師の発問、想定される子どもの発言、１人１台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

執筆／福岡県大那珂川市立片縄小学校教諭・濵田愛子
監修／文部科学省教科調査官・有本淳
　　　福岡県那珂川市立安徳北小学校校長・白水隆暢
　　　福岡県那珂川市立南畑小学校教頭・大園亨

単元目標

雲の量や動きに着目して、それらと天気の変化とを関係付けて、天気の変化の仕方を調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を育成することがねらいである。

評価規準

知識・技能

①天気の変化は雲の量や動きと関係があることを理解している。
②天気の変化は映像などの気象情報を用いて予想できることを理解している。
③天気の変化の仕方について、観察、実験などの目的に応じて、器具や機器などを選択して、正しく扱いながら調べ、得られた結果を適切に記録している。

思考・判断・表現

①天気の変化について、問題を見いだし、予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するなどして問題解決している。
②天気の変化について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現している。

主体的に学習に取り組む態度

①天気の変化についての事物・現象に進んで関わり、粘り強く、他者と関わりながら問題解決しようとしている。
②天気の変化について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。

評価計画

総時数 ９時間

第１次　雲の様子と天気の変化との関係について調べる。

１　空の写真を比較し、雲の様子と天気の変化について問題を見いだす。

思考・判断・表現①
天気の変化について、問題を見いだし、予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

２～４　雲の様子を数日観察し、雲の様子と天気の変化との関係について調べる。

知識・技能①
天気の変化は雲の量や動きと関係があることを理解している。〈発言分析・記述分析〉

知識・技能③
天気の変化の仕方について、観察、実験などの目的に応じて、器具や機器などを選択して、正しく扱いながら調べ、得られた結果を適切に記録している。〈行動観察・記録分析〉

思考・判断・表現①
天気の変化について、問題を見いだし、予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

５　いろいろな雲の種類について、インターネットや本などで調べる。

主体的に取り組む態度①
天気の変化についての事物・現象に進んで関わり、粘り強く、他者と関わりながら問題解決しようとしている。〈発言分析・記述分析〉

第２次　天気の変化の仕方について調べる。

６　天気の変化の仕方について問題を見いだし、天気の変化のきまりについて調べる方法を話し合う。（授業の詳細①）

思考・判断・表現①
天気の変化について、問題を見いだし、予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

７　気象情報を用いて、天気の変化の仕方について調べる。（授業の詳細②）

知識・技能②
天気の変化は映像などの気象情報を用いて予想できることを理解している。〈発言分析・記述分析〉

思考・判断・表現②
天気の変化について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現している。〈発言分析・記述分析〉

８　学んだことをもとに、次の日の天気を予想する。

主体的に学習に取り組む態度②
天気の変化について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉

９　学習のまとめをする。

主体的に学習に取り組む態度②
天気の変化について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉

授業の詳細①

第２次　天気の変化の仕方について調べる。

６　天気の変化の仕方について問題を見いだし、天気の変化のきまりについて調べる方法を話し合う。

天気の変化の仕方について問題を見いだし、予想や仮説を基に解決の方法を発想することができる。

①問題を見いだす【自然事象との出合い】

天気予報をもとに、なぜ天気が予想できるのか話し合い、問題を見いだす。

　
自分の住んでいる地域や全国の天気予報のニュース動画を提示し、なぜ数日後の天気が予想できるのかを子どもに投げかけましょう。第１次での「天気は雲の量や動きによって変化する」ことを想起できるようにし、「雲の動きには、何かきまりがあるのではないか」という意識から問題につないでいくとよいでしょう。

天気の変化には、どのようなきまりがあるのだろうか。

②予想する

③解決方法を考える

天気の変化のきまりを調べるためには、過去の天気を調べて、そのきまりを見付けていきます。気象情報には、「気象衛星からの雲画像」と「アメダスの情報」があります。子どもの実態に応じて、それぞれの情報が何を示しているのかを捉えることができるように説明するとよいでしょう。

●日本の気象衛星「ひまわり」
宇宙に打ち上げた人工衛星で、宇宙から観測した雲画像だけでなく、陸や海の温度、空気中の水蒸気の広がりなど、さまざまな観測を行い、より正確な天気予報に生かしています。
●アメダス（地域気象観測システム）
無人の観測所で自動的に気象観測を行い、気象庁が集計しています。全国に約1300箇所あり、降水量や気温、風向、風速などを観測しています。

授業の詳細②

７　気象情報を用いて、天気の変化の仕方について調べる。

天気の変化の仕方について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現することができる。また、気象情報を用いて予想できることを理解することができる。

④観察・実験をする

インターネットなどで調べた４日分の雲画像、アメダスの雨量情報などの気象情報をもとに、日付順に並べて、どんなきまりがあるかを調べる。

　
４〜５日分の気象情報を集める必要があります。その際、天気の変化が見られた数日間を取りあげることで、天気の変化のきまりに気づくことができます。また、気象情報を収集できるホームページには以下のようなものがあります。
●日本気象協会
●気象庁
●国土交通省防災情報提供センター

インターネットを使って調べ学習をする際、情報量が多いため、どのホームページを使うか、どこから雲画像や雨量情報を開くかなどの操作の仕方について、はじめに説明する必要があります。子どもの実態に合わせて、グループで分担して調べるとよいでしょう。

　
インターネットから気象情報を集め、天気を調べる際、いくつかの都道府県について調べることで、天気が西から東へと変化していくことが理解できます。気象衛星からの雲画像などは、都道府県名が記載されていないため、調べ方を説明する際に教師が例示するシートに、いくつかの都道府県の位置に点を打つなどして、場所がわかるようにしておくとよいでしょう。さらに、方位がわかるよう、画像に「東西南北」と記入するとよいでしょう。

⑤結果の処理

　〈結果を整理する〉
ICT端末によって、インターネットで調べた雲画像や雨量情報、各地の天気などの気象情報を簡単に整理することができます。その際、縦は日付順、横は雲画像・雨量情報・天気が整理されたシートを貼付することで、子ども自身が天気の変化のきまりに気づくことができるでしょう。

調べた結果はシートに整理しますが、そこから考察への考えがつながりにくいことが考えられます。ノートやタブレットの別シートに結果から気づいたことを記入することで、考察につなげることができます。

⑥結果を基に考察する

〈事実を捉える〉
ホームページによっては、雲画像や雨量情報などが時間経過で変化していく様子を動画で確認することができるため、結論を出す前に確認するとよいでしょう。また、調べ学習の際に使用してもよいでしょう。 　　

⑦結論を出す

雲が西から東の方へ動いていくので、天気もおよそ西から東へ変わっていくきまりがある。

⑧振り返る

「明日の天気を予想するときには」といった、実生活につながる発問を投げかけることによって、天気の変化は気象情報を用いて予想できることが再確認でき、知識の獲得につながります。また次時からの、次の日の天気を予想する活動を通して、獲得した知識を生かすことができることで深い学びにつながります。

イラスト／難波孝