【相談募集中】特別支援教育支援員の仕事の範疇とは?

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特別支援教育支援員を7年続けている先生からの相談が「みん教相談室」に届きました。同僚との仕事内容の捉え方のギャップにモヤモヤしているようです。ここでは、東京都特別支援学級介助員の鈴木麻衣さんからのアドバイスをお届けします。

困り顔の女性
イラストAC

Q.同僚がドリルの丸付けをしたり宿題をしている児童に教えたりしているが、それは担任の仕事ではないのでしょうか

特別支援教育支援員を7年しています。今までは楽しくやりがいを感じていましたが、今年度他校で勤務していた支援員さんと一緒に仕事をし始めてから、特別支援教育支援員の仕事って何なのか悩むようになりました。

その支援員さんは、宿題やドリルの丸付けを買って出て丸付けしたり、放課後に残って宿題をしている児童に教えたりしているのです。教室でも、通常学級の子であっても国語や算数が分からない子が気になるようで、ミニワークを作ったり、テストにヒントを書いたりしています。私は上記のことは担任の仕事だと思っているのですが、私の考え方が間違っているのかと思ってしまいます。

そんなとき、事情は省きますが校長から児童の授業中の挙手・挙手後の発言の回数を記録するように言われたのですが、これも特別支援教育支援員の仕事とは思えません。

仕事内容について相談したいのに、校長からこんなことを言われてしまうとは……。この先どう振る舞えばいいのか、とても悩んでいます。

深く考えすぎでしょうか? 丸付けや挙手チェックをしても構わないのでしょうか?

(ファニー先生・30代女性)

A.大切なのはどちらが正しいかということではなく、今勤めている学校や先生方のニーズにどうマッチさせるかです

ファニーさん、はじめまして。

私も特別支援学級で介助員(支援員)として5年程働いています。

一緒に働いている特別支援員の方との考え方に、大きな相違があるとのことですね。同じ学校で同じ職種に就く仲間に対して、働き方の一貫性や調和をとりたいと感じるファニーさんのお考えは、とても自然なものだと思います。まるで自分のやり方を否定されているように感じてモヤモヤされているお気持ちが、文章を通して伝わってきます。毎日本当にお疲れ様です。

特別支援員や介助員の仕事の範囲については、私もよく考えます。配属される学校や教員の先生によって求められる仕事も違うため、サポート役として軌道修正が常に必要な点が私たちの仕事の難しいところですね。

ファニーさんともう一人の支援員さん(以下Aさんとします)は、同じ先生の授業をお手伝いされているのでしょうか。

私がファニーさんの立場なら、授業を担当している現場の先生に「私もAさんと同じように、学習面でのお手伝いをした方が良いでしょうか?」と率直に尋ねてみると思います。その際は感情的にならず、Aさんへの愚痴にならないよう注意しながら、「プリントの丸付けはどうか」「ミニワークの作成はどうか」と具体的に確認します。その結果、もし「そうしてくれると助かる」とのお答えであれば、子どもの学校生活を豊かにするため、また一緒に働いている先生方を少しでも手助けするために、仕事の内容を少しだけ拡大してみるのも良いかもしれません。

一方で、もし現場の先生もAさんのやり方について行きすぎだと感じているのであれば、Aさんの尽力の仕方は裏目に出てしまっているということになりますね。これをファニーさんの立場からAさんに伝えるのはとても難しく、悩ましいことだと思いますが、管理職の先生もご多忙とのこと。

たとえば前述の先生への質問内容を、Aさんに雑談の一環として明るく伝えて様子をみてみるのはいかがでしょうか。

「このあいだ先生に、プリントの丸付けをしましょうかと聞いたら『それは別の人の仕事だからやらなくてよい。特別支援員さんには子どもの安全管理に注力してほしい』とお願いされたんですよ~」と、私ならこんな調子でお話しします。

ポイントは、主語を”Aさん”ではなく、”ファニーさん”にすることです。なぜなら、主語を”あなたが”にして指摘をしてしまうと、相手によってはムッとする気持ちが先に立ち、話の本質を考える余裕を失ってしまうことがあるからです。フラットな同僚の立場であればなおさらですね。ここはあえて相手の顔を立て、「私が上司に言われたアドバイスを、仲間のあなたにもお伝えしておくね」というニュアンスにすると、相手に優しく伝わります。

さらに、それを会話の糸口として「前の学校の先生からは、どんな仕事を求められていましたか?」と話を広げることができれば理想的です。Aさんも前任校での経験に基づき、なにかしらの考えをもって今の働き方をされているのだろうと推察します。そこにねぎらいの言葉をかけたうえで、「この学校での特別支援員は、こんなことを求められているのでは?」とファニーさんの考えを自然な流れで伝えることができれば、お二人の働き方がほんの少しでも近づくきっかけとなるのではないでしょうか。

大切なのはファニーさんかAさんのどちらが正しいかということではなく、今勤めている学校や先生方のニーズにどうマッチさせるかだと思います。これからもお互いにがんばりましょうね。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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