小5特別活動「6年生に感謝の気持ちを伝える会をしよう」指導アイデア
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前文部科学省視学官監修による、小5特別活動の指導アイデアです。2月は、<学級活動⑴「6年生に感謝の気持ちを伝える会をしよう」>を紹介します。
学級の枠を越えて児童会との関連を図り、学級会を展開することで、高学年としてのチームワークや実践力、進級に向けての意欲を高めることを目指します。
執筆/滋賀県公立小学校教諭・永尾皓司
監修/前文部科学省視学官 帝京大学教育学部教授・安部恭子
滋賀県特別活動部会顧問 元滋賀県公立小学校校長・鈴木靖彦
目次
年間執筆計画
4月 学級活動⑴ 5年〇組の係を決めよう
5月 学級活動⑴ 学級の歌をつくろう
6月 学級活動⑵ ウ 地震のときの正しい行動の仕方
7月 学級活動⑴ 1学期がんばった会をしよう
9月 学級活動⑵ イ 互いのよさの認識
10月 学級活動⑴ 5年〇組の運動会のめあてを決めよう
11月 学級活動⑶ ウ 目指す自分になるための自主学習
12月 学級活動⑴ 来年の1年生と交流会をしよう
1月 学級活動⑶ ア 最高学年に向けて
2月 学級活動⑴ 6年生に感謝の気持ちを伝える会をしよう
3月 学級活動⑴ 5年〇組の一年を振り返る会をしよう
1.1月の学級活動⑶「最高学年に向けて」との関連
2月になると、学校では卒業式に向けて準備が始まります。多くの学校ではその1つとして5年生が主体となって、「6年生を送る会」や「6年生を送る週間」などを計画すると思います。児童会の代表委員会からの提案があり、学年の出し物の工夫や役割等について各クラスで話し合い、下学年の子供たちみんなで心を込めて準備していきます。5年生の子供たちにとっては、6年生に替わって学校のリーダーを引き継いでいく大切な時期でもあります。
前回の学級活動⑶アの題材「最高学年に向けて」で、6年生になることを楽しみにしながらも、少し不安があった5年〇組の子供たちが、最高学年になるために6年生からアドバイスをもらい、一人一人が将来に向けて実現できそうな努力目標を意思決定するとともに、これまでお世話になった6年生に感謝の思いをもつ実践例を紹介しました。今回はその続きとなるもので、学級活動⑴の「6年生に感謝の気持ちを伝える会をしよう」を紹介します。
2.本時のねらい
ここで紹介する学校では、「6年生を送る会」で6年生が体育館から退場した後、1年生から順番に各学年の廊下を歩き、全校から6年生に祝福や感謝の言葉をかけます。その最後にたて割り学級の5年生の教室を訪れ、20分の限られた時間ですが、児童会の提案を受けて、5年生の各学級が工夫したミニ集会をします。共同のテーマはありますが、内容は5年生各学級で話し合ったことを実践します。学級の枠を越えて児童会との関連をはかり、学級会を展開することで、高学年としてのチームワークや実践力、進級に向けての意欲を高めることをねらいとします。
3.事前の活動
今号の学級活動⑴は、児童会代表委員会からの提案を受けて学級としての取組を話し合って決める「ウ 学校における多様な集団の生活の向上」にあたります。
代表委員会からの提案を受ける場合でも、学級全体にはかることなく議題にするのではなく、代表委員会に出席した子供たちから朝の会や帰りの会の時間などを使って、会議で決まった学級の役割や活動の範囲などを伝えます。代表委員の子供が内容を説明した上で、議題案として議題箱に提案カードを入れることも考えられます。教師からは、前回の学級活動⑶の学習を振り返って一人一人の子供たちが、自分事として捉えて話合いに臨めるようにすると効果的です。
![代表委員会に出た子供から提案を学級に伝える様子](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/f6dda5ec80e5e20a1972156382d4ebc7.jpg)
【資料1】提案カード
![提案カード 記入例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/69c7fe2e6299a43781eeb25df92ecb3f.jpg)
⑴ 議題を選定する
●計画委員会
議題箱には先週代表委員さんがみんなに伝えてくれた6年生を送る会でのありがとうパレードの後に行う「6年生に感謝の気持ちを伝える会」でどんなことをしたらよいかについて、5年〇組で話し合うことが入っているね。
他にも「係活動発表会」もあるよ。
「6年生を送る会」は3月のはじめなので、準備の時間を考えると、少し早めに話し合わないといけないね。
それじゃあ、代表委員さんからの「6年生に感謝の気持ちを伝える会」についての議題を先に話し合ってもよいか、今日の帰りの会でみんなに聞いてみたらどうでしょう。
そうですね。みんなには早めに進めたい理由を伝えて、次の学級会の議題にするとよいですね。
![帰りの会の様子](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/08896bb593cfc2ec5cc2446a6e3b40c0.jpg)
⑵ 計画委員会で学級会の準備をする(学級会の前日までに)
①提案理由を考える
提案理由は、学級会を行う上で、話合いの拠り所となる最も大切な部分です。今回は代表委員会からおりてきた議題ですが、提案者の思いを大切にしながら、教師も司会グループと一緒に話し合います。
<提案理由 例>
6年生は今まで学校のリーダーとしていろいろなことを頑張ってくれて、とてもお世話になりました。だから「6年生を送る会」の後に行う「感謝の気持ちを伝える会」では、5年〇組から精いっぱいの感謝を伝えて喜んでもらいたいです。そして、6年生には私たちが力を合わせて頑張る姿を見てもらって、安心して5年生にバトンを渡す気持ちになって卒業してほしいと思って提案しました。
②話し合うことや決まっていることの確認する
話し合うことは、大きく①何をするか②どのようにするか③必要な役割と役割分担の3つです。低学年では、①「何をするか」が中心になりますが、高学年では②「どのようにするか」といった「工夫」に重点を置いて話し合うようにします。そのうえで教師と司会グループで時間配分を考えます。決まったことは役割毎に「学級会計画カード」に必要なことを記入しておくとよいでしょう。
【資料2】ICT端末の活用例
![学級会の計画 記入例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/39c8a0745e9d3a0baa35031455d70530.jpg)
【資料3】学級会ノート
![学級会ノート 記入例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/b781986b0560c3a2972f05ec3437bff3.jpg)
③司会グループで学級会のリハーサルをする
提案理由が決まったら、学級会までに教師も一緒に、司会や黒板記録などの役割分担、板書の計画などをして、短時間でも司会グループで学級会本番を想定したリハーサルをしておくと、司会グループも安心して学級会に臨めます。
4.本時の展開<議題「6年生に感謝の気持ちを伝える会をしよう」>
![板書例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/be9f04c365bbc39c55006348e2059ea6.jpg)
何のために話し合うのかを学級全体で共有するために、話合いを始める前に「先生の話」を短時間で行うこともよいでしょう。その際、今回の提案理由の中にキーワードとなる言葉を準備しておき、学級全体で共有してから話合いを行うようにします。「今回は「感謝の気持ちを伝える」をキーワードにしています。
話し合うこと①「どんなことをするか」
<出し合う>
「出し合う」は、子供たちがそれぞれに考えてきた意見を発表する時間です。事前に教師が子供たちの学級会ファイルを集めておき、「提案理由」に沿って理由を考えられるように一言添えたり、話合いが活発になるであろうと思われる意見や理由が書かれていれば、励ましの言葉を添えたりしておくとよいでしょう。
(司会)まず、「6年生に感謝の気持ちを伝える会」で、どんなことをするかについて話合いをします。会の時間は20分間なので、その時間でできることを考えて意見を言ってください。
私は、メッセージカードを渡すのがいいと思います。わけは、たて割り活動や学校行事のリーダーとしてお世話になった6年生に、お祝いの気持ちを込めて書いたメッセージを渡したら6年生も後を私たちに任せて安心して卒業してもらえると思うからです。
私は、1人ずつ感謝の言葉を伝えるがいいと思います。1年間、6年生と協力して委員会やクラブに取り組んできたので、バトンを受け取る意味でもいいと思うからです。
ぼくは、くす玉がいいと思います。中に入っている紙に「卒業おめでとう」や「ありがとう」と書くと6年生に感謝の気持ちが伝わるし、喜んでくれると思うからです。
ぼくは、気持ちを伝える6年間の思い出場面の劇を作って見てもらえばいいと思います。理由は、懐かしくて、きっと喜んでもらえると思うからです。
私は動画を作って見てもらうのがいいと思います。20分間と短い時間なので、動画にしておくと時間を守れるし、休んでいる人がいても後で見てもらうことができるからです。
<くらべ合う>
「くらべ合う」の段階は、「出し合う」段階で子供たちから出された意見について、「賛成」「反対」を、理由を付けて発表します。ここでは、これまで出てきた意見の中で、どれが提案理由に合っているものなのかを子供たちが考え、意見を言います。どの意見にもあるよさを見付けつつ、改善が必要な個所や課題などを出し合って、建設的な話合いになるようにします。教師は話合いの状況を見て適切なタイミングで助言しましょう。
(司会)では、これから「くらべ合う」に入ります。出てきた意見に対してよいと思うところや、変えたほうがよいという意見はありませんか。
ぼくは、くす玉に賛成です。理由は、お祝いする気持ちを表すときに作られるもので、感謝の気持ちが伝わると思ったからです。
私はくす玉に賛成ですが、心配なこともあります。6年生と過ごす20分間はくす玉だけだとすぐに終わるので、何か他の事と合わせたほうがいいと思います。
私は、動画がいいと思います。ありがとうの気持ちや6年生に教えてもらったことを直接伝えるのは恥ずかしいけれど、動画ならできそうだからです。それに、6年生に5年生の教室にいてもらえる時間は20分なので、動画なら時間通りにできるからです。
私は動画もいいと思うけれど、教室に6年生がいてもらえるので、できるだけ直接気持ちを伝えたいから、感謝の気持ちを伝える劇がいいと思います。
ぼくはメッセージカードに反対します。感謝の気持ちを書いたものを渡すだけで終わってしまうことが残念なので、会の中で自分の言葉で伝えることに賛成します。
だったら、一人一人が6年生にメッセージカードを渡しながら、感謝の気持ちを伝えたらよいのではないかと思います。
いろいろな意見が出ていますが、少数意見のよさも生かしながら、提案理由のキーワードに沿って20分間でみんなの願いが伝わる方法を考えましょう。
では、くす玉の中にメッセージ入れて、その場で読んでもらえるようにすればどうですか。私は、ありがとうだけではなく、中学校に向けての応援やバトンを受け取る私たちの気持ちも書くといいと思います。
ぼくもくす玉に賛成します。メッセージカードや他に出ていた意見も合わせて、工夫してくす玉に入れるといいと思います。
(司会)いろいろな意見が出ています。では、そろそろ何をするかについて、まとめたいと思いますが、いいですか。
いいと思います。
<まとめる>
「まとめる」の時間は、「くらべ合う」の時間に出てきた「賛成」「反対」の理由を基にして、提案理由に基づいた意見としてどれがよいのかを考えます。「賛成」意見が多いからと言って安易に多数決で決めず、「反対」や「不安・心配」の意見の理由にも耳を傾けます。どうすればよりよくなるかを考えたり、意見のよいところを合わせて、さらによいものになるように考えたりすることが大切です。
(司会)これまで出てきた意見をまとめてみると、会の中ですることは、くす玉を作って6年生に割ってもらい、その中に感謝の気持ちを示すカードを入れるという意見は決めていいですか。
いいと思います。
(司会)ではくす玉はすることにします。その中に入れるものは、いろいろな意見があるので、話し合うこと②の工夫することで話し合います。そのほかに20分の中で感謝の気持ちを伝えることはありますか。
私は、動画をつくる意見がありましたが、動画ではなく直接6年生に気持ちを伝える方がいいと思います。でも動画もつくっておけば、両方の学年でその日にお休みをしている人がいても気持ちを伝えたり、それを見てもらえたりできるので、動画をプレゼントしてはどうでしょうか。どのような中身にするのかはもう少し話し合って決めるといいと思います。
動画をつくってプレゼントするに、私も賛成します。6年生への感謝だけでなく、6年生に教えてもらったことやこれから大切にしていくことなど、先月の学級活動で話し合った私たちが6年生に向けて一人一人が決めた目標を入れたメッセージの動画を見てもらうのはどうでしょうか。
私も動画づくりに賛成ですが、準備に時間がかかるので、作るものはくす玉と動画の2つにしたほうがよいものになると思います。
(司会)では、「6年生に感謝の気持ちを伝える会」では、1人ずつ感謝の言葉を伝えて、くす玉を割ってもらい、動画をプレゼントする。くす玉と動画の内容は次の話し合うこと②の工夫することで話し合いたいと思いますが、それでいいですか。
いいと思います。
話し合うこと②「感謝の気持ちが伝わる工夫」
<出し合う>
(司会)では、次にくす玉に入れるものと、動画内容の工夫について話し合います。役割やその分担は、後ほど、ICT端末で希望をとってまとめたいと思います。
ぼくは、くす玉の周りは折り紙を使ってきれいに飾り付けしたほうがいいと思います。見た目もきれいで、楽しんでもらえると思うからです。
私は、話し合うこと①でも出てきた、メッセージカードを入れてもいいと思います。6年生への感謝の気持ちを手紙で伝えたいと思ったからです。
私はくす玉から「卒業おめでとう」のお祝いの言葉が出てくると、喜んでもらえると思います。
ぼくは、動画は前に出ていたように、6年生がこれまで学校のリーダーとして頑張ってくれたこと、それに対する尊敬や感謝の気持ち、みんなが最高学年に向けて頑張っていることと、6年生への卒業のお祝いの言葉を録るといいと思います。
<くらべ合う>
私は、くす玉の中身に、お祝いの言葉や感謝の気持ちを書いたカードも入れることで、私たちの気持ちが伝わって喜んでもらえると思います。
ぼくも賛成です。くす玉の中にいろんなメッセージが書かれたカードがあると、気持ちも伝わるし、いいのではないでしょうか。
<まとめる>
(司会)では、くす玉の工夫については、中に卒業のお祝いの言葉やメッセージカードも入れて、折り紙できれいに飾るでいいですか。
いいと思います。
(司会)もう1つは会の中で簡単なカードを渡しながら直接感謝の気持ちや卒業を祝う気持ちを伝える、最高学年に向けて私たちが頑張っていることや、お祝いメッセージを動画にしてプレゼントすることでいいですか。
いいと思います。
●決まったことの確認
(司会)では、今日決まったことを記録の〇〇さんから伝えてもらいます。
●教師の話
(司会)最後に先生からのお話です。
学級会の最後の教師の話は、決まったことを実践につなげる意欲付けとともに、今回の話合いを振り返ります。その際には合意形成に向けて子供たちが力を合わせて、よりよい方法を考え、工夫した場面を取り上げて、例えば、「友達の意見をよく聞いて、もっとよくなるように工夫を付け加えて、みんなも納得できる提案になったのは素晴らしかったです」などのように話合いの中の具体的な場面を想起できるようにして伝えると、今後に生きてきます。また、提案理由やキーワードを意識した発言や、司会グループの学級会までの努力なども称賛するようにします。課題があった場合は、それを明確にし、次の話合いや実践で意識できるようにします。3学期で、学級会を積み重ねた時期であれば、子供たち自身に、何が課題だったかを問いかけてもよいでしょう。そして実践への意欲付けをはかる声掛けを必ず行いましょう。
5.事後の活動
⑴ 5年〇組の「6年生に感謝の気持ちを伝える会」を行う
教室には本番当日までのスケジュールを掲示し、それぞれの担当に分かれて、準備の進み具合を記入していくと、見通しをもって活動することができます。
![廊下でくす玉を割る様子](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/99198ba54cbfdbd5b82f4e78316e6dbe.jpg)
⑵ 活動の振り返り
「6年生を送る会」とフィナーレの感謝の気持ちを伝える会が終わりました。学級会の提案理由にあった「感謝の気持ちを伝える」と「安心してもらう」の2つのキーワードはできたでしょうか。
ぼくは、くす玉や言葉にたくさんのありがとうの気持ちを込めることができて、6年生がとっても嬉しそうだったので、やってよかったと思いました。
私はクラスのみんなが、6年生のような最高学年を目指して頑張っていくことを伝えると、6年生がそれを聞きながら、「頑張れよ」とか「あとは頼んだよ」と口々に言ってくれたので嬉しくなりました。
ぼくは、くす玉作りチームも、動画づくりチームもみんなで協力してできたので、5年〇組のチームワークが最高に高まったと思います。
キーワードを目指してみんなで話し合って、頑張れましたね。5年〇組も最高のチームになったと思います。ラストの1か月を最高学年目指してみんなで力を合わせていきましょう。
構成/浅原孝子 イラスト/高橋正輝
![安部恭子](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2023/02/a78e2d5e55fac2c0f3ac245cca5fc98f.jpg)
監修
安部 恭子
前文部科学省視学官 帝京大学教育学部教授
埼玉県さいたま市の小学校に勤務後、さいたま市教育委員会、さいたま市立小学校教頭勤務を経て、2015年より文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官、2022年より文部科学省初等中等教育局視学官を務める。
![楽しい学校をつくる特別活動
すべての教師に伝えたいこと カバー](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2023/02/d8d8ca309830cd08c6ec58d45a53fc16.jpg)
特別活動の魅力をすべての教師に伝える本!
楽しい学校をつくるには、具体的にどのようにすればよいか。コロナ禍の新しい学校生活様式を踏まえた小学校での特別活動の基本がよく分かります。特別活動を愛する3人による、子供たちとの学校生活を充実させるための「本質」が語られています。
著/安部恭子 著/平野 修 著/清水弘美
ISBN9784098402106