あなたは何点?今すぐチェックを!先生のワークライフバランス戦略

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小学校教員「働き方改革」特集:仕事効率化から学校改革アイデア紹介
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忙しい年度末でも平常時と変わらないペースで過ごせたら素敵だと思いませんか? 学校専門のワーク・ライフ・バランスコンサルタントに聞いた、学級づくりの締めくくりもゆとりをもって楽しく乗り切る方法をお伝えします。

執筆/先生の幸せ研究所代表&元小学校教員&学校専門ワーク・ライフ・バランスコンサルタント・澤田真由美

先生の仕事風景
撮影/浅原孝子

ワーク・ライフ・バランスチェックをしてみよう

まずは現在地を知ることから。4月からこれまでを振り返ってみましょう!

【先生のワーク・ライフ・バランスチェックリスト】

授業中にゆったりと子供たちを眺める時間が十分にある。

学年末に向けてクラスはいい状態だと思う。

1日出張しても学級はうまく回る見込みがある。

学級のほとんどの保護者は応援者だと感じる。

教室も職員室も居心地がいい。

帰る時間を朝から意識して守れている。

年度末も残業を増やさずに乗り切れそうだ。

仕事上でのチェンジやチャレンジには積極的な方だ。

家と学校以外の居場所サードプレイスがある。

私生活も含めて充実した1年間だった。

選んだ数
9~10 好循環の【ゆとり先生】
3~8 自分のことは後回し【仕事どっぷり先生】、このままでは心配【おつかれ先生】
0~2 危険信号【からから先生】

9~10 好循環の【ゆとり先生】の特徴

ワーク:毎日楽しい。理想の時間に退勤。必要な時は残業する柔軟さも兼ね備えている。
ライフ:学校と家以外に日常的にかかわる自分の居場所(習い事やサークルやボランティア)がある。ライフでの経験をワークに生かしている。

3~8 自分のことは後回し【仕事どっぷり先生】の特徴

ワーク:「子供のため」に私生活を投げ出しがち。趣味は仕事。無理しがち。
ライフ:時間ができたらやろうと思っていることが多い。

3~8 このままでは心配【おつかれ先生】の特徴

ワーク:目の前のことに追われている。帰りたい時間に帰れない。
ライフ:帰ったら寝るだけ。

0~2 危険信号【からから先生】の特徴

ワーク:トラブルやミス対応に追われている。授業準備がままならない。
ライフ:休日もよく出勤、あるいは家でぐったり。

ところで、ワーク・ライフ・バランスとは?

定時後のリフレッシュや自己研さんで心も体も満タンで出勤し、短い時間にギュッと質高く働いて颯爽と帰るという『好循環』の働き方・生き方のことです。

平日にリフレッシュできている先生の方が授業上のアイディアがよくわくということが分かっています(※1)。私生活で豊かな経験をした先生は、教室での子供への声掛けが変わったり、新しいアイディアがわいてくるようになったりします。本記事では年度末だからこそ、時間をうまく使って子供たちと充実した時間を過ごせる工夫をお伝えします。

※1 常葉大学・紅林伸幸教授

年度末のタイムマネジメント術

限られた時間をどう使うか、というのがタイムマネジメントで、例えるなら次のイラストです。

コップに大きな石が入ってる図

はみ出た部分は定時までに収まっていない仕事です。よく見ると石の間に隙間があるので、砕いて細かくして隙間に入れれば定時内に多くの仕事を入れることができます。

タイムマネジメント「徹底的に逆算」

成績通知表を例に考えてみましょう。成績表を渡す終業式の日付はかなり前から分かっています。この日から逆算してスケジュールに落とし込んだ例です。

3月22日 修了式
3月20日 清書やプリントアウトをする日
3月18日までに 評定を出す
3月15日までに 計算する
3月13日までに 丸付けをする
3月12日までに テストを実施する
3月11日 単元の最終指導を終える
3月1日までに 最終単元の指導開始
2月27日までに ひとつ前の単元の終了

こういったことを前もって計画して日付を週案に落とし込んでおきます。ここまでしておくと計画と比べて自分がどれくらい進んでいるのか遅れているのかが分かり安心です。「あと1か月あるから大丈夫」というどんぶり勘定で直前に焦り長時間残業ということもありません。

タイムマネジメント「細分化」

今度は学年便りを例に考えてみましょう。学年だより=1時間くらいかかる大きな石(仕事)ですが、五つぐらいの小石に分けることができます。

・昨年の同時期のものを見る
・粗く下書きをする
・学年の同僚に見せる
・修正と清書
・印刷

何日までに最低でもどこまでする必要があるのかを把握して進めれば、1時間丸々残業、ということを防げます。

学校は、勤務時間内に授業準備や個人作業の時間が確保されていません。子供の下校後には大抵会議や何かが入っていて、それだけで勤務時刻がほぼ過ぎてしまいます。つまり、1時間かかる仕事をしようと思ったら1時間まとめて確保することは構造上ほとんど無理で、残業するか細切れにせざるを得ないのです(ちなみに保護者向けに学校の勤務時間構造を講演すると、「他業種では考えられない働き方だ」と驚き応援者になってくださいます。こうしたことを外部に知らせていくことも必要です)。

まとまった1時間は会議の後で、という考え方をしていると定時で帰れる日がなくなってしまいます。定時で帰るには「細分化」は必須です。

必要かどうかを考える

教室で行われていることはどれも「子供のため」ですが、だからこそ「子供のため」の言葉で片付けずによく考えてみると新しい工夫や不要なものが見えてきます。

宿題はあえて毎日出さない方が子供が育つ

宿題は毎日必要でしょうか。1週間分をまとめて出す方法がおすすめです(※2)。

「宿題まとめて1週間」
・先生は1週間分の宿題をお便りで知らせる
・子供は習い事や遊びや宿題を1週間の中で計画的に取り組む
・子供から1週間分が月曜に提出され、先生は点検する

先生は宿題に関する毎日のルーチン(提出と点検、その日の宿題指示など)から解放されます。子供にとっては1週間を見通して生活することになるので、子供のタイムマネジメント力を養うことになり、保護者からも子供からも好評です。

※2 横浜市立日枝小学校6学年泉裕子教諭 他

学習指導要領を確かめると抱えすぎに気が付く

《低学年のC先生が気が付いた例》

絵の具は道具が多くて難しい教材です。C先生は筆の使い方や色の作り方など必死に絵の具指導をしていましたが、学習指導要領を確かめると、絵の具指導は三・四年生でするものだと分かりました。低学年には「オプション」だったのです。「しっかりできるようにしておかなければいけない」と教師としての責任感をもって指導していたそうです。「絵の具嫌いの子供を増やしてしまったかもしれない。指で塗って遊ぶなど柔軟にしてもよかったんだ。そもそもこの子供たちに今絵の具指導が必要かどうか考え直してみよう」と気が付くことができました。

年度末で特に「やらなければいけないことが多すぎる」と感じたときは、「本当にやらなければいけないことなのか」を、根拠である学習指導要領で確かめてみると手放せるものがあるでしょう。一人で決断しにくいときは、学年や信頼できる人に働きかけてみてください。

授業の中でゆったりした時間を生む

子供の育ちと教師の時間は両立します。子供の自立に向けて「大人がいなくても大丈夫」な時間を増やしましょう。

子供に任せる「ミニ先生」

子供同士で教え合う図

早い子とゆっくりな子の時差を埋めることに教師が追われていたり、「終わった子は自習」にしたりではもったいない! 「終わった子は周りに教えてあげてね」としてみましょう。するとあなたは「先生」「先生」と呼ばれる時間が減り、学級全体を見渡すことができるようになります。理解の早い子は他の子に教えることで、より理解を深める機会になります。教える人が一番学ぶというラーニングピラミッドはあまりにも有名です。授業内での子供同士のコミュニケーションが活発になれば、授業を通しての学級経営ができてさらに時間が生まれます。「しっとりした休み時間」のような雰囲気の心地いい時間で心にもゆとりができます。

任せると子供も先生も幸せ

1時間まるっと子供に任せるのもおすすめです(※3)。授業の一部で「今からドリルをしましょう」という指示ではなく、ドリルや音読の聞き合いなど学習内容を複数まとめて掲示し「1時間の中でやりましょう」として、子供は何からするか順番を一人ずつが自分で決めます。「ミニ先生」とも併用し、それぞれのペースで進めたり分からないことを聞き合ったりして、これもまた「しっとりした休み時間」の雰囲気に。子供たちは自分で選べることがうれしいし、一斉に同じことをしなくてはいけないプレッシャーから解放されて子供も先生も幸せです。細切れの指示出しに追われなくなり、時間も気持ちもゆったりします。子供を観察することができますので所見に載せる子供の姿も集められます。

※3 子供の育ちと先生の時間を両立する授業プラン「セレクトタイム」

選ばせる「丸付け」「コメント」

日々の授業内での丸付けをだれにしてもらうかを子供各自が選べるようにしている先生がいます。先生に頼む子3分の1、友達に頼む子3分の1、自分でする子3分の1に自然となるのだそうです。教師が丸付けに追われる時間が減りますし、自分で選ぶ機会に子供たちも喜んでいます。これで3分の1の子しか把握できないかというと真逆です。丸付けに追われない分、全体を見たり個別指導をしたりすることができます。

日記のコメントについて全員が一律にほしがっているわけではないと気が付いたある先生は、提出先に二つの箱を用意して「コメントが欲しい人はこちら」「どちらでもいい人はこちら」としています。自分で選んでいるので「もらえなかった」という不満が出ることもありませんし、コメントを楽しみにしている子はもちろん満足です。コメント書きの時間が圧縮できますし、いつもコメントを欲しい箱に出している子が、違う箱に出すことがあれば「何かあったのかな」と気が付くことができます。

子供に任せたり選ばせたりしていくことで、子供は育ち、あなた自身の時間も生まれます。

あなたの「核」になることは何ですか?

先生個人をヒアリングしてどんどん掘り下げていくと、一人ひとりの「核」となる大事になるものが残ります。それこそが、先生自身のやりがいであり働き方見直しの基準になります。

ある先生の「核」は「感じのいい子を育てたい」でした。それが先生の指導の軸になるし、子供たちに与えたいメッセージです。「核」が決まるとほめる・叱るの基準もおのずと決まり、どっしりとした教育観をもって指導できるようになります。「核」が決まると、幹か枝かが分かるようになり、力の注ぎ具合の緩急と優先順位が付けられるようになります。

年度末の仕上げの時期こそ、子供たちに伝えたい「核」をしっかり意識することで密度濃く過ごしましょう。

この時期は、働きやすい学校への種まきを

自分の働き方を見直し始めると、組織全体で取り組まなければ変えられないことがあることに気が付きます。

よくワーク・ライフ・バランスと誤解されているのが、ワーク・ファミリー・バランスです。育児や介護などの事情がある人へだけ配慮することで、ほとんどの学校で自然発生しています。

残業が多い特定の学年の担任は独身者や男性に偏っているのがその例です。また、子育て中の人が早く帰れるように残れる人がカバーするのもこの例です。残れる先生方の善意に頼っているので、配慮されながら帰る方は後ろめたい思いをしていることが多く、学校にとってよいアイディアをもっているのに「いつも配慮してもらっているのにこれを言ってみんなの仕事を増やしてしまったらどうしよう」と言い控えている場合もあります。これでは学校教育の質を落としてしまいます。組織としての働きやすさを実現するために、ぜひこれからの時期、年度末反省で声をあげていってください。

最後に

年度末でもそれ以外でも幸せな子供を育てるのは、幸せな先生です。いつでも健康とやりがいをもって教師という仕事を楽しめるように心から応援しています!

イラスト/設楽ゆき子

『小二教育技術』2019年2/3月号より

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