学年末総復習!算数活用力を高める3つの指導【先生のための学校】

連載
久保齋の「先生のための学校」【月1回不定期更新】

学力研 先生のための学校校長

久保齋

三学期もあと少しになりました。その学年の課題だけでなく、前学年の課題をしっかりと身に付けて上の学年に進級してもらいたいと思います。特に算数は、連続性のある教科なので、できないままで進級させてはいけません。今回は、算数の力をつけるための3つの方法を、「先生のための学校」校長の久保齋先生が指南します。

執筆/「先生のための学校」校長・久保齋

 学力研「先生のための学校」校長・久保 齋
学力研「先生のための学校」
校長・久保 齋

くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。

履修主義ではなく習得主義で

こんな話がありました。近頃の先生は、指導計画どおりしっかりと教えているけれど、子供に学力がついていなくても、あまり気にされないというのです。この言葉の裏には小学校、中学校の教師は教えるだけではダメで、どの子もできるようにさせなければという考えがあると思うのです。

私はもちろん、この考えに賛成です。小学校の教育内容を教えるだけなら誰でもできます。教えるだけでなく、できるようにさせることこそ教師の仕事なのです。

子供に新しいことを教えてできるようになるには、半年くらいの時間がかかります。教えてすぐにわかるなどということはないのです。教えて半年間くらい、折に触れて復習したり活用したりしながら、ようやく8割くらいの子供たちがわかり、2割くらいの子供たちは1年くらいかかるのです。その間、何回も何回もその課題に触れさせることが必要なのです。

だから、教師は、優れた一斉授業で子供たちに感動とともに新しい知識や知恵を教え、折に触れて復習させ、生活の中で活用させ、できない子には個別に指導していかなければならないのです。

「教えたのだから、あとは子供たちの力によります」というのを履修主義と言います。「何とかわかるように、できるようにしなければ、ともがく」のが習得主義です。映る姿は悪くても、子供たちにできる喜びを与えようと最後まで奮戦する先生であってほしいと思います。

算数活用力を付ける3つの方法

「算数の力がある」「算数に習熟している」とはどんなことなのでしょう。計算を例にとると、「7+8が瞬時にできるということ」と「日常生活の中で、その課題がたし算、ひき算、かけ算かを瞬時に見つけ出し、活用できる力」ということになります。ですから、「計算ができる」「図形がわかる」だけでは課題を半分しか達成していないことになります。

算数を活用する力を付ける方法には3つの道があります。

子供が文章題を作問する

一つは「作問」です。「7+8」 という計算問題を出して、子供たちに作問させ、生活の中から「7+8」を見つけ出させようというものです。

もう一つは「文章題を活用して、生活の中に算数を見つけ出す力を育成する」という方法です。これは、文章題を「算数と実生活の中間項」 と位置付けるという私の考えに基づいています。

文章題にダミー数字を加える

この考えを実現させるには、教科書の文章題は簡単すぎます。たし算を習っていて、数字が二つしか出てこないのでは意味がありません。子供を鍛えるにはもっと高度な複雑系の文章題が必要です。

二年生で九九を習っているとき、かけ算の問題だけを出しているようではダメなのです。かけ算を習っているときに、たし算やひき算の入った文章題を出してはじめて、たし算を活用すべきだ、ひき算を活用すべきか、かけ算を活用すべきかを考える子供たちに育っていくのです。

もう一つの方法はダミー数字を入れることです。日常の生活には数字があふれています。子供たちはその中から必要な数を選んで、目的に合った計算をしなければなりません。これを文章題の中で模擬練習させるためのものです。

「一年生の問題だよ」と言って次の問題を全員でやらせてみると、二年生でもかなり間違うので、これを通して「ダミーの数字の入った問題も日常にはいくらでもあるんだよ」と教えてあげるのもおもしろいと思います。

ダミー数字の入った問題

演算決定をしてから計算問題を解く

計算をいくら教えても、この場面で何算を使うのかという「演算決定」の力を付けてやらないと、「仏を作って魂入れず」ということになります。ところが、日々の授業で文章題をかなり意識的に取り組んでも、演算決定の力が付かない子が出てきます。

そのような子は自信がないために、自分で演算決定せずに、周囲の雰囲気で、あるいはお隣さんの様子をちらっと垣間見て、先生にノートを見せに来るときにはしっかりと式と答えを書いてくるのです。

私は演算決定の力が、算数の力の9割のウエイトをもっていると考えていたので、机を離して凛々しく行いましたが、どうしても雰囲気でわかってしまうこともありました。

そこで、次のような方法で本質的な取り組みを考えました。まず先生が黒板に先生の問題を書きます。そして子供たちがノートに写して問題に取り組みますが、ステップ1として、ノートにたし算は+、ひき算は-、かけ算は×の印を書かせ、それを持ってこさせて、合っていれば問題を解かせ、間違っていればもう一度考えさせました。この方法だと演算決定というスモールステップが設定できて、子供たちも楽しく文章題に取り組むようになり、演算決定の力も付くようになりました。

複雑系の文章題ではかけ算してたし算してひき算するのなら、ノートに×→+→-という記号を書いて持ってくることになります。

先生のオリジナル問題で算数は活性化する

算数はできれば嬉しいものだし、できなければ悔しいものです。だから、どの子もできるようにするための努力を惜しんではならないと思いますが、算数を楽しい時間にする方法はそれだけではありません。

授業中に必ず先生のオリジナルな文章題を1問出してやるだけで、クラスは明るくなります。今日学習した課題を子供たちを主人公にした問題に作り変えたり、今話題になっていることを織り込んだりしてオリジナルの問題をつくってやると、それだけでも楽しくなるのです。

教科書の問題を解いているだけではおもしろくないのです。先生のオリジナル問題を黒板に書いてノートに写させて解かせるだけで、ライブ感が生まれるのです。ぜひ、授業は先生のオリジナル問題で楽しくしめるようにしましょう。

『小二教育技術』2019年2/3月号より

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

授業の工夫の記事一覧

雑誌最新号