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「チャイルドペナルティー」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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出産や子どもをもつことによって生じる社会的、経済的に不利な状況のことを指す「チャイルドペナルティー(Child Penalty)」。現代の多くの女性が直面している課題であり、どのように解消すべきかが問われています。

執筆/文京学院大学名誉教授・小泉博明

「チャイルドペナルティー」とは

【チャイルドペナルティー】
出産や子どもをもつことによって、キャリアが失われたり収入が下落するなど、社会的、経済的に不利益を被る状況のこと。「マザーフッドペナルティー(Motherhood Penalty)」とも呼ばれ、先進国を中心に広く社会的課題となっている。

ジェンダー平等が進み、世界的に徐々にジェンダーギャップが是正されていますが、日本は欧米諸国と比較すると是正が十分ではありません。

チャイルドペナルティーについて、財務総合政策研究所の報告書「チャイルドペナルティーとジェンダーギャップ」では、次のように指摘されています。

先進国においてジェンダーギャップの縮小が進んできている。しかし、ジェンダーギ
ャップの「残り」は未だ大きく粘着的である。その「残り」を説明する要因として近年
改めて注目を浴びているのが、チャイルドペナルティ、すなわち子どもを持つことに伴
う労働所得の減少が主として女性に帰属していることである。

財務総合政策研究所(PDF)「『仕事・働き方・賃金に関する研究会-一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて』報告書 第3章 チャイルドペナルティーとジェンダーギャップ」吉村典洋、令和4年6月

上記の報告書によると、日本では出産する1年前の収入を基準としたとき、男性は子どもの誕生後も変わらないことに対し、女性は出産1年後の収入が67.8%も減少しています。「ペナルティー」とは、反則や違約に対する罰であり、罰則や罰金のことであり、まるで「子どもをもつことが罰」のように表現されているのです。ジェンダーギャップを解消するには、チャイルドペナルティーの課題の解決が不可欠です。

チャイルドペナルティーの実態

2019年に、アメリカのプリンストン大学のヘンリック・クレベン教授らが、チャイルドペナルティーを「子を持つことにより生じる賃金格差」と提起しました。先進国で共通に見られる現象ですが、特に日本ではその傾向が顕著になっています。

その理由として挙げられているのが、日本ではいまだに性別分業意識が強いためだといわれています。まさに、昔からの「男性は外で働き、女性は家を守る」という価値観が刷りこまれ、長期の育休を取得することも、時短で仕事量を調整することも女性であることが多いのが現状です。このまま女性の育児負担が重い状況が続けば、出産後の仕事への意欲も低下するようになります。

また、このような社会の価値観だけではなく、政策、企業慣行などもあり、女性に偏る家事育児負担、保育園の待機児童問題、児童手当の所得制限や長時間労働などの課題も根強くあります。

チャイルドペナルティーの解決策

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