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どの子も意欲的に学び生活できる「教室環境」のつくり方【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑧】

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主体的に生きる力を育む学級経営の極意
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
主体的に生きる力を育む学級経営の極意 バナー

子供たちが多様な他者と関わりながら社会につながり、主体的に生きる力を育んでいくために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて基礎基本を解説します。第8回は「教室環境」の設定法について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章

 

「教室環境」を見れば教師の子供理解、学級経営がわかると言われます。教室全体の環境をどのような考えに基づいて構想するかが問われます。なかでも、「教室掲示」は、教室環境の中核をなし、学級経営を大きく左右します。そこには、ユニバーサルデザインの視点が欠かせません。学級は子供たちの学びの場であるとともに、生活の場でもあります。「教室環境」の特質を踏まえ、「教室環境の構想立案」「掲示物の更新」「実践上の配慮事項」でチェックしてみましょう。

CHECK① 教室環境の構想立案

「教室環境」には、教師の指導理念が反映されます。誰一人取り残されない、どの子にとっても学びやすく、生活しやすい環境となるユニバーサルデザインの視点が浸透しているかどうかが明確に表れます。

「教室環境」の全体的な構想をイメージすることが求められます。子供の机の配置はどうするか、どの場所にどのような掲示をするか、子供の作品の掲示の仕方はどうするか、ロッカー、掃除用具入れ、配膳台等の配置や活用方法についても明確にしておきましょう。

教室「前面・側面・背面」の環境計画を立案します

「教室前面」は、どの子も学びやすい環境にするため、掲示物を少なくします。時間割などは前面に貼らないことが求められます。「教室側面」は、学習コーナーや通信等の掲示物、個人目標等を掲示し、常に更新していくように努めます。「教室背面」は、学級活動や係活動コーナー、道徳コーナーや習字等を掲示する学校の実践が多くみられます。特に、掲示計画を立案して、定期的に更新されるような動きのある環境計画を立案していきましょう。

 

どの子も意欲的に学び生活できる「教室環境」のつくり方【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑧】 教室掲示を示した教室の俯瞰図

CHECK② 掲示物の更新

「掲示物」は学校教育目標や学級目標等の常時掲示するもの以外は、更新できるように努め、単なる飾りにならないようにします。学習コーナーの内容を時期に合った掲示にしたり、子供の作品を入れ替えたりして、更新していくように努めましょう。

「個人目標」を1か月程度で更新します

「学級目標」を受けて、「知育・徳育・体育」で設定した行動目標としての「個人目標」の更新は、特に大切な指導場面です。基本的には、月ごとに「個人目標」を振り返り、達成できたものは目標を改善していくことが大切です。このような根気強い目標達成への取組が子供の主体的な学びや自主的な活動を大きく左右していきます。「個人目標」の更新という視点を重視して適切な言葉がけをしていきましょう。

どの子も意欲的に学び生活できる「教室環境」のつくり方【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑧】 掲示物の更新例

CHECK③ 実践上の配慮事項

「教室環境」は、子供たちが学級生活の充実と向上を目指して、互いに認め合い、意欲をもって学習や生活ができるようにしていくことが大切です。子供の学習状況のチェック表や読書の冊数のグラフ等を掲示している実践が散見します。子供が他との比較によって競争意識の中で意欲を高めるのではなく、認め合い、励まし合い、協働の意識が高まるような掲示にしていきましょう。

協働的な活動となるようにします

「掲示物」の様子を見れば、学級担任の教育理念がわかります。例えば、「係活動」での意欲を喚起するために、他の係との「競争による活動」の手法を取り入れている実践を見ることがあります。「係活動」は、「競争の原理」ではなく、互いに良かった活動を認め合ったり、活動のアイデアを出し合ったり、一緒に活動したりするような「協働的な活動」が基盤です。子供たちの協働的な活動を促進できるような「教室環境」となるようにしていきしましょう。

 

イラスト/みさわめぐみ、futaba(イラストメーカーズ)

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