不登校【わかる!教育ニュース #57】
先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第57回のテーマは「不登校」です。
目次
2023年度の不登校小中学生が、11年連続の増加で30万人を超える
登校したくてもできない子がいます。無理に学校に行かせなくてもいい、という意識は社会に広がってきていますが、不登校の現状はどうなっているのでしょうか。
2023年度に不登校だった小中学生が、前年度を4万7434人上回る34万6482人に上り、過去最多を更新しました。11年連続の増加で、30万人を超えたのは今回が初めてです(参照データ)。
内訳は、小学生が前年度より2万5258人多い13万370人、中学生が2万2176人増の21万6112人。いずれも、学年が上がるほど多くなる傾向です。
この調査での「不登校」とは、病気や経済的理由以外の要因で、年30日以上登校していない状態。要因は毎回調べていますが、今までは「いじめ」「親子の関わり方」などの選択肢を示し、教員が選んでいました。けれど、この尋ね方では教員の主観が入る可能性もあるため、今回は不登校の子について教員が把握した「客観的な事実」で問う選択肢にし、当てはまるもの全てを選ぶ形に改めました。
最も多かったのは「学校生活に対してやる気が出ないなどの相談があった」(32.2%)で、「不安・抑うつの相談があった」(23.1%)、「生活リズムの不調に関する相談があった」(23.0%)が続きます。これは、「無気力・不安」「生活リズムの乱れなど」が上位だった前回までの調査結果と似ています。
何の支援も受けていない子が、まだ1万4669人
ただ、尋ね方を変えて見えてきたこともあります。
今回、上位3つに次いで多かった「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」は15.2%、「いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった」は13.3%で、いずれも、前回までの「学業不振」「いじめを除く友人関係の問題」という同様の選択肢の割合を、大きく上回りました。一方で、これまで5割前後と突出して多かった「無気力・不安」は今回、3割ほどに減っています。不登校の要因は、客観的な事実でとらえると、これまでと別の見方になること、そして、要因が一つではないかもしれないことが窺えます。
では、学校に行けない子に支援の手は届いているのでしょうか。
教育支援センターや民間支援団体、養護教諭やスクールカウンセラーなど、学校内外で相談や指導を受けていない子は、前年度より2万151人増え、13万4368人いました。ただ、この中には「担任などの週1回以上の継続的な相談・指導」を受けた子が、11万9699人います。文部科学省は「不登校の子の33万1813人(95.8%)が、学校内外や担任などの相談・指導を受けている」と結論付けました。 でも、裏を返すと、何の支援も受けていない子が、まだ1万4669人もいるのです。「支援を受けている子は95.8%」よりも、「受けていない4.2%」に目を向け、取り残される子を一人も出さない努力を続けねばなりません。
【わかる! 教育ニュース】次回は、11月30日公開予定です。
執筆/東京新聞記者・中澤佳子