「みかんていいな」でさわやかな自己表現を! 子どもと教員のためのアサーション・トレーニング 後編


アサーションとは、「自分も相手も大切にした自己表現、コミュニケーション手法」のことをいいます。子どもたちがうまく自己表現できないと、感情を抑圧し、心の不調につながったりします。教員として、しっかりケアしたいですね。本記事では、「みかんていいな」という技法を交えた指導プログラムのアイディアを紹介します。
【連載】ストレスフリーの教室をめざして #11
執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀
目次
1 指導プログラムの例
⑴ プログラム名 「みかんていいな」を身に付けよう。
⑵ ねらい DESC法について知り、ロールプレイを通じてそのスキルを身に付ける。
⑶ 指導の実際

2 指導プログラム②の解説と補助資料
導入では前時の学習をふり返り、「さわやかな自己表現」とはどのようなものであったかを確認します。(自分も相手も大切にした自己表現、でしたね!)
そして本時では、「みかんていいな」を身に付けることを課題として知らせます。この段階では、みんな「?」の状態だと思います。「今日はまたロールプレイをやって、さらにさわやかな自己表現に磨きをかけてほしいと思います。ただ、今日の場面は少し難しいケースを用意しました。詳しくは後ほど説明しますが、「みかんていいな」を覚えると、難しいケースでもさわやかな自己表現ができるようになります。」などと説明するとよいでしょう。
展開では、さっそく「みかんていいな」の説明をします。

これが「みかんていいな」の中身でしたね。これだけだとイメージが湧きにくいので、例を示しましょう。
説明用場面 相手が約束の時間に遅れてきたとき
【想定】
あなたは友達のAさんと買い物に行く約束をしました。「12時に駅に集合」と決まっていましたが、Aさんが駅にやってきたのは1時間後の13時でした。実際に来るまで、連絡もありませんでした。あなたは、「遅れるなら連絡をしてほしかった」と伝えようと思っています。さて、このことをどのようにAさんに伝えればよいでしょうか。


これが「みかんていいな」の例文です。ポイントは、
①「み」にかんじたことを混ぜないこと。
②「かん」は「アイメッセージ(主語を私)」にすること
③「てい」は、具体的に示すこと
④「いな」は、NOの場合に自分の思いをはっきりと伝えること
です。
これを踏まえて、「みかんていいな 練習シート」にセリフを書いていきます。

今回は、次の場面を想定します。
ロールプレイ 買ったばかりの本を貸してほしいと頼まれたとき
役割分担 あなた・Aさん
【想定】
あなたは友達のAさんに、「この本貸して」と頼まれました。しかしこの本は、あなたが昨日買ったばかりの本で、まだ半分も読んでいません。続きも気になっています。さて、あなたはどのようにこの頼みを断ったらよいでしょうか。
以下に、回答の例を示します。(先生のアイディアで変更してOKです)

今回のポイントは、「断る」という結末から逸れないことです。セリフは作ったものの、ロールプレイになると結局貸してしまう結末を迎える子がいますので、この点を押さえましょう。
