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3年体育 器械運動(マット運動)「クルッと回って、ピタッと止まって、はいポーズ!!」

2019/9/28

執筆/秋田県秋田市立御所野小学校教諭・佐藤秀恒
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・高田彬成、秋田県秋田市立旭南小学校校長・越中谷俊悦

授業づくりの前に

器械運動のマット運動では、回転したり、支持したり、逆さになったりすることなどの技に挑戦し、その技ができる楽しさや喜びに触れることのできる運動です。

低学年の器械・器具を使っての運動遊びの学習を踏まえ、器械運動の楽しさや喜びに触れ、その行い方を知るとともに、マット運動の基本的な動きや技を身に付けるようにし、高学年の器械運動の学習につなげていくことが求められます。

3年生では単元を通して基本的な技の習得に重点を置き、コースを設定して技に取り組むようにします。基本的な技に取り組む時間を保証し、友達とのかかわりを通して、自分の課題を見付けたり、課題を解決できるようにしたりしましょう。

また、運動を楽しく行うために、きまりを守り誰とでも仲よく運動をしたり、友達の考えを認めたり、場や器械・器具の安全に気を付けたりすることができるようにしましょう。

単元の計画(例)

単元計画
クリックすると別ウィンドウどうで開きます

学習を進めるにあたって

Point1 考えたことを友達に伝えたり、友達の考えを認めたり、誰とでも仲よくできるように

・友達や自分のできばえを見合えるように、グループ活動を取り入れましょう。
・連続図等を使って、友達の動きで気が付いたことやアドバイスを伝え合う場をつくりましょう。

友達に考えを伝えたり、認めたりする

開脚前転の場合

友達に良いところを伝えてあげる

いつ足を開いているかな? 手を着くタイミングを見てみよう。

指導のポイント
①グループで互いの動きを見合って、上手にできているところや直したらよいところなどを伝え合えるように、見合うポイントを示したり、よい動きを意図的に紹介したりしましょう。
②技を成功させるために気を付けたいことについて、連続図にシールを貼ったり、自分がどうしたらうまくできたかなど、そのポイントを指摘できる学習環境をつくりましょう。

Point2 子供たちが進んで運動に取り組むようにするために

・運動の場を工夫することで、簡単な動きから始めて、たくさん体を動かすことができるようにしましょう。
・子供たちのよい動きを見付け、声をかけてほめましょう。
・子供たちが動きをイメージできるような、具体的な声かけをしましょう。

前転コース

このマットの中で、何回前転できるか挑戦してみよう。

何回転できるか考えている子
何回前転できそうかな

玉を目印にして前転する

玉を目印にして前転する

川跳び遊び

側方倒立回転

壁倒立

マットをしっかり見ているから、グラグラしないで壁倒立ができているんだね。

●指導のポイント
~運動に意欲的でない子供のために~
①低学年で学習した運動遊びを取り入れましょう。
②自己評価や相互評価ができるように、目印を置くなどの工夫をしましょう。

Point3 子供たちがきまりを守り、けがなく楽しく運動するために

・安全に行うためのきまりを具体的に指導しましょう。
・全体に気を配りながら、それぞれの場に移動して指導しましょう。
・友達と一緒に、マットなどの器具の準備や片付けをするように指示しましょう。

マットがずれたら直す

《授業を始める前の安全対策:教師》
①マットなどは、何人かで一緒に運びましょう!
②自分の技が終わったら、次の人に合図を送りましょう!
③前の人がマットから出てから、技を始めましょう!

合図を出してから始める

合図を出してから始める

しっかり合図を見てから始めていて、よいね!

●指導のポイント
安全に学習ができるように、授業のはじめに毎時間約束を確認しましょう。

指導例:感覚つくりの運動

ゆりかご

ゆりかご

アンテナ(背支持倒立)

背指示倒立

肋木を使った壁倒立

肋木を使った壁倒立

マットを見ながら、1歩ずつ肋木を登ろう!

慣れてきたら、次のような運動にも挑戦しよう!

ゆりかごでタッチ

ゆりかごでタッチ

ゆりかごから、しゃがんだ姿勢になろう。

アンテナ

アンテナ

アンテナをしたまま、足を左右・前後に開いてみよう。

頭倒立

頭倒立

肋木での倒立から頭をマットに付けると、頭倒立になるよ。やってみよう!

指導例:はじめの段階

それぞれのコースで様々な技の行い方を知るとともに、自分の課題をつかもう。

前転コース

坂道で前転

踏切板をマットの下にいれよう。

踏切板をマットの下にいれる

易しい場での開脚前転(段差マット)

易しい場で開脚前転

始める姿勢を変えて前転

回るスピードを速くしよう。

始める姿勢を変えて

だんだん高い位置から前転できるようになってきたね。
回るスピードを上げるには、どの位置がいいかな?

後転コース

マットを重ねた場での開脚後転

マットを重ねた場での開脚後転

上手になってきたから、次はマットを1枚減らしてみよう!

坂道で後転

踏み切り板をマットの下に入れよう。

踏み切り板をマットに下に入れた後転

耳の横に、手を準備して回っているかな?
両手でマットを力強く押してみよう!

●指導のポイント ~運動が苦手な子供のために~
①マットの下にロイター板(踏み切り板)を入れたり、マットを重ねたりする等、技が成功しやすくなるよう工夫しましょう。
②ゆりかごなどの体を揺らす運動遊びや、かえるの足打ちなどの体を支える運動遊びに取り組む時間もつくりましょう。

倒立回転コース

補助倒立ブリッジ

補助倒立ブリッジ

側方倒立回転

側方倒立回転
ゴムひもを越すように
目玉カードを見る

●指導のポイント ~運動が苦手な子供のために~
①ブリッジしやすいように、二人組で背中に手を当てる補助の仕方を十分に指導しましょう。
②脚を勢いよく振り上げるためのゴムひもや、背中を反り返す体の使い方を身に付けるための「目玉カード」など、補助具を使いましょう。

はね起きコース

首はね起き

首はねおき
首はね起き。右図のようにとびばこを利用して行うのもよい。

跳び箱を使った首はね起きは、ブリッジしているのと同じ状態だね。ここから、反動をつけて起き上がろう!

段差を利用したはね起き

段差を利用したはねおき

●指導のポイント 
ステージの段差を利用する場合は、教師が背中に手を添えて起こしてあげることで、できた感覚を味わわせましょう。また、ソフトマットを使い、安全面に気を付けて取り組みましょう。
●指導のポイント ~運動が苦手な子供のために~
体を反らせて起き上がれるように、そのための体の使い方を身に付ける場づくりを工夫しましょう。
①跳び箱の1段目をマットの下に置き、ブリッジからマットを押して起き上がる場づくり
②ステージの段差を利用する場づくり

倒立コース

壁倒立

・体を逆さまにして支える動きを身に付けるために、手や頭の目印や「目玉カード」、器具や補助を使おう。
・マットに「目玉カード」等の目印を置いて、それを見ながら倒立しよう。

グループの友達とアドバイスし合いながら進めよう。どこに頭や手を置けばいいかな? どこを見てやれば、やりやすいかな?

頭倒立

→補助をつけながら、頭倒立をしよう。

頭と両手で三角形をつくるようにして、倒立してみよう。

●指導のポイント~運動が苦手な子供のために~
最初はかえるの足打ちのように、足を少しだけ床から離してみるよう言葉がけをするなど、易しい運動から取り組むようにしましょう。  

指導例:やや進んだ段階

◆コースを決めて自分の課題に取り組もう

同じ課題をもった友達と2・3人のグループをつくって、コースを選択し学習を進めます。お互いに技を見合ったり教え合ったりして、課題を解決していきましょう。

前転コース

前転コースの課題

後転コース

後転コースの課題

倒立回転コース

倒立回転コース

はね起きコース

はねおきコース

倒立コース

倒立コース

●指導のポイント ~運動が苦手な子供のために~ 
①これまで行ってきた様々な運動遊びや、感覚つくりの運動にもう一度じっくり取り組むことで、回転の勢いをつける動きや、逆さまで体を支えたり反らしたりする動き、反動を利用して起き上がる動きなどを身に付けることができます。
②互いに補助したり、できそうな練習の場を選択したりしながら、意欲的に取り組めるように声かけをして、たくさん「できた」喜びを体験できるようにしましょう。

調査官からのワンポイント・アドバイス

国立教育政策研究所教育課程調査官 高田彬成

マット運動では、基本的な回転系(前転・後転など)や巧技系(壁倒立など)に繰り返し取り組み、自己の能力に適した技ができるようにすることを目指します。

3年生から器械運動として指導することになるため、基本的な回転系(前転などの接点技群や側方倒立回転などのほん転技群)や巧技系をじっくりと丁寧に扱っていくことが大切です。そのためには、易しい場から段階的に取り組めるように、一人ひとりの技能の程度に応じた場を準備することが必要です。

また、本稿にあるように、友達との見合いや教え合いを活発にし、かかわり合いを深めるとともに、「思考力、判断力、表現力等」の指導の充実を図りながら、知識や技能の習得を目指すことが大切です。

安全面を最優先とし、子供の課題と活動が合っているかを見極めながら、それぞれの場に応じた指導をし、子供の「楽しい!」「できた!」の声をたくさん引き出す授業を目指したいところです。

イラスト/たなかあさこ

『小三教育技術』2018年10月号より

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