小1国語「じどう車くらべ」京女式板書の技術
今回の教材は、説明文の「じどう車くらべ」です。本単元では、「説明する文を読む」ことが学習活動となります。そして、「説明する文を書く」ことにつなげます。そのため、説明文とは何か、説明文の構成が分かるようにします。特に、子供たちのノートの形と同じ形の板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「じどう車くらべ」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全7時間)
- 説明文の仕組みを捉える。
- 「バスやじょうよう車」について説明する文章を読む。
- 「トラック」について説明する文章を読む。
- 「クレーン車」について説明する文章を読む。
- 3つの例をもとに、全体の説明の仕方を確かめる。
- 「はしご車」の仕事とつくりをまとめる。
- 学習を振り返り、「たいせつなこと」を確認する。
板書の基本
〇教材のページを開くと、「せつめいする 文しょうを よもう」と小さい文字で書いてあります。子供たちは、この文をどんな気持ちで目にしているのだろうと気になりました。そして、「せつめいする文」のことを正しく教えたいと考えました。1時間目の板書は、1年生のこの時期だからこそ「せつめい文」という言葉、および文の仕組みを指導したいと思い、考えたものです。
〇教材「じどう車くらべ」は、単元の構成として「せつめいする 文しょうを かこう」という教材へと発展しています。「じどう車ずかん」を作るという学習活動になります。本文は、車の名前、仕事、つくりの3文になっています。「バスやじょうよう車」から始まる文について、文の仕組みを指導することは、説明する文章を書くことに役立ちます。しかし、バスと乗用車は、仕事やつくりがそれぞれ違うと考えることもできます。「バス」と「じょうよう車」を分けて考えさせることによって、トラックやクレーン車、はしご車について理解がしやすくなるように配慮しました。特に、ノートの形に慣れさせることを意識して、板書しました。
板書のコツ(1/7時間目前半)
板書のコツ①
日付、題名を板書します。その後、「せつめいする文しょうをよもう」という教科書の見出しを音読させます。「せつめいする」ということを問いながら、文章に仕組みがあることを理解させます。
板書のコツ②
説明する文には、次の3つがあることを指導します。「①だいめい」「②といの文」「③といについてのせつめい」を板書します。くわしい説明はしないで、板書を声に出して読ませます。教科書では、挿絵も加わっています。挿絵を使って、「いろいろなじどう車」のことが書かれていることを補足します。
板書のコツ(1/7時間目後半)
板書のコツ①
「①だいめい」については、題名の中に「じどう車」という言葉が入っていることを確認します。最初の文に示されている「いろいろな じどう車」に着目させ、自動車の名前を確認し、それぞれの自動車のことを説明する文であることを補足します。
板書のコツ②
「②といの文」については、「どんな しごとを して いますか。」「どんな つくりに なって いますか。」の両方の文に、問いかけの「~か。」があることを確認します。
板書のコツ③
バスと乗用車の文は、問いの文の答えであることを確かめます。授業としては、次のように展開します。
バスや乗用車は、どんな仕事をしていますか。
バスや乗用車は、人を乗せて運ぶ仕事をしています。
そのために、どんなつくりになっていますか。
座席のところが、広くつくってあります。
大きな窓がたくさんあります。
このように活動を広げ、まとめ方として教科書にあるノートの例を指導します。
板書のコツ(2/7時間目前半)
板書のコツ①
めあてでは、前時の「バスやじょうよう車」の文が本時の学習範囲であることを確認します。そして、「しごとの説明をしている文」と「つくりの説明をしている文」を確かめます。
板書のコツ②
ノートの例をカードに書いたものを「めあて」の横に貼ります。この書き方をこれからのノートに活用することを説明します。続いて、バスや乗用車の仕事について書かれた文を音読させ、「人をのせる。」について「誰を乗せることか」を話し合わせると、バスと乗用車では乗せる人が違うことに気が付きます。このように、バスと乗用車を分けて考えさせました。それが、板書の中央にある「バス」「じょうよう車」です。
板書のコツ(2/7時間目後半)
板書のコツ①
バスと乗用車を分けて話し合いをすると、具体的な仕事のことが分かりやすくなりました。その分かりやすくなったことを、「やくだっていること」にまとめました(ノートとは関係なく、文の内容を広げるためです)。「つくり」についても、「バス」と「じょうよう車」のそれぞれについて考えさせました。
板書のコツ②
前時のノートの例をもとに、「バス」のノートの作り方を理解させるために、カードにまとめました。
「バスやじょうよう車」というまとめ方も、説明文として簡潔で分かりやすい文章です。しかし、子供たちに「しごと」を考えさせる場合、分けて考えたほうがよいと判断したのは、次の理由からです。
1 子供たちの生活で一番身近で分かりやすい車であること。
2「やくだっていること」という視点を示すことで、「そのために」につなげることが容易になること。
「バス」や「じょうよう車」は身近な車の学習になります。それが、この後に続く他のじどう車、特に発展として例に挙げている「はしご車」や「きゅうきゅう車」への耕しになると考えました。
構成/浅原孝子