小4国語「秋の楽しみ」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、季節の言葉3「秋の楽しみ」です。本単元では、「秋を感じる言葉を見付け、興味をもった秋について手紙を書くこと」が学習活動になります。そのため、本時では、秋を感じる言葉を見付け、1つの言葉から次の言葉に広がるように語彙を広げます。子供の発表を整理しながらまとめるマップ法を取り入れた板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子  

 

教材名 「秋の楽しみ」(光村図書出版)

単元の計画(全2時間)

  1. 秋を感じる言葉を見付ける。
  2. 興味をもった秋について、お家の方に知らせる手紙を書く。

板書の基本

〇「進んで語彙を調べる」という学習活動は、4年生の子供たちにとって大切です。「進んで」とは、子供たち自らが言葉を知ろうという気持ちになること、言葉の意味に驚き、覚えておこうと思うこと、そして、意味や働きについて考えようとすることと捉えています。その素地として、「調べる」ことの活動が広がり、1つの言葉から次の言葉に広がっていくことを期待して板書を工夫しました。

〇「情報」で育てたい能力は、情報と情報との関係および整理です。教科書からの情報(示された語句)や子供たちの知っている語句と関係付けたり整理したりする視点で考えてみました。具体的に、本教材は「秋の楽しみ」ということを九月、十月、十一月の楽しみの代表的なものをあげています。これを1つの情報と考える視点とし、語彙を広げる(増やす)、そして発表と発表を整理しながらまとめました。本時では、情報の整理手段としてマップ法を取り入れた板書にしました。

板書のコツ(1/2時間目前半)

小4国語「秋の楽しみ」京女式板書の技術 1/2時間目前半の板書
1/2時間目前半の板書

板書のコツ①

「秋の楽しみ」という言葉から子供がイメージすることは、行事や果物です。一般的な楽しみから導く方法もありましたが、教科書に示されている山上憶良の和歌から指導を始めました。「秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」を音読しました。きっと、七草に代表される自然の変化を楽しんでいたんだろうと補足しながら、万葉集に収められている山上憶良が詠んだ秋の七草の歌である「はぎの花 お花 くず花 なでしこの花 おみなえし またふじばかま 朝顔の花」を黒板に貼るところから授業を始めました。

板書のコツ②

九月、十月、十一月のカードを黒板に貼り、和暦「長月」「神無月」「霜月」という言葉もあることを確認しました。ここで、十月の別名である「神在月」に触れ、和暦に興味をもたせました。次に、「『九月』と言えば」と質問しました。子供たちからは「お月見」「月見だんご」という発表があり、板書しました。情報を集める学習の始まりとして、知っている言葉、初めて知った言葉をマップにしました。

板書のコツ③

秋を感じる言葉を「和暦」「行事」「経験」「俳句・短歌」などの視点から調べることを伝え、1人学習の時間を設けました。教科書や本、ICT機器を用いて調べ、見付けた言葉をノートに書き込んでいくよう指示しました。

板書のコツ(1/2時間目後半)

小4国語「秋の楽しみ」京女式板書の技術 1/2時間目後半の板書
1/2時間目後半の板書

板書のコツ①

調べたことをもとに全体で共有する時間を設けました。「お月見」(行事)に関心をもった子供たちから「中秋の名月」「芋名月」などの言葉が出てきました。「中秋の名月」から「十五夜」という発表がありました。また、その発表を受けて「十月の月は『十三夜』と言います。『十五夜』と合わせて『二夜の月』と言います」という発表があったので、「十三夜」を板書し、「十五夜」と線でつなぎ、「二夜の月」と黄色いチョークで板書し、子供たちの情報を整理しました。

板書のコツ②

地域の行事である「時代まつり」を発表する子供がいました。そこで、「時代まつり」は、「京都の三大まつり」であることを伝え、板書しました。そして、「残りの2つの祭りは何か」を尋ね、「あおいまつり」「ぎおんまつり」を引き出し、黄色チョークで板書しました。子供が集めた情報「時代まつり」から質問し、さらに「あおいまつり」「ぎおんまつり」という情報に広げ、それらをまとめて「行事の楽しみ」として整理しました。

板書のコツ③

「もみじがり」という発表がありました。「もみじがり」という言葉を聞いて、「言葉の意味が分からない」といった子供たちの反応があり、意味を調べさせました。「紅葉した木の葉を見て楽しむこと」とあり、本時の題名の「秋の楽しみ」とつながりがあることが分かり、納得した空気が教室に広がりました。

「もみじがり」は、十月と十一月どちらの月にも楽しめるという発表があったので、十月と十一月の両方のカードと線で結びました。「もみじがり」に関連する語句として、教科書に示されている「紅葉」「黄葉」「色づく」「山よそおう」の発表があり、指導したい言葉として赤チョークで板書しました。

板書のコツ④

その他に十一月の行事として、子供たちにとって身近な行事である「七五三」の発表があり、「ちとせあめ」の言葉を取り上げると、子供の成長を願った行事であることに話題が広がりました。教科書に掲載されている俳句「参道の ながきはたのし 七五三」を紹介し、「『参道』ってなんだろう?」という子供のつぶやきから辞書で調べたり、俳句を楽しんだりすることを通して、季節感を味わいました。

各月ごとの代表的な秋を感じる言葉を丸で囲み、線でつなぐことによって、子供たちが集めてきた情報を整理した板書を本時のまとめとして再度確認しました。

 

構成/浅原孝子

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