小4国語科「言葉から連想を広げて」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小4国語科「言葉から連想を広げて」(光村図書)の全時間の板書例、発問例、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/埼玉県さいたま市立針ヶ谷小学校・樋口 浩
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、一つの言葉から連想したことを基にひと言で詩を書く活動を通して、自分の考えとそれを支える理由や事例との関係を明確にして、言葉の組み合わせや順序について思考操作しながら書き表し方を工夫する力を育てていきます。
また、ウェビングマップを活用して思考した語句を整理することで、必要な語句などの書き留め方を理解し使うことができるようにしていきます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
言語活動を設定する上で、「ニンジン」という「教材」の特色と、身に付けたい資質・能力の関係に触れておきます。
本教材は、ニンジンを視覚的なアプローチで捉え、その濃いオレンジ色をお風呂上がりの紅潮した肌の色と重ねていることが想像されます。そうすると畑が湯船、土が湯とも見えてくるかもしれません。
しかし、これらについて説明した記述はありません。テーマとした対象について、筆者なりの捉え方で、連想した言葉で表現していることを、読み手は想像するしかありません。さらにそうした言葉がひと言で描写されていることが大きな特徴になっています。
自由に連想してひと言で表現する、ということは簡単そうに思えて逆に抽象度の高い課題で、扱いづらいものです。
しかし、この教材を通してひと言の詩を書く活動を設定することで、どのような表現活動を行うのかをイメージしやすくなり、課題への関心を高め、言葉を紡ぎ出す意欲にもつなげることができるでしょう。
本単元では、一つの言葉から連想したことを基に、ひと言で詩を書く言語活動を設定しています。
詩は、自分の想像したことや思っていることについて、短い分量で表現したものです。
この単元では、さらにひと言に凝縮して表現します。表現の自由度が高く、シンプルなだけに、子供たちの発想や思いを創出する上で効果的だといえるでしょう。
4. 指導のアイデア
主体的な学びを生み出す上で大切なのは、身に付けようとする力をどのような学び方を通して育むのかについて、子供が見通しを得てから取り組めるようにすることです。
今回身に付けようとする力は、自分の考えたことをひと言の詩で書き表す力です。
そして、その力を生み出すのが、自分の考えへとつなぐ「連想する」という過程になります。
この一連の学びの活動に取り組む前に、この過程のモデルとなる例示をし、例に沿って学習活動の疑似体験をすることによって、子供は事前認識することができます。いざ自らが活動に取り組んだ際には、その認識の追体験を拠り所とすることができるため、学習過程の進行がスムーズになります。
例示するモデルの選定に必要なことは、指導事項の育成に耐え得るものであるかを見極めることです。
対話的な学びが有効に機能するには、表現の対象から連想してひと言の詩として表されるまでの道筋に着目することが大切です。どのような視点・方法で連想したのか、どのような意図・技を使って表したのか、そのポイントを明確にしておくことで、作成した詩がそのポイントに沿った作品なのかどうかを見取ることができます。
つまり、他者との対話の際の相互評価、自らの作品との対話の際の自己評価の観点になります。また、これが、指導側の評価規準にもなります。
深い学びに向かうためには、いったん書き上げた表現について、試行錯誤を経た言語操作により、自分なりの工夫を施した表現にブラッシュアップできるようにする必要があります。その言語操作の成果として、無数にある表現の可能性の中から、子供たち個々の根拠ある選択によって作品化されることが理想です。
ここでは、取り入れる言葉を増減させて組み合わせたり、言葉の順序を入れ替えたりしながら、様々な表現を比較して、選択していきます。
それらの分岐点を経て、自分の作品が装いを変えながら磨き上げられていく過程を味わって詩を書くようにしていきます。
詩に取り入れる言葉を決定する場面では、最終的に取り入れた表現の理由について、明確に意識できるようにすることで、学びを深める方向性が揺らぐことなく、一貫した学びの姿勢を維持しやすくなります。
5. 単元の展開(2時間扱い)
単元名: 言葉から連想を広げて、ひと言で詩を書こう
【主な学習活動】
(1時)
① 表現したいことから連想を広げる。〈 端末活用(1)〉
(2時)
② 言葉の使い方を考えて、ひと言で詩を書き、読み合う。〈 端末活用(2)〉
全時間の板書例、発問例、児童の発言例
イラスト/横井智美