【相談募集中】靴箱にいたずらをされ、仕事への意欲を失いました
特別支援クラスで支援を行っている60代の教師から「みん教相談室」に相談が寄せられました。靴箱にいたずらをされ、その原因が分からずモヤモヤが晴れずにいるそうです。この相談者に、東京未来大学非常勤講師・山中伸之先生が回答した内容をこちらでシェアします。
目次
Q. 靴箱にいたずらをされ、仕事への意欲が失われました
特別支援クラスの手助けをしに、協力学級に支援をしに行きます。そんな中、考え方、やり方の違いで担任ともめましたが、管理職に相談してスッキリし、出過ぎず支援をしていくようにしました。ところが、関連は分かりませんが、私と2人の靴箱の名札が曲げられるいたずらが起こりました。管理職に相談すると、様子を見ようとおっしゃって名札を作り直してくれましたが、気持ちは晴れませんし、仕事をする意欲が失われました。助けてください。(ひーさん・60代男性・小学校再任用教諭)
A. いたずらの背後にたたずむ人は、攻撃しないと自分を防御できない状況なのかもしれません
お悩み拝見いたしました。私も定年退職をし、その後再任用、臨時採用、非常勤講師を経験していますので、お立場やお気持ちがいくらか分かるように思います。今はスッキリされたとのことですが、現職の先生方との考え方ややり方に起因する食い違いや衝突は起きてしまうものですね。
実は最近、私も相談者様とは反対の立場で、考え方の違いから気まずくなったことがありました。数日間、気持ちが晴れませんでした。しかし、少し落ち着いてからこう考えてみました。私は私の考えが正しいと思っているが、それは相手の先生も同様ではないか。相手の先生も自分は正しいと思って行動をしている。
ここのところを分からずに、私が正しい、相手は間違っている、とだけ考え続けていると、苦しさから逃れることはできません。私も正しいし、相手も正しいのだ。ただ、互いの考え方に接点がなかっただけなのだ。結局、このような場合、現実を受容する以外に逃れる道はないのではないかと考えました。 そう考えることで、いくらか平常心を取り戻すことができました。
とはいえ、相談者様にとっては、この件よりも名札のいたずらの方が気になっているものと拝察いたします。大人の職場でこのようないたずらは、まさに小児病的ですね。ここはひとつ、相談者様が一段高所に上って、大人の対応をされるのが最もよいのではないかと思います。
人はみな自分という火を持っていて、自分自身を守るために、必死になってその火を守っているとイメージしてみてください。その火が小さければ小さい人ほど、人は必死になってその火を守らなければなりません。守るという行動の中には、ときに相手を攻撃することも含まれます。攻撃することによって防御しているのです。
ということは、攻撃する人ほど、必死になって守らなければならない状況だということです。相談者様は人生経験も豊かで、生活にゆとりもあることと拝察します。そのような一段高いお立場から、名札のいたずらの背後にたたずむ人を理解してあげるとよいのではないでしょうか。
私はすでに高齢者の仲間入りをしていますが、このごろようやくいくつかのことに気付きました。まず、現実の生活には、理不尽なことは当たり前のようにある、ということです。理不尽なことであふれていると言ってもいいかもしれません。そのことをまず受け入れようと思います。
次に、この経験から学べることは何だろうかと考え、学んだことを誰かに伝えることも、この歳になった自分にできることではないかと思います。そして、願わくば、承認欲求からフリーになりたいと思っています。人に認めてもらうために、人に嫌われたくないために、考え悩むことからフリーになりたいものです。
最後に、心の悩みに特効薬はないが、じわじわと効く「日にち薬」というものがあるので、それを頼みに、その日そのときに別の何かに集中して、時を過ごそうと思います。相談者様のお気持ちが晴れることに、いくらかでもお役に立てれば、うれしく思います。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。