【相談募集中】新任早々「教師を辞めたい」と、娘が毎日泣いています

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教育アドバイザー

多賀一郎

小学校の新任教諭のお母さまからの相談が「みん教相談室」へ寄せられました。夢を叶えて教壇に立ったものの、先輩教諭からの心ない発言や職場環境になじめず、教師を辞めたいと毎日泣いているそうです。これに回答をしたのは教育アドバイザー・多賀一郎先生。その内容をシェアします。

泣いている女性
写真AC

Q. 笑顔がなくなり「教師を辞めたい」と娘が泣いています

どこに相談するべきなのかわからず、親が出るべきではないと思いつつ、ここに行きつきました。娘は、今年から小学校教員になりました。勤務している学校は、家から2つの市を越えたところにあり、始発のバスに乗って電車を乗り継いで約1時間半かかります。仕事を終えて家に着くのは22時近く。毎朝3時に起きて授業の計画をしているようです。初任者で1年生を任されています。どこの市の方に聞いても「初任者で1年生を受け持つことはまずありえない」と言われました。

入学式のスーツについて、黒のスーツしかない(1年生を受け持つとは予想をしていなかったから)事を昨年1年生を受け持った先生に相談したら、大丈夫だと言われていたのに、入学式前日、他の先生方から「黒はありえない」とダメ出しをされて帰ってきたので、私がずいぶんと昔に着たベージュのスーツを引っ張り出して着てもらいました。

初任者指導の方が娘のほかに受け持っている初任者数名に対し、いつも泣いている話を職員室で話し、教頭がそれを聞いて、「まだ2週間なのにもう泣いているんですか?」と、バカにした言い方をしているのを聞いて悲しくなったそうです。

娘は食事が喉を通らず、笑顔がなくなり、自傷行為が出てきました。家では泣いています。自分がこうしたいと思う学級があるのに、初任者指導が掲示物などを勝手に変えたり、子どもたちに話しているのに横から口を出してきたり、隣の学年主任は相談したくても、やる事だけを伝えてさっさと帰宅してしまい、同期の子が学年主任と遅くまで授業について話合いやアドバイスを受けているのを横目に、遅くまで残っています。

学年で足並みを揃えなくてはいけないのに学年主任とは話合いもできず、「うちのクラスはここまでやってます。まだやっていないのはまずいですよ」とか「優しすぎるから子どもから舐められるんです。私だったらもっと怒りますけど」と言われるそうです。初めての先生としてのスタートで慣れるのにも苦労しているのに、やりたい放題の1年生を受け持って、何も話合いをしていないのにダメ出しをして、心が壊れないことの方がおかしいと思っています。

教師になるためにどれだけ苦労してきたか、親としてそばで見てきました。「先生を辞めたい」とも言っています。 せめて、自分の住んでいる市に異動願いは出せないのでしょうか?  あまりにも他の市との研修の量も違いすぎるし、教育実習で得たものがことごとく崩されています。こんなに地域によって独自のやり方があるなんて……あんなに子どもが好きだったのに、今は1日1日が辛いようです。これでは、辞める人も多いし、せっかく教員になれても辞退者が多いわけだと思ってしまいます。

親として、我が子が壊れてしまうくらいなら辞めてしまえばいいと思いますが、夢を叶えるためにしてきたこれまでの事を思うと、辛いです。

(かずさん・40代女性)

A. 直ちに校長へ状況報告を。結果次第で休職という選択もあります

まず、普通では考えられないような体制ですね。

・初任者に一年生担任
・初任者指導者は、やってはいけないことを平気でやってくる
・学年の先生が頼れない上にダメ出しばかりしてくる
・メンタルケアは、ない

さすがに、これだけ条件がそろってしまうと、厳しいですよね。落ち込むのは当然です。緊急避難する必要があります。以下のことを娘さんに伝えてあげてください。

まずやることは、校長にそのままの状況を訴えることです。しんどくて家では泣いていると、正直に話しましょう。新任なのですから、何かが足りなくて当たり前なのです。弱音を吐くことは勇気ある行為なのですよ。

ただし、それで心から受け止めて聞いてくれないような管理職ならば、すぐに休職することをお奨めします。「あなたもがんばりが足りない」などと言われたら、すぐに休職しましょう。そのような管理職の元にいたら、きっと壊されてしまうでしょう。

最初は「体調が悪いから休む」と言って、数日、ともかく休んでしまいましょう。そして、休んでいる間に医者(心療内科)に行って「体調悪くて眠れなくて、自傷行為もあって、食事も喉を通らなくて…」という状況を訴えたら、適応障害などの診断書を書いてくれると思います。それを持って、休職しますと管理職に伝えるのです。

もう、がまんしている段階ではありませんよ。ともかく、心が折れ切ってしまわないうちに、一度ステージから降りた方がいいと思います休職してから復帰した教師は山ほどいるし、その後、立派にやれている先生も多いのです

話を聞いていると、真面目な方ですよね。真面目な方は危ないです。折れてしまう前に、自分を守ることを考えた方がいいです。休職してじっくりと心を回復させてから、復帰するかどうかは考えたらいいのです

そのうえで、辞めたって、いくらでも教育の仕事はあります。子どもたちに関われる仕事はたくさんあります。教師だけが教育者ではありません。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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