教科調査官に聞く「新学習指導要領」各教科のポイントまとめ

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いよいよ2020年4月から、小学校で全面実施になる新学習指導要領。『教育技術』でも総力特集してきました。それらの記事を集めてご紹介します。改定のポイントをあらためて確認しておき、授業の指導計画の改善について今のうちから準備しておきたいものですね。

教科書

国語科教科調査官に聞くー改訂ポイントとは

・伝統的な言語文化に関する新しい内容として、第1学年及び第2学年に「イ 長く親しまれている言葉遊びを通して、言葉の豊かさに気付くこと。」を加えました。言葉遊びというのは、いろはうたや郷土かるたなど、昔から親しまれてきたもので、言葉のリズムを楽しめるでしょう。この言葉遊びが、第3学年及び第4学年ではことわざや慣用句、故事成語、さらに第5学年及び第6学年では古典につながっていくのです。
・急速に情報化が進展する社会において、様々な媒体の中から必要な情報を取り出したり、発信したい情報を様々な手段で表現したりすることが求められています。このような背景の中、国語科において、「情報の扱い方に関する事項」を新設しました。

【教科調査官に聞く】国語科の新学習指導要領-改訂ポイントと授業改善の視点 (みんなの教育技術)より抜粋

文部科学省・菊池英慈国語科教科調査官のインタビュー記事では、国語科で新しく追加された内容についてくわしく解説しています。ソサエティ5.0を見据えた情報化社会の中で、国語としとどう関わっていくかも触れています。

 目次  
・「言葉」に着目し、語句や語彙を豊かにする
・読み聞かせや読書などで、「言葉」に着目させる
・新指導要領に「言葉遊びを通して、言葉の豊かさに気付くこと」が加わる
・「情報の扱い方に関する事項」を新設
・新学習指導要領と解説の理解と、教材の具体化を

算数科教科調査官に聞くー改訂ポイントとは

・特に身に付けてほしいことを、知識及び技能と思考力・判断力・表現力等との両方明示したことが大きなポイントです。「計算できればよい」など知識及び技能だけではなく、計算の意味や仕方を考えたりすることなどが思考力・判断力・表現力等に示されているので、そのねらいに沿った授業が求められます。
・数学的活動の一層の充実です。今回、算数的活動から数学的活動に言い換えました。これは、小・中・高等学校を系統立てて算数・数学の活動を整理し、小・中が一貫して同様な数学的活動が行われるようにしました。
・数学的な見方・考え方や育成する資質・能力に基づき、領域の構成を見直しました。領域については、現行の学習指導要領では、特に数量関係の中に、異なる内容が入っていましたが、それを整理して、どんな内容かをひとことで言えるようにしました。「数学的な見方・考え方」はこれまで使ってきた「数学的考え方」と言葉が似ているのですが、捉え方が違います。

【教科調査官に聞く】算数科の新学習指導要領-改訂ポイントと授業改善の視点 (みんなの教育技術)より抜粋
笠井健一教科調査官と増本敦子教諭
文部科学省・笠井健一教科調査官と東京都公立小学校・増本敦子教諭

学習指導要領改訂のポイントや授業改善の視点などをテーマに、文部科学省・笠井健一教科調査官と、東京都公立小学校・増本敦子教諭が対談したときの記事です。新学習指導要領における授業改善のポイントとして「数学的な見方・考え方」をどのようにとらえるかについて解説しています。

 目次  
・改訂のポイントは五つ 数学的活動を意識しよう
・割合、統計を充実
・算数科の「主体的・対話的で深い学び」とは
・対話的で深い学び

理科教科調査官に聞くー改訂ポイントとは

・新しい内容として、3年に「音の伝わり方と大小」、4年に「雨水の行方と地面の様子」、6年に「人と環境」が追加されました。今回の改訂では、 知識の理解の質を高めることが重要視されています。これは、個別ばらばらの知識を個別に理解するだけではなくて、それらを相互に関連付けて理解することが重要になるということです。小学校だけでなくて、小・中・高という学びのつながりのなかで、理解することが大事です。

【教科調査官に聞く】新学習指導要領 理科-改訂ポイントと授業改善の視点ー (みんなの教育技術)より抜粋

文部科学省・鳴川哲也教科調査官と東京都公立小学校・田村正弘校長との対談記事です。 中高学年の単元で追加された内容に関する説明と、学年を越えて単元を関連付けながら授業を構成することの大切さについて触れています。

 目次  
・改訂ポイントは、大きく3つ
・知識の質を高めるために、新しい内容を追加

社会科教科調査官に聞くー改訂ポイントとは

・各学年の単元には、「発展を考える」「選択・判断する」「多角的に考える」などの事項が新たに加わっています。中教審の論点整理を踏まえて、小学校社会科でも、社会的事象の特色や意味などを理解することにとどまらず、主権者として求められる資質・能力を育成する観点から、社会に見られる課題を把握して、その解決に向けて、自分たちの行動や生活の仕方や、これからの社会の発展などよりよい社会の在り方などについて選択・判断したり、多角的に考えることも大切であると整理されました。

【教科調査官に聞く】社会科の新学習指導要領-改訂ポイントと授業改善の視点 (みんなの教育技術)より抜粋

文部科学省の小倉勝登調査官と東京都公立小学校の石井正広校長の対談形式の記事です。 「社会に開かれた教育課程」の視点に立って、資質・能力の育成にどのような課題を設定していくかについて対話されています。

 目次  
・これからの社会科の授業における学習過程
・新たな事項として加わった「選択・判断」などについて
・移行期間中の学習指導のポイント

家庭科教科調査官に聞くー改訂ポイントとは

・学習した知識及び技能などを実生活で活用するための内容の充実として、内容Aに(4)「家族・家庭生活についての課題と実践」を新設しています。「B衣食住の生活」や「C消費生活・環境」の内容と関連を図って、二学年間で一つ又は二つの課題を設定し、実践的な活動を家庭や地域などで行うこととしています。A.「家庭生活と仕事」または.「家族や地域の人々との関わり」の学習を基礎として、日常生活の中から問題を見いだして課題を設定し、習得した知識及び技能などを活用して課題を解決する力と生活をよりよくしようと工夫する実践的な態度を育てることをねらいとしています。

【教科調査官に聞く】家庭科の新学習指導要領-改訂ポイントと授業改善の視点 (みんなの教育技術)より抜粋
文部科学省・筒井恭子前教科調査官と神奈川県公立小学校・横山美明校長
文部科学省・筒井恭子前教科調査官と神奈川県公立小学校・横山美明校長

文部科学省・筒井恭子前教科調査官と神奈川県公立小学校・横山美明校長に対談していただきました。実技教科の大きな割合をしめる「知識・技能」の学習の中で、課題解決する力を育てたり、工夫しようとする態度を養ったりするための授業改善の視点について解説しています。

 目次  
・「生活の営みに係る見方・考え方を働かせ」とは
・新設の「家族・家庭生活についての課題と実践」とは

「深い学び」のポイントとは

教科横断的な高学年外国語の授業づくり

・学校行事等と外国語の授業を関連させて単元を組むことが考えられます。行事等での体験が外国語の表現活動に活かされたり、逆に、外国語の時間の学びを行事等の中で発展させたりすることが期待できるでしょう。
・教科等を双方向に関連付けることにより、子供の主体的な学びを促し、学習で得た「知識・技能」を実際の多様な場面で活用する力が育成されるなど、単独の教科等の学習では生み出し得ない相乗効果が生まれることが分かります。教科横断的な視点に立った単元構成により、教育課程全体が一層充実し、深い学びの実現が期待できるでしょう。

間違えたくない先生、必読! 教科横断的な外国語の授業づくり (みんなの教育技術)より抜粋

新学習指導要領の作成にも携わった佐藤美智子先生による、外国語、外国語活動についての授業作りの提言記事です。「教科横断的な授業づくり」をすることによって、外国語を発展的に学習することを目指す授業改善案について提案しています。

 目次  
・教科横断的な視点に立つ授業づくりとは
・「教科横断的な視点」の必要性
・教科横断的な視点に立つ単元例
・授業実践例
・活動例
・評価について

中学年算数科の深い学び

見方・考え方については、多様なものがあると考えられますが、その中で、例えばまとまりに着目して、そのいくつ分で考える「〇〇の何個分」という単位の考えは、間違いなく大切な数学的な見方・考え方の一つだと思います。しかし一方で、単位の考えは多様な単元の中に出てくるため、「すべてを一つにしてしまってよいのか」という議論も本市研究会の中にはあります。

「数学的な見方・考え方」が「深い学び」のカギ【算数・小三小四】 (みんなの教育技術)より抜粋

新学習指導要領で示された「主体的・対話的で深い学び」というキーワードの中で、特にイメージしづらいのが「深い学び」です。小三・小四の算数では、「数学的な見方・考え方」を働かせるような深い学びのある授業づくりをするには、どこがポイントになるのか。神奈川県公立小学校の松浦信明先生に伺ったお話しをまとめました。

 目次  
・「数学的な見方・考え方」を踏まえて意図的に指導する
・「○○の何個分」という考え方を意識させる
・「○○の何個分」という見方・考え方を「面積」でも働かせる

中学年国語科の深い学びとは

・友達と一緒に課題について考えたり、友達の考えと自分の考えを比較してみたりすることを通して、次第に主題に近付いていき、やがて自分の言葉で捉えられるようになっていく。その時、深い学びがあったと言えるのだと思います。もちろん教師が事前に、「ここまでできるようになってほしい」と考えていた、ねらいまで到達できれば理想的です。しかし、そこまで到達していなかったとしても、その子なりに気付き、変容し、表現できるようになっていった時には、その子なりの深い学びがあったと言ってよいのだと思います。

国語の「深い学び」とは-気付き、変容し、表現できているか (みんなの教育技術)より抜粋

小三・小四の国語の授業を例に、「深い学び」をどのように捉えて授業に臨んでいけばよいか。秋田県公立小学校のベテラン教諭 ・佐藤利美先生に解説いただきました。

 目次  
・プラスの変容=深い学び
・子供は課題追究の過程で、読みを深める
・子供の読みに変容が起こるような、問いかけが大切
・中学年では情意面も深めていきたい

「主体的・対話的で深い学び」実践に必要な教師力とは

・今後は、教師が子供をどのように見ていくのか、つまり「見る力」がとても大事になってくると思います。子供の言動から、内面を的確に見とることができなければ、どのようなよい指導も効果が薄くなるからです。
・「疑問力」も重要だと考えています。「主体的・対話的で深い学び」を実践する上では、まず教師自身が 「問い」を持たねばなりません。例えば、教科書や教材に対しても、子供たちが意欲的になるためにはどういった指導が必要か、その教材の使い方ははたしてそれでよいのか、常に疑問を持ち、問い続けることが非常に大切です。

「主体的・対話的で深い学び」の実践における「新・教師力」 (みんなの教育技術)より抜粋

「主体的・対話的で深い学び」を子どもに求める上で、教師のレベルアップが必須となります。これからの教師が、新学習指導要領に則った指導をするために必要な「教師力」について、和歌山大学教育学部教職大学院・深澤英雄先生が解説しています。

 目次  
・問いを持って「見る力」が重要
・若手教師に必要な「訊く力」・「聴く力」

構成/みんなの教育技術編集部

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