先生はひとりぼっちじゃない!-スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・専門スタッフ~シリーズ「実践教育法規」~
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- シリーズ「実践教育法規」
教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第8回は「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・専門スタッフ」。あなたの学校にはこれらのスタッフが配置されているか、きちんと把握できていますか?
執筆/藤原 寿幸(横浜国立大学教職大学院准教授)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)
【連載】実践教育法規#8
目次
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの役割
スクールカウンセラー(以下、SC)は、心理の専門家として児童生徒等へのカウンセリングや困難・ストレスへの対処方法に資する教育プログラムの実施を行うとともに、児童生徒等への対応について教職員、保護者への専門的な助言や援助、教職員のカウンセリング能力等の向上を図る研修を行っている専門職です(中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」2015年。以下、答申)。
文部科学省の調査によれば、SCの配置の主な成果として、「学校の教育相談体制の強化」や「不登校の改善」、「問題行動の未然防止、早期発見・早期対応」などが挙げられ、配置の拡充や資質の確保が望まれています。
スクールソーシャルワーカー(以下、SSW)は、福祉の専門家として、問題を抱える児童生徒等が置かれた環境への働きかけや関係機関等とのネットワークの構築・連携・調整、学校内におけるチーム体制の構築・支援などの役割を果たしています(答申)。活用状況としては、教育委員会に配置し学校へ派遣を行う派遣型や、学校等へ配置する配置型などがあります。文部科学省の調査によれば、SSWの配置の主な成果として、「関係機関との連携の強化」や「ケース会議等により組織的な対応が可能となった」などが挙げられ、こちらも量的拡充・資質の確保が望まれています。
SC・SSWの配置の課題としては「勤務日数が限られており、柔軟な対応がしにくい」、「財政事情により配置や派遣の拡充が難しい」などが挙げられています。
教員以外の専門スタッフの参画
専門スタッフとは、学校等において、子どもたちへの指導を充実するために、専門的な能力や経験等を生かして、教員と連携・分担し、教員とともに教育活動に当たる人材です。文部科学省は、答申で示された、「心理や福祉に関する支援」「授業等における教員への支援」「部活動における支援」「特別支援教育における支援」に区分された4分野の専門スタッフを配置するなどにより、チームとしての学校の体制を整備し、教職員一人一人が自らの専門性を発揮するとともに、各専門スタッフの参画を得て、課題の解決に求められる専門性や経験を補い、教育活動を充実していくこと、としています(総務省行政評価局「学校における専門スタッフ等の活用に関する調査〈結果に基づく勧告〉」2020年。以下、調査)。
調査では例として、ICT支援員(教員のICT活用能力の向上とICTを活用した授業の実施に寄与)、学校司書(担任教員とのティーム・ティーチングを行い、児童生徒が図書を選ぶ際の支援や授業までに必要な図書を準備)、スクール・サポート・スタッフ(教員の時間外勤務縮減の効果が見込まれそうな学校を選定し、優先的にスクール・サポート・スタッフを配置)、理科の観察実験アシスタント、特別支援教育支援員(特別支援教育支援員が学校を巡回し、発達障害が疑われる児童生徒を医療につなげる取り組み)などが示されています。
また、同調査では地方独自の専門スタッフの活用として、授業補助を行う専門スタッフの活用(日本人の小学校外国語活動支援員が、教材の作成等を補助し、教員と外国語指導助手「ALT」との架け橋となる)、生徒指導業務を支援する専門スタッフの活用(学校だけでは対応が難しい暴力行為等の問題行動が発生している県内の小・中学校に、元警察官、元少年補導職員等を構成員とするスクールサポートチームを派遣)、学校の管理職の業務を支援する専門スタッフの活用(渉外、保護者対応、調査・報告、教職員の出勤管理など多岐にわたる小・中学校の副校長の校務を補佐する副校長校務支援員を配置)なども報告されています。
教員以外の専門スタッフ
1 心理や福祉に関する専門スタッフ
ア スクールカウンセラー イ スクールソーシャルワーカー
2 授業等において教員を支援する専門スタッフ
ア ICT 支援員 イ 学校司書 ウ 英語指導を行う外部人材と外国語指導助手(ALT)等
エ 補習など、学校における教育活動を充実させるためのサポートスタッフ
3 部活動に関する専門スタッフ
ア 部活動指導員(仮称)
4 特別支援教育に関する専門スタッフ
ア 医療的ケアを行う看護師等 イ 特別支援教育支援員 ウ 言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)等の外部専門家 エ 就職支援コーディネーター
「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(中央教育審議会答申、2015 年)より
『実践教育法規 2023年度版』に加筆・修正