学級開きの子ども向け挨拶文例【樋口綾香先生の音声つき】#先生のための先生のお話
学級担任になって初めて子どもたちの前に立って挨拶をする時、どんなことを話すかもう決めていますか? この記事では、みんなの教育技術でも大人気の樋口綾香先生の、学級開き時の子どもたちへの挨拶例を紹介します。どのような意図で話題を選んで、どのように構成しているのか、ぜひここで学んで、自分らしい挨拶の作成につなげてくださいね!
この記事は、音声プラットフォームVoicyとのコラボ企画「#先生のための先生のお話」の取組です。ここで紹介する挨拶文は樋口綾香先生のVoicyで聞くことができます。間の取り方や声色など、子どもたちの前で実際に話す時の様子がイメージしやすい音源になっているので、ぜひ参考にしてください。
目次
「知りたい」があふれる出会いの挨拶
「みなさんおはようございます。私の名前は樋口綾香と言います。去年は何年生の担任だったか、知ってる人いますか。そうです、5年生で担任をしていました。もしかしたら、きょうだい関係で関わりがあった人がいるかもしれません。うん、知ってくれてる人いますね。ありがとう。【POINT1】
今年1年みんなの担任をすることになったので、みんなのことをたくさん知りたいと思ってます。そのために、まずは先生のことをみんなにたくさん知ってもらおうと思いますので、今から自己紹介しますね。【POINT2】
まずは先生の宝物を紹介します。先生の宝物は“ミルク”と“ココア”です。ミルクとココアって何のことかわからないよね。ちょっと電子黒板見てください(写真を投影する)。そう、ミルクとココアは先生が飼っている犬です。チワワのミルクとココアは6歳になります。そう、かわいいでしょ。とっても愛らしいのです。食いしん坊で甘えん坊なミルクとココア。みんなにいっぱい紹介できたらなと思います。【POINT3】
そして、先生の趣味は折り紙です。折り紙が趣味の人いますか。うん、手を上げてくれている。そうだね、たくさん、みんなと一緒に折り紙がしたいなと思ってるので、得意な人はどんどん先生にね、折り紙を教えてください。先生が得意なのは、とっても簡単な折り紙です。でも、みんなで折ると楽しいので一緒に折りましょう。【POINT4】
そして、先生がこの学校の中で一番好きな場所、それは、カイヅカイブキがあるのみんな知ってるかな。そう、大きなね、可愛い木なんだけど、あそこの下にベンチがあります。あの場所が先生は一番好きです。そこに座ってね、みんなが遊んでる様子をボーッと眺めるのが好きなので、外に行くとき誘ってくれると嬉しいです。【POINT5】
最後にいつも先生がやっちゃう失敗談をみんなにお話しようと思います。失敗していたら助けてほしいのだけど、 先生は授業がとっても好きなんです。特に国語の授業が大好きで、みんなのいろんなお話、意見を聞いてるのが一番幸せな時間なんだけど、意見を聞くこととか、黒板に文字を書くことに精一杯になってしまって、気づいたら先生のポケットにいっぱいチョークが入ってることがあります。チョークを黒板の桟のところに置くのを忘れちゃうのです。なので、先生がチョークをポケットにしまいそうになったら教えてくれると嬉しいです。【POINT6】
では、1年間、笑顔の絶えない、とても楽しいクラスにしたいなと思ってるので、みなさんどうぞよろしくお願いします。
【POINT1】問いかけで子どもの言葉を引き出す
一番初めの挨拶は子どもたちがドキドキしていたり、一生懸命話そうと気合いが入っていたりとか、様々だと思います。学年によっても違うと思いますが、挨拶の後、一言挟めたらと思います。
「去年、先生が何をしてたか知ってる人?」とクイズ形式に問いかけたりして、子どもの言葉を引き出しながら、コミュニケーションを取るのがおすすめです。
【POINT2】「自分を知ってほしい」と率直に伝える
「みんなのことをたくさん知りたいからこそ、先生のことを知ってほしい」というメッセージを伝えます。この後、することになる子ども同士の自己紹介も、 みんなが仲良くなるために、まずは自分のことを相手に知ってもらうことが大事なんだということを、一人一人が感じられるようにします。
【POINT3】話題が広がる自己紹介テーマを選ぶ
自己紹介の1つめの内容として挙げた「自分の宝物」は、どの学年でもお話しできるテーマではないかと思います。そして、その宝物にペットを選んだのも、子どもたちの生活背景や経験とか、それらと繋げて、その後話題が増えるようなものをできるだけ選んでいます。
「うちのわんこがね~~~」「飼っているネコがね~~~」など、その後にコミュニケーションが広がる話題を選ぶといいと思います。
【POINT4】子どもと共有できる趣味を伝える
2つめのテーマに挙げたのが「趣味」。私は折り紙を選びましたが、例えば、鬼ごっこが大好きとか、ジャングルジムに登るのがめちゃくちゃ早いですとか、ブランコではどこまでも高くこげますとか、子どもと一緒にできるものを趣味として話すといいと思います。
学年によってその内容は変える方がいいと思いますが、子どもと一緒にできるものを趣味として挙げると、 子どもたちも「先生〇〇好きなんだね、一緒にやろう」という感じで、その後一緒にできることが増えるはずです。
【POINT5】先生と子どもを繋ぐ場をつくる
職員室が好き、図書館が好きなどと伝えておくと、先生が教室にいないときにその場所へ子どもたちが捜しに来てくれたりとか、 その場所へ行く時に、「先生もこの場所好きだから、一緒に行こうよ」と誘ってくれたりとか、そんなこともできるかなと思っています。あえて運動場とか体育館とかではなくて、おとなしい子どもたちも立ち寄ることができる場所を選んでいます。
友だちができなくて一人になってしまう子たちが、居心地の悪さを感じなくていいように「先生、あの場所へ行くんだけど一緒に行かない?」と誘うこともできます。
その子たちを連れ出す目的ではなく、自分の好きな場所に一緒に行ってもらう。そんな風に先生を介して子ども同士がコミュニケーションを図れる場をつくっていけたらと思っています。
【POINT6】苦手なことを伝えて助けてもらう
初めての自己紹介で失敗とか苦手なことを話すのは、子どもたちにとって勇気のいることです。できないことや苦手なことがあるというのは当たり前なんだよ、というメッセージを私から伝えたいなと思います。「自分の苦手なことをクラスのみんなに伝えて、助けてもらう関係性を作っていきたい。だからこそ、みんなも苦手なことを話していいんだよ」というような空気感を作りたいと思っています。
実際に授業がとても好きで夢中になってしまい、チョークがポケットの中にあることは、しょっちゅうです(笑)。でも、この話をしてからは、子どもたちが教えてくれるようになったり、休み時間に私のポケットをチェックしに来て、「入ってたよ」「今日は入ってないね」と、それもまた1つのコミュニケーションになるので、先生も1つお話ししてみてはいかがでしょうか。
【全体のポイント】構成で意識するのは“繋がり”
学級開きでの挨拶を構成するにあたり大切にしているのは、できるだけ子どもたちと先生が繋がるということです。自己紹介の中から、たくさんの共通点を子どもたちが見いだしていけるように話をちりばめています。その見つけ出した共通点が、先生と子どもとのコミュニケーションにつながり、そしてそのコミュニケーションを通して、子どもと子どもがまた繋がっていくことを意図しています。
自己紹介や最初の挨拶というのは、ただ教師から伝えるだけのものではなくて、学級経営の礎となるものだと思っています。大事に話題を選んで、子どもたちみんなが楽しめるような挨拶になればいいなと思っています。
先生は「お話」をする機会が多い職業ですよね。授業開きや行事でのお話、身体を動かすことや読書の魅力を伝えるお話……みなさんの中にあるとっておきの「お話」を、全国の先生にシェアしてくださる方はぜひ、Voicyとのコラボ企画「#先生のための先生のお話」にご参加ください。
※配信の形式にはきまりがあります。本企画のプレスリリースの最後の記載をご参照ください。
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