小5国語科「漢字の成り立ち」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「漢字の成り立ち」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小五 国語科 教材名:漢字の成り立ち(光村図書・国語 五)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校副校長・西村太吾

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、漢字の四つの成り立ち方について学びながら、漢字への興味・関心が高まることを目指していきます。
この学習を通して、「ものの形をもとにしてできているな。」「この漢字は二つの部分が組み合わさっているぞ。右側が音を表していて、左側が意味を表しているぞ。」等々、新しい漢字と出合ったときに、その成り立ちを意識しながら覚える習慣を身に付けられるようにしていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

この単元では、漢字の成り立ちについて学習していきます。
そこで、「会意文字や形声文字を用いて漢字パズルを作ろう」という言語活動を設定します。
児童は第1学年での「かん字のはなし」などの学習で漢字が絵から発達してきた文字であることを知っています。
また、第4学年の「漢字の組み立て」などの学習から漢字には組み立てがあることを知っています。
これらの学習を踏まえ、本単元では、漢字が、その成り立ちから大きく分けて①象形文字、②指事文字、③会意文字、④形声文字に分けられることを学んでいきます。
四つの分類を暗記する内容として扱うのではなく、パズル作りを通して楽しく活動しながら、その仕組みを理解できるようにしていきます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 視覚を生かして学習内容に興味をもたせる

まず第1時で、単元のねらいを明示するためのスライドを見ていきます。
「象形文字」「指事文字」「会意文字」「形声文字」の四つの漢字の成り立ちについて、視覚的に分かりやすいスライドを用いて進めます。「この漢字の成り立ちは四つのうちのどれに当てはまるだろう。」と、漢字の成り立ちに対しての興味・関心を喚起します。

次に第2時では、漢字の一部分がバラバラに並んでいるものから二つを取り出して組み合わせ、会意文字と形声文字を作成する「漢字パズル」に取り組みます。
最初は指導者が準備した漢字パズルに取り組んでみます。「意味のパーツ:青色」「音のパーツ:赤色」というように色分けされたパーツを組み合わせながら既習の漢字を作る活動をします。
「青色だけでできる漢字は会意文字」「赤色と青色の組み合わせは形声文字」というように、視覚的に理解できるようにしていきます。
やり方が分かったところで、「オリジナル漢字パズル作成」をします。漢字辞典を活用して成り立ちを確かめながら作成していきます。指導者が準備した漢字パズルを活用して、児童に「やってみたい」「できそうだ」という気持ちが湧き起こるようにしていきます。

〈対話的な学び〉 友達が作った漢字パズルを解き合う

一人一人が作成した漢字パズルを友達と解き合います。
「自分も同じようなクイズを作ったよ。漢字の成り立ちが分かってきたよ。」と自信をもったり、「これも音と意味が組み合わさってできた漢字なのか。気がつかなかったよ。」とお互いの個性を認めたりすることをねらっていきます。
また、友達との交流を通して自分では見つけられなかった漢字を知ったり、パズルの間違いを修正したりと、気付いたことを共有することで、漢字の学習に対するさらなる意欲をもつことも期待できます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)変化や組み立てを視覚的に分かりやすく提示する

Google スライドやPPT等のプレゼンテーションアプリを用いて、漢字の成り立ちについて指導者が示していきます。漢字の歴史的な変化や色分けによる組み立ての見やすさなど、ICTならではのよさを生かして学習を進めます。

また、使用したスライドは児童の端末にも送り、授業中や家庭でも繰り返し見ることができるようにします。

(2)端末を生かして漢字パズルを交流する

既習の漢字を眺めながらその成り立ちを予想し、漢字辞典で確認後、「漢字パズル」を作成します。
教科書巻末の「これまでに習った漢字」をもとにしてパズルを作り、友達と出題し合います。
その際、ノートに書いた漢字パズルを1人1台端末で撮影し、クラス共有フォルダ等にアップしてシェアするようにします。より多くの友達のパズルを目にすることができるうえに、なかなかうまくパズルが作れない児童にとっても、早く作れた児童のパズルを参考にしやすくなります。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 漢字の成り立ち

【主な学習活動】
1時、2時
第1時 漢字の成り立ちを学ぼう。
○ スライドを見て、漢字には四つの成り立ち方があることを知り、ワークシートにまとめる。<ワークシート①>
○「形声文字」の成り立ちについて、教科書の1⃣に取り組む。<ワークシート②>
○ 教科書の2⃣に取り組みながら、漢字の四つの成り立ち方を確かめる。<ワークシート③>

第2時 漢字の成り立ちを確かめながら、「漢字パズル」を作成しよう。
○ 前時の学習を思い出す。
○ 指導者が作成した漢字パズルに取り組みながら、「会意文字」と「形声文字」について確認する。
○ 既習の漢字を使って漢字パズルを作ってみる。
○ 1人1台端末を活用して作った漢字パズルの写真を撮り、クラス共有フォルダ等に保存する。
○ 児童の1人1台端末で、友達の作ったパズルを解き合う。
○ 学習の振り返りをする。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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