「10の姿」とは?【知っておきたい教育用語】
「10の姿」とは、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」のこと。幼児期に育んでおきたい資質・能力が育まれている幼児の具体的な姿を10個の項目にまとめたものであり、幼稚園、保育所、認定こども園共通の指針です。
執筆/文京学院大学名誉教授・小泉博明

目次
「10の姿」とは
「10の姿」とは「育ってほしい姿」であり、到達目標ではありません。一人一人の発達に応じて育っていくものであり、すべての子どもに同じように見られるものではありません。幼稚園、保育所、認定こども園では、「10の姿」を念頭に一人一人の子どもの発達に必要な体験が得られる状況をつくり、必要な援助を行います。また、幼児期においてのみ重要視されるものではなく、小学校以降の学びの基礎となるものです。
なお、「架け橋期(5歳児から小学1年生の2年間)」のカリキュラムは、幼保小の先生が協働しながら、「10の姿(幼児期の終わりまでに育ってほしい姿)」を手がかりとし、策定することとされています。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
幼児期での生活を通して「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力などの基礎」「学びに向かう力、人間性など」の3つの力を一体的に育みます。「10の姿」のもとになるのは、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域です。
そして、1歳児から小学校入学前の6歳児までに育んでおきたい姿を10の項目に分けて示しました。その内容は、幼稚園、保育所、認定こども園共通の指針とされています。また、文部科学省の幼稚園教育パンフレットでは、以下のように、簡単に整理されています。
●健康な心と体
自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。
●自立心
自分の力でやり遂げる体験などを通じて自信をもって行動するようになる。
●協同性
友達と一緒に目的の実現に向けて考えたり協力したりするようになる。
●道徳性・規範意識の芽生え
よいことや悪いことがわかり、相手の立場に立って行動するようになる。きまりを守ったりするようになる。
●社会生活との関わり
家族を大切にし、身近な人と触れ合って地域に親しみをもつようになる。遊びや生活に必要な情報を役立てて活動し、公共施設を利用して、社会とのつながりを意識するようになる。
●思考力の芽生え
身近な事象から物の性質などを感じ取ったり、予想したりして、多様な関わりを楽しむようになる。
●自然との関わり・生命尊重
自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。生命の不思議さなどに気付き、動植物を大切にするようになる。
●数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しみ、興味や関心、感覚を持つようになる。
●言葉による伝え合い
経験したことなどを言葉で伝えたり、話を聞いたりして、伝え合いを楽しむようになる。
●豊かな感性と表現
心動かす出来事に触れ、感じたことを表現して、表現する歓びを味わい、意欲をもつようになる。
幼児期にふさわしい遊びや生活を積み重ねることにより、幼稚園教育において育みたい資質・能力が育まれている具体的な姿であり、特に5歳児後半に見られるようになる姿です。