犯罪から子どもたちを守る!学級担任のための防犯指導のイロハ

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各地の小学校で起こり続ける事件や事故。もし万が一自らの学校に降りかかった場合、学級担任はどのような対応をすべきなのか。ここでは、防犯のポイントについて具体的に解説します。

監修/ステップ総合研究所所長・清永奈穂

防犯ブザーを鳴らしている子

犯罪から子どもを守るために大切なこと、指導すべきこととは

いざというときに、子どもたちが自分や友達の安全を守るためには、日頃から犯罪をイメージしながら実践的なトレーニングを積み、「安全基礎体力」を付けておくことがポイントとなります。どんなに怖くてもあきらめずに勇気を出して行動することが大事です。 四年生であれば、お互いに協力して他者も守る努力をすることも意識させたいものです。

今回は、子供たちの安全基礎体力を高めるための指導法として「不審者」による犯罪を想定し、
①「犯罪が起きる前にどうしておくのか」
②「その時にどう対処するか」
③「その後どう対応していくか」
この3つのポイントに分けて解説します。

「危機に遭った、その時どうする」を実際に克服するための生きた知識(座学)体験型教育の実践に役立ててください。

①犯罪が起きる前にどうする

20メートル前後左右を見る

犯罪者が人を襲う時には、一定のパターンがあることがわかってきました。犯罪者は約20メートル離れた所(前・後ろ・横)から狙いを定めてきます。そして、見とがめられない、逃げ道がある、好みの子であるなどの条件が揃うと、ぐんぐん近寄り、6メートル手前の所で、実際に声をかけるなどの行動に移します。そのため、できれば20メートル前後を見ながら歩けるようになることが大事です。

特に、一人になった時や夕方以降などは、前後左右、20メートルに気を配りながら見て歩くようにしましょう。

「ひまわり」の場所は要注意

犯罪者が好む場所があります。下の表の「ひまわり」の場所は要注意。他にも、人とどうしても近い距離ですれ違わなければならない場所や汚れている場所(ゴミが散乱、自転車が放置、落書きがされているなど)などは、犯罪者にとって都合のよい場所なので、気を付けましょう。

ひまわりの場所

怪しい人の特徴「はちみつじまん」

犯罪者を見抜くポイントとして、人の姿かたち(男性か、年寄りか、外国人か、障がい者かなど)ではなく、どんな行動をしている人なのかを注意して見るようにしましょう。目安は「はちみつじまん」と覚えさせるとよいでしょう。

例えば、あまりにもなれなれしく話しかけてくるような人は、「きっばりと」しかし刺激しないように 「さようなら」をするべきです。コツは、速足で、目を合わせず、「では」と言ってその場を去ること。それでもついてきたり、待ち伏せしたりするようであれば、完全に怪しいので、早めに地域の警察に連絡しましょう。

必要以上にしつこく話しかけてくる、近付いてくる、といった場合は要注意です。コミュニケーションを取ることによって、誘ったらついてくるタイプか、無理やり迫ったらなんとかなるタイプかなど、「心の隙」を試しているのです。毅然とした態度ですぐに離れましょう。

くれぐれも「基本的には皆よい人である。しかし、もし万が一怪しい人がいたら勇気を出して行動する」ことをベースにして、遊び半分の「不審者発見教育」にはならないようにしましょう。

はちみつじまん

②その時にどう対処するか

 安全確保の方法を指導する

突然犯罪者に襲われた時に安全を確保するために、どのような方法があるのかを指導しておきましょう。

安全確保の指導法

 後をつけられているとわかったら

立ち止まって、他の人が来るのを待つ。場所を変える。防犯ブザーをすぐに鳴らせるようにしておく。110番に電話をする用意をする。走って逃げる等の対処が必要です。

もし声をかけられたら「きっばりと断る」ことが肝心です。そしてその時、帽子、靴、ベルトなど相手の特徴を覚えておくこと。特に靴を覚えておくとよいでしょう。

襲われそうになったら

それでもしつこく追いかけてきたら、「助けてー!」と大声を出さなくてはなりません。できるだけ遠くに聞こえるように、お腹の中から声を出して「助けてー!」 と叫ぶ練習をしておきましょう。身振り手振りを付けると効果的。

もし防犯ブザーを持っていたら、すぐに鳴らし、相手を威嚇することも大事です。ただし威嚇にしかならないので、鳴らしたらすぐに逃げましょう。

もし捕まってもあきらめずに、次のような方法で振り切って逃げようとすることで、未遂に終わるケースもあります。ただし相手がナイフなどの凶器を持っている場合には注意が必要です。

安全確保の方法

③その後どう対応していくか

周囲の人と助け合う

安全な暮らしを守るためには、自分で自分を守るだけでなく、友達や周りの人たちと助け合うことが大切です。

もし友達が不審者と話していて、危ないなと思ったら、友達に「危ないよ」と教えてあげるように指導しましょう。友達が襲われたり、襲われそうになったら、大声で叫んだり、助けを呼んだりすることも重要です。

また自分自身が危ない目に遭ったら、すぐに両親や先生、警察など大人に伝えること。さらに友達から「あとをつけられた」「勝手に写真を撮られた」「声をかけられ、車に連れ込まれそうになった」など、被害に遭ったことを聞いた時も、大人に報告するよう助言したり、代わりに報告してあげたりするように伝えます。

子供との信頼関係が重要

先生方には、子供たちが安心して「怖かった」と言えるような信頼関係を築いていただきたいと思います。

さらに朝登校してきたときに、元気がないなど違和感に気付いたら、そっと声をかけてあげるなど、フォローしてあげることも心がけてほしいものです。

【参考文献】
「犯罪からの安全学習ノート(ハサミとカミはお友だち®)」(「ステップ総合研究所」発行)

取材・文/出浦文絵 イラスト/山本郁子

『小四教育技術』2018年12月号より

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