あいさつのスキルが身につくトレーニング方法【ソーシャルスキル早わかり3】

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対人関係をスムーズにするための知識と具体的な技術=「人づきあいのコツ」を学ぶソーシャルスキル学習。ここでは、「気持ちよいあいさつ」と「効果的な自己紹介」という、人間関係の構築の土台となる基本的なスキルを身につけるためのトレーニングについて解説します。

執筆/荒木秀一

登校の様子

ソーシャルスキル学習とは?

ソーシャルスキルとは、対人関係をスムーズにするための知識と具体的な技術=「人づきあいのコツ」です。
かつては家庭や地域社会での集団の遊びなどの中で自然と身についたソーシャルスキルですが、現代では少子化や地域の教育力の低下といったさまざまな要因によって身につけることが難しくなりました。そこで近年では、集団生活を基本とする学校での学級単位のソーシャルスキル教育の重要性が強調されています。
ソーシャルスキル学習は、「インストラクション」「モデリング」「リハーサル」「フィードバック」「定着化」の5段階で展開されます。詳しくは下記のリンクからご確認ください。
ソーシャルスキル早わかり(1)基礎知識その1
ソーシャルスキル早わかり(2)基礎知識その2

気持ちよいあいさつのスキル

あいさつは、気持ちよい人間関係を築くための基本的スキルです。

小学校時代にあいさつのスキルを身につけておくと、将来社会に出て職場や地域で人間関係を築くときの土台となるはずです。

あいさつは、相手とのコミュニケーションの第一歩です。心地よいあいさつのしかたを身につけ、すすんであいさつのできる子どもに育てたいものです。

授業の基本的な進め方

  1. 校門でのあいさつを撮ったビデオやあいさつの紙芝居を見せて、学習の目的を知らせる。
  2. 問題場面をロールプレイで提示し、モデリングと話合いでポイントを整理する。
  3. 上手なあいさつのしかたの練習▶グループで
  4. 学習のふり返り▶ふり返りカードを書く

授業の実際

①つかむ インストラクション

6年生が校門で、ボランティアで元気よくあいさつしているとき、元気にあいさつを返している子どもや、逆にまったくあいさつをしていない子どもの様子をビデオに撮って見せます(個人批判にならない程度に)。また、友達があいさつをしても知らん顔をして通り過ぎていく場面の紙芝居を見せて、学習の目的を知らせます。

授業の約束を確認します。


②気づく モデリング

「あいさつをしても相手が黙って無視する場面」と「あいさつをすると相手が元気よくあいさつを返してくれる場面」の二つをロールプレイをとおして提示し、感じたことを子どもたちに発表させます。

ロールプレイは、低、中、高学年に応じて、教師同士、教師と子ども、子ども同士など、実態に応じて演じさせるとよいでしょう。

スキルのポイントは悪い例を先にふり返り、感想を言い合う中から、よい例のよかった点を黒板にポイントとして板書します。

【ロールプレイ】

朝の挨拶

悪い例には時間をあまりかけず、よい例のロールプレイに時間をかけ、子どもたちに意見を自由に発表させて、黒板にポイントを掲示していきます。その際、「自分からすすんで言う」や「ハキハキと言う」などの意見も大事なポイントとして肯定的に認めていきます。

スキルのポイント

  • 相手の目を見て
  • 笑顔で
  • 10メートル先の相手に聞こえる声で

③やってみる リハーサル

●グループでする場合

グループでやってみる

①グループの中で2人1組になり、1人が先にあいさつし、もう1人があいさつを返す。
②先生と子どもや大人と子どもなど、場面を変えて何度もくり返す。

●あいさつリレーの場合

あいさつリレー

①グループがそれぞれ輪になって、「○○君、おはよう」「○○さん、おはよう」と、あいさつをリレーしていく。
②最初は右回り、次は左回りで。

先生や授業協力者がくり返しほめることで、スキル強化につながります。


④ふり返る フィードバック

スキルのポイントを書いたふり返りカードに、感想も含めて書きこみます。その後、よかったグループに前に出てもらって、もう一度、「上手なあいさつのしかた」をしてもらいます。

教師はくり返しほめて、スキルの強化をはかります。

「気持ちよいあいさつ」ふり返りカード

⑤生かす 定着化

低学年は「今日のあいさつチャンピオン」などと題して男女各1名ずつ、みんなの前でやらせると意欲が増します。中・高学年は「あいさつ」を標語にしたり、よいあいさつができた人を学年集会などで校長先生や教頭先生にほめてもらいます。

「あいさつ」標語

効果的な自己紹介のスキル

自分を伝え、相手を知る──コミュニケーションは、お互いに知り合うことから始まります。自分を相手に知ってもらうため、効果的な自己紹介ができると、良好な人間関係をつくれます。また、自己紹介をとおして自分の好きなこと・得意なこと・性格などを見つめることになり、それを相手に伝わるように話すことは大切な基本的スキルになります。

  1. 自分のよいところをワークシートに書きこんでおき、新しい発見を発表させる
  2. 問題場面をロールプレイで提示し、モデリングと話合いでポイントを整理する
  3. 自己紹介のしかたの練習▶個人またはグループ
  4. 学習のふり返り▶ふり返りカードを書く

授業の実際

①つかむ インストラクション

子どもたちに「よいところ発見カード」の各項目に、答えとその理由を書きこませます。自分がなぜそれを好きなのか、理由がわかっていると、自己紹介の内容が深まります。教師も書いて発表し、それを聞いた子どもたちに、先生について初めて知ったことや新しい発見を発表させます。こうして、自己紹介によって新しい発見があり、相手とより親しくなれることを感じさせ、自己紹介に対する意欲を高めていきます。

よいところ発見カード(1・2年生)
よいところ発見カード(中・高学年)

授業の約束を確認します。


②気づく モデリング

「小さな声で自信なさげに下を向いて自己紹介をする場面」と「顔を上げて大きな声で表情豊かに自己紹介をする場面」をロールプレイで提示し、感じたことや気づいたことを発表させます。ロールプレイは、どちらも教師が演じるとよいでしょう。

よい例のよかった点を、スキルのポイントとして板書します。

【ロールプレイ】

下を向いて話をする例を示す先生
顔を上げて表情豊かに話す例を示す先生

よい例のロールプレイから、子どもたちに意見を発表させ、黒板にポイントを板書します。その際、「身ぶりや手ぶりを使って」「目を合わせて」「ハッキリと言う」などの意見も、大事なポイントとして肯定的に認めます。

スキルのポイント

  • 相手に聞こえる声で
  • 相手を見て
  • 表情豊かに

③やってみる リハーサル

●グループでやってから全体でやる

グループで一人ずつ自己紹介をする

①グループ(6〜8人)になる。
②一人ずつ自己紹介をする。
③感想をプリントに一言書く。

感想を述べ合う

④ポイントにそって感想を述べ合う。
⑤グループの全員が自己紹介するまでくり返す。

[留意点]
○「よいところ発見カード」から、話すことを二つ選ぶ
○自己紹介は一人30秒以内に
○自己紹介後の時間を十分に確保する

先生や授業協力者がくり返しほめることで、スキル強化につながります。


④ふり返る フィードバック

スキルのポイントを書いたふり返りカードに、感想も含めて書きます。その後、数名の子どもに前に出てもらい、もう一度「上手な自己紹介」をさせます。よかった点(スキルのポイント)を確認しながら、教師はくり返しほめます。

「効果的な自己紹介」ふり返りカード

⑤生かす 定着化

自己紹介を発展させ、朝の会・帰りの会での1分間スピーチや他己(友達)紹介といった活動に取り組ませましょう。

「よいところ発見カード」に書いた内容は、「上手な聞き方」のサイコロトーキングでも使えます。


イラスト/宮地明子

「COMPACT64 ソーシャルスキル 早わかり」より

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