【相談募集中】「教師の資質能力がない」などとことあるごとに言う管理職が嫌です

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先生のための個別相談サービス【みん教相談室】相談&回答一覧

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

20代教諭から「みん教相談室」へ相談が寄せられました。日常的に「教師の資質能力がない」などと言い放ち、飲み会でも集中的なダメ出し……そんな管理職への嫌悪感に悩んでいるといいます。これに回答してくれたのは連載【「チーム学校」への挑戦 】も話題の赤坂真二先生。その内容をシェアします。

写真AC

Q. 管理職に何でもかんでもダメ出しされて……

管理職から、何でもかんでも「できてない。そこまで考えてないな」「教員の資質能力がない」などと言われ、飲み会でも、集中的にダメなところを言われます。  確かに、できていないところもあるとは思いますが、しっかりやっていると思う時でも、先入観で、評価を下げられたりしているように感じます。 誰も頼んでいないのに勝手に動いておいて、意味のない行動と知った後に態度を変えて、「お前に30分もかけたんだぞ!」などと、話をしてくる、 管理職がいやです。 どこもそんな感じなのでしょうか。状況を変えるために何かできることはあるでしょうか。
(羽学先生・20代・男性)

A. パワハラはやっている方が圧倒的に不利です

とりあえず、その管理職の言動を記録することをお勧めします。
何のアクションを起こすにしても、証拠が必要です。
その方が何か言い始めたら「貴重なご指導ですから、録音させてください」と言うのも一つの方法です。それだけで、言うのをやめるかもしれませんね。

その上で、提案できることは以下の5点です。


1、組合に相談する

私の知っている方で、同じように管理職からのパワハラを受けていたとき、組合が支えになったという方がいらっしゃいます。学校内に組合員がいる場合は、まずはその方に相談してみましょう。該当する方がいなければ、各自治体などにおかれた支部等に相談するのはいかがでしょうか。一つの選択肢になります。

2 教育委員会に知らせる

学校を管理しているのは教育委員会ですから、教育委員会に知らせてもよいかと思います。教育委員会に知り合いはいませんか。また、教育委員会の相談窓口がある場合はそちらでもいいかもしれません。しかし、教育委員会とその管理職がつながっている場合があります。実名で訴えると、訴えた側にデメリットを生じることもあります。そうしたことが予期される場合は、匿名の電話をするのも一つの方法だと思います。しかし、そうした事実を知る人が少ない場合は、匿名で訴えても個人が特定されることがあります。管理職が教育委員会とどういうつながりのある人物か把握しておくことは必要です。

3 同僚に助けを求める

これがもっとも取り組みやすく、効果がありそうです。職場に助けてくれそうな、味方をしてくれそうな方はいませんか。できれば、その管理職も一目おくような方を見方につけられると心強いですね。かつて、私の知り合いの新採用の先生が、副校長から馬鹿にされるような扱いを受け続けることがありました。そうしたときに、職場の中堅教師3人が、悩みを聞いたり食事に連れて行ってくれたりしながら守ってくれたそうです。その方は、職を辞することなくその一年を終えることができました。

4 他の管理職に訴える

その管理職が校長であれば、教頭、副校長に訴えるのはいかがでしょうか。その方々が公正な方だったら守ってくれるかもしれません。しかし、味方だと思ったらその逆で、その相談が校長に筒抜けだったということも起こり得ます。相談しても大丈夫な方かどうか見極めをしていただきたいと思います。

5 その管理職が異動するまで休職する

そうやって身を守った友人がいます。友人の所属校の校長は、職員の好き嫌いが激しく、お気に入りの職員には笑顔で話しかける一方で、気に入らない職員には話しかけない、名前も呼ばないような方でした。彼は後者の職員でした。しばらくは我慢して勤務していましたが、ある日、休職を決意しました。半年後、その校長は異動し、彼は速やかに復職し元気に勤務を続けました。

6 弁護士に相談する

弁護士に相談するという手もあります。弁護士に相談する場合は、日本弁護士連合会などのHPを検索し、相談しやすい方を探してみてください。

こうして見てみると、あなたが行動を起こせば、パワハラをやっている方はすぐに窮地に追い込まれることがわかるかと思います。現代社会では立場が上になればなるほど、評判に対する傷は庶務遂行を阻害する要因となります。いじめは「リベンジ可能性」の低い相手に行われることが指摘されています。だから、「合法的に抵抗」したらあなたは絶対に負けません。しかし、それはわかっていてもなかなか行動できないのが現実かと思います。一人ではなかなか行動を起こす勇気が出ないからです。だから、一人でも多くの仲間をつくり、相談し、然るべき行動をとっていただければと思います。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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