【相談募集中】煽ってきたり、勝手に授業を進めたりする元校長に困っている

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「全国教育交流会」代表

中野敏治

研修がある日に授業を担当してもらっている元校長からのパワハラ的な言動に悩んでいるという、中学校教員1年目の先生からの相談が「みん教相談室」に届きました。教頭や校長に相談しても、取り合ってもらえないとのこと……。ここでは、元中学校校長で「全国教育交流会」代表の中野敏治先生からのアドバイスをお届けします。

イラストAC

Q.煽ってきたり、勝手に授業を進めたりする元校長の言動に悩んでいます。教頭や校長に相談しても取り合ってもらえません

初めまして。中学校教員1年目の素人です。ずっと悩んでいることを相談させてください。

教員1年目ということで、私は今、初任者研修を受けています。初任者研修がある日は、私の代わりに、元校長先生をしていた先生が授業を見てくださるのですが、その先生が嫌いで嫌いでたまりません。

授業内容を伝える電話をするたび、「お前はこんなことも知らないのか」と言われたりします。生徒の理解度を伝える際に、「よく出来ています」「○○はほとんどの生徒ができます」と伝えたところ、煽るような口調で、「じゃあテストしてもいいんだな?」等と言われます。言い方まで文面では伝わらないので本当に悔しいのですが、本当に不快になるような話し方をされ、大変ストレスです。

今回5度目のお願いをしたのですが、1度目に授業をしてもらったところ生徒からわからなさ過ぎると苦情が来たため、授業をお願いするのではなく演習の授業をお願いすると、私が作ったプリントがおかしいからやらなくていいと生徒の前で言い放ち、勝手に授業を進められていました。

そんなことを毎回されていては困ることを、教頭先生、校長先生に伝えたところ、その先生は校長先生の知り合い(先輩)らしく、「あー確かにそういう人だよね、とりあえず授業でなくて演習をお願いすれば?」と、笑って誤魔化され、取り合ってくれませんでした。

私がおかしいのでしょうか? 頭は確かによくないと思うので、知識面についてはバカにされても仕方ないかもしれないと100歩譲って思いますが、大人として、社会人として、煽ったり、お願いしたことと全く違うことを勝手にするような人にはバカにされたくありません。そして、そんな人に生徒を預けたくありません。

このモヤモヤはどうしたら良いのでしょうか、教えてください。誰にも相談できません。

(ららら先生・20代女性 中学校 数学)

A.あくまでも意識は子供に向けたまま、この状況を記録しておき、未来へ繋げていくのです

相談内容を読み、日々とても辛く、ストレスが溜まっている様子が伝わってきました。「疲れやストレスは心の扉を閉ざしてしまう」と言われています。どんな状態でも、子供たちへの心の扉は閉ざさず、全開でいたいですね。でも、今は、元校長先生の言動に意識が向かざるを得ない状況だと思います。何をしてもダメ出しされる日々に、学校へ行くのも足が重たい日があるのではないでしょうか。

意識をどこにもっていくかで、多少、今の状況は変わってくると思います。

教師は誰のために存在するのか。もちろん子供たちのためです。その子供たちへ教師として精一杯のことをしてあげたいものです。「私たちのことを真剣に見てくれているのか」ということを、子供たちは敏感に感じ取ります。そこに信頼関係が生まれます。3年生を担任し、その子供たちが卒業していく姿を見たとき、真剣に関わってきた教師は子供たちと一緒に涙を流します。きっとそんな日が、ららら先生にも必ずくるはずです。

では、今の状況に対して、どうしたら良いでしょうか。

意識を目の前の子供たちへ向けることと同時に、元校長先生が指導される内容を記録しておいてはどうでしょうか。そして、その時に、ららら先生はどう思い、どう考えたのかを書いておくのです。「元校長先生は、そう言うけれど、私はこう思い、こういう考えで行なった(行いたい)」という記録です。

ららら先生が教師として経験を積んでいくと、後輩の先生から相談を受ける立場になると思います。その時に、この記録ノートを開いてみるのです。そこには自分の思いや考えが書かれています。ノートに書いた時の状況を思い出すことで、後輩により良いアドバイスができるはずです。

どんな経験も宝に変えてしまうのです。辛い中でも、その辛さを今後に生かしていくのです。それは、これから教師をしていく中でいろいろなことが起きた時に使える考え方です。その時々の自分の思いや考えを記録しておくことは、自身の教育理念を作り上げていくことにつながります。

ららら先生は、ららら先生らしく、子供に真剣に向かいあっていくことが一番です。大丈夫です。頑張ってください。

最後に、元校長先生のおっしゃった「テストしてもいいんだな?」という言葉に関連して、もう少しだけ、お伝えさせてください。

私が中学校で数学を教えていた時、定期テストができなかった生徒がいました。テストを返したあと、その生徒が私のところへ来て、こんな言葉を伝えてくれたのです。

「先生、私、今回のテストはできなかったけど、『数学』は好きだからね」と。

生徒の学ぶ意欲は、テストの点数だけでははかれないものです。子供たちの将来を考えると、「学ぶことが好き」と思える生徒を育てることが大切です。学ぶことが嫌い、嫌々勉強をしていたという生徒より、学ぶことが好きと思える生徒の方が、きっと社会に出て幸せになれると思っています。

私は、今回の相談を受けて、こんなことを考えるに至りました。こんな風に、何か引っかかることがあったりしたときは、ぜひ、考えを整理してまとめて、記録してみておいてくださいね。これからの教員生活において、必ず役立ってくれるはずですから。


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