小6国語「秋深し」板書の技術
今回の教材は、「秋深し」です。本単元は、自分の地域の「秋」を俳句や短歌に表し、短冊に清書し、歌会を開くという学習になります。校庭でのフィールドワークや毛筆での清書など、学習活動が多くなるため、俳句や短歌を中心に、要点をすぐに理解できる板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立学校教諭・中立裕子(せせらぎの会)
単元名 季節の言葉 3
教材名 「秋深し」(光村図書 6年)
目次
単元の計画(全3時間)
1 「秋」をテーマにした俳句や短歌を作る学習の見通しをもち、自分の地域の「秋」を見付ける。
2 自分の地域の「秋」を俳句や短歌に表し、短冊に清書する。
3 学級で歌会を開き、感想を伝え合う。
板書の基本
〇学びのつながりが見える板書
本単元は、「季節の言葉」という年4回に渡る学習内容で、既習の「春のいぶき」「夏のさかり」、本教材の「秋深し」、そして「冬のおとずれ」と、季節ごとに学習します。4回の学習を貫いて二十四節気を学ぶので、二十四節気をカードにし、それぞれの回で学習する言葉を黒板に貼ります。学習後にもいつでも振り返れるように、二十四節気を教室内に掲示しておきます。学んだ言葉を日常生活の中で活用できるようにするためにも、教室内の掲示は効果的です。
本単元は「季節の言葉」の3回目の学習になります。また、自分の地域の季節について俳句や短歌を作るのは、「春のいぶき」に続いて2回目になるので、俳句や短歌についても既習内容が十分に定着するようにします。要点を確実に押さえられるようにするために、俳句や短歌を板書の中心にします。
〇要点をすぐに理解できる板書
本単元では、校庭でのフィールドワークをしたり、毛筆で清書をしたり、活動の多い学習になります。限られた時間の中で子供が学びを深める時間をより多く確保するために、板書の量を必要最小限に抑えて、要点をすぐに理解できる板書にします。
そのためには、先の「学びのつながりが見える板書」と共通して、俳句や短歌を板書の中心にすることが効果的です。また、1/3時間目の「5 自分の地域の『秋』を見つける。」の場面で、秋を見付ける手順を簡単にまとめて示したり、2/3時間目の「4 毛筆で清書する。」の場面で、文ではなく図で説明したりすることで、要点をすぐに理解できるように工夫します。
板書を利用した授業の進め方(1/3時間目前半)
1 「秋」から連想するものを出し合い、秋をイメージする
最初に日付・教材名を板書した後、「深し」に着目させ、既習の「春のいぶき」「夏のさかり」という言い方と比べます。
次に、教材名の「秋」に丸印をつけ、「秋」から連想するものを自由に発表し合います。「〇〇の秋」という言い方があることを伝え、秋のイメージを深めていきます。
2 めあてを提示する
本時のめあてを板書します。本時の学習では、自分の地域の「秋」を見付けることを知らせます。
3 二十四節気の「秋」を表す言葉を掲示し、1つずつ意味を確かめる
教科書に記載されている二十四節気の「秋」を表す言葉を掲示し、1つずつ意味を確かめます。既習の「春のおとずれ」「夏のさかり」で学んだ、二十四節気の成り立ちを想起させ、少しずつ変化する天候や生き物の様子に目を向け、巡る季節の中で育んできた日本人の美意識や自然観を確かめ合います。
4 「秋」に関わる俳句や短歌を板書し、皆で声に出して読み、おおまかな意味を捉える
それぞれの俳句と短歌の語句の意味を確認します。また、2句の俳句については季語を確かめ、それぞれの俳句や短歌のおおまかな意味を捉えます。3つの俳句や短歌を通して、昔の人の物の見方や感じ方に思いを馳せます。
板書を利用した授業の進め方(1/3時間目後半)
1 自分の地域の「秋」を見付ける
自分の地域の「秋」の見付け方を確認します。
「季節の言葉」の学習は、「春のいぶき」「夏のさかり」「秋の深まり」「冬のおとずれ」の4回の内容で成り立っています。フィールドワークに適した秋に、実際に校庭に出て「秋」を見付けてきます。
「秋」を見付けたら1人1台端末で写真を撮り、端末上に記録を残します。
2 次時の見通しをもつ
本時のめあてを基に、板書を通して学習過程を振り返ります。自分の地域の「秋」を見付けることができたことをもとに、次時でその「秋」を俳句や短歌に表す活動をすることを確かめ合います。清書は、短冊に毛筆で書くことを伝えます。毛筆で書くことで、書写との関連を図ります。
板書を利用した授業の進め方(2/3時間目前半)
1 めあてを提示する
日付・教材名を板書した後、本時のめあてを板書します。本時の学習では、前時に見付けた「秋」を題材にして俳句や短歌に表し、清書することを確かめ合います。
2 俳句や短歌の表し方を確かめ合う
最初に、俳句と短歌のそれぞれのリズムを確認します。
次に、俳句には必ず季語を入れるという決まりを確かめます。
前時で秋の二十四節気について学習しましたが、俳句や短歌に入れるかどうかは自由とし、「秋」の自然や気持ちを伸び伸びと表せるようにします。
前時で見付けた「秋」を題材に、各自がノートに俳句や短歌を作っていきます。
3 お気に入りの1句・1首を選ぶ
ノートに作った俳句や短歌の中からお気に入りの1句・1首を選ぶ際のポイントを伝えるために、教師が作った1句を提示します。「秋」の様子や気持ちが表されているか、俳句の場合、季語が正しく入っているかなどが選ぶ際のポイントとなることを確認します。俳句と短歌それぞれの語のリズムも再確認します。
板書を利用した授業の進め方(2/3時間目中盤)
1 毛筆で清書する
書写で習った小筆の持ち方を確認し、筆をまっすぐに立てて穂先で書くことを確認します。
書道セットを準備し、短冊に清書します。
板書を利用した授業の進め方(2/3時間目後半)
1 写真と短冊をデータにする
短冊に清書をした後、前時で撮った写真と短冊を対にして、1人1台端末上で1枚のデータにします。そのデータを使用して、次時に歌会をすることを予告します。
2 振り返りをし、次時の見通しをもつ
本時のめあてを振り返ります。自分の地域で見付けた「秋」を俳句や短歌に表現できたことを喜び合い、子供が自分の作品に自信をもって次時の歌会に臨めるようにします。
構成/浅原孝子