小2国語「かさこじぞう」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「かさこじぞう」です。この単元は、物語で読み取った内容や心情を生かして、「かさこじぞう」の紹介カードを書き、紹介し合うという学習活動をしていきます。登場人物の心情を曲線で表すことで、子供たちに言葉で表現できる力を養っていきます。また、俳句を作る活動にも取り組みます。そのための板書の工夫も紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂

 

教材名 「かさこじぞう」(東京書籍)

単元の計画(全12時間)

1 全文を読んで感想を伝え合い、学習の見通しを立てる。初発の感想を書く。
2 題名や挿絵を基に物語の中で起こった出来事を場面ごとに確かめる。場面分けをして内容の大体を捉える。挿絵を基にあらすじを言うことができるように、場面ごとに、どんな場所でだれが登場し、どんなことが起こったのかを確かめる。
3~7 場面ごとのじいさま、ばあさまについて考える。
8 地蔵さまが、じいさまとばあさまにお正月に必要なものを届けたわけを考える。
9 「かさこじぞう」の俳句を作る。
10 「かさこじぞう」の紹介カードを書き、おもしろさを紹介し合う。
11 紹介したい昔話を選んで、紹介カードを書く。
12 紹介カードを交流し、感想を伝え合う。

板書の基本

既刊の『教育技術(小一〜小六2017.10月号)』に、「保護者の覆面座談会!『板書について』」という記事があり、そこには、次のように書かれていました。

Aさん:私は授業参観に行くと、いろんな教室を見て回ってしまうのですが、これはわかりにくいだろうな~と感じる黒板もあります。
Cさん:例えばどんな?
Aさん:まずは読みにくい。文字の形自体はきれいかもしれませんが、筆圧が弱いのか、文字が薄くて細い先生はチョークを変えたほうがいいのでは、と思うことがあります。
Bさん:あと、文字は大きく書いてほしいですね。保護者は授業参観の時に教室の後ろで見ているのですが、文字が小さくて読めないと感じることもあります。
Bさん:気分で黒板に書いているのか、板書にストーリーがないものを見ると、不安になることも。パラパラと要点だけを書いていたら、子供たちは混乱するんじゃないかなと思うこともあります。

このように、子供たちだけでなく保護者も板書は見ています。子供たちにも保護者の方々にも信頼を得られる板書をめざしていきたいものです。毎回は難しいかもしれませんが、自分の板書を写真で撮る機会をつくるのはおすすめです。

また、写真を撮ることができなくても、机間巡視の合間に一番後ろの席に行ってそこから板書を見ることも大事です。書いているときには気が付かなかった文字の見えにくさや、自分のくせなどを発見できることもあります。客観的に板書について見直す機会を意図的につくるようにしましょう。

板書のコツ(6/12時間目)

小2国語「かさこじぞう」板書の技術
6/12時間目の板書

めあては「じいさまについて考えよう」です。この場面までの「じいさま」について子供たちと振り返り、その後、4場面での「じいさま」に焦点を当て、板書全体でじいさまの変化を表しているのがポイントです。登場人物の心情の変化がわかるように黒板全体を活用しました。子供がその変化の根拠を言葉で表現できるように国語の授業で日々行っています。そのため、本文の言葉にこだわった板書に仕上がるように授業を進めていきました。

板書のコツ① 

「心情曲線」を活用した板書です。「心情曲線」を活用することで、重要な語や文を考えて選び出すことができるようになるからです。国語の授業は、文章の言葉を根拠にして考えることが大事であり、心情曲線は、子供が心情の変化の根拠を言葉で表現できる力を育てるうえで効果的な学習活動です。

本時の板書では、変化があったことがよりわかるように、心情曲線を水色で大きく書きました。その際、子供の意見を聞きながら、根拠となる「言葉」も横に書くようにしました。ここでのポイントは、変化の根拠を「言葉や文」で子供が表現できるようにすることです。

板書のコツ②

「吹き出し」は2年生にとってはとても効果的です。ワークシートなどで、登場人物になりきってセリフを書く実践などをよく見ることがありますが、板書での「吹き出し」はそれ以外にもいろいろと活用する場面があります。

今回は、子供の意見を引き出す板書にするうえで「吹き出し」を活用しています。吹き出しによって、

・考えのポイントを示す
・登場人物の心情を表す

という効果があると感じています。

板書のコツ(9/12時間目)

構成/浅原孝子

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