小4国語「あなたなら、どう言う」京女式板書
今回の教材は、「あなたなら、どう言う」です。この単元は、「よりよい言い方について考え、対話するときに大切なことを理解する」という学習活動です。この学習活動を支えるべく、場面設定を想像し、「自分とは違う立場」を意識できるように板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/前京都女子大学附属小学校教頭・古垣内千鶴子
教材名 「あなたなら、どう言う」(光村図書)
目次
単元の計画(全2時間)
1 対話についての経験を振り返り、それぞれの立場に立って思いを伝える。
2 よりよい言い方について考え、対話するときに大切なことを理解することができる。
板書の基本
〇教材「あなたなら、どう言う」は、相手を見て話すことの大事さ、相手を見て聞くことが人間関係力を育てる上で大切であると理解させることを目的にします。教材のような事例は、日常生活では頻繁に起こっていることです。しかし、教材化するには、背景やその時々の雰囲気に影響されることが多いのです。身近な事例は、基礎・基本となる事項及び方法を習得することによって効果があると判断して、教科書の学習事項を大事にしたいと考えました。
〇教科では指導内容を次のように示しています。
<自分とは違う立場になって考える>
〇それぞれの立場やその人が何を知っているかによって、感じることや考えることが違ってくる。
〇自分がどう思うかだけでなく、もしその人の立場だったらどう思うかを考える。
このことを、教科書の場面設定に準じて考えさせたり、グループで模擬対話を繰り返したりして、「自分とは違う立場」を意識できるように板書を工夫しました。具体的には、次のことです。
①対話の場面を共通にすること(教科書の挿し絵の活用)。共通場面を生かしながら具体的な実際の場面へ広げる。
②「お姉さん、弟 」の2人の会話を基にして、実際の場面を想定する。その想定のなかに、できていること、できていないことを考える場を設け、グループで行う模擬演技に役立つ板書にする。
板書のコツ(2/2時間目前半)
板書のコツ①
「場面①」に続いて、「弟がおもちゃをちらかしている。」と板書します。条件として「部屋をきれいにしたい」という気持ちを伝える言葉を考えさせました。板書には、2人の日頃の関係を記述していません。
子供たちのきょうだい関係で次のように言い方が変わります。
弟がいる姉:日頃、仲良くしている場合は、やさしい言い方になる。
弟がいない場合: 想像するのがむずかしい。
一人っ子の場合:強く言うかやさしく言うかが分からない。
教科書の場面は、姉と弟です。しかし、授業では、兄と弟、兄と妹の場合も話題にして、対話について考えました。
板書のコツ②
「対話をした感想」と板書し、実際に対話をしたときのことを発表させて、「自分のことばかり」「相手の立場を考える」という大事な視点は見付かりましたが、2人のそのときの状況を説明しないと分からないと言う意見が出ました。そこで、「言い方」として黒板の中央にまとめました。
板書のコツ(2/2時間目中盤)
板書のコツ①
「場面②」と板書し、「友達がドッジボールをしている。」ということで考えさせました。
この場面では、日常生活で経験しているので、姉と弟の場合より前提となるものを理解することができました。けれども、日頃、友達に使っている言い方と違う、上品な話し方をする子がいたり、本気でおこる子もいたりして、場面設定の難しさを感じることがありました。
板書のコツ②
教科書の「対話の練習」に着目させ、上手な人間関係をつくることを大事にするための学習であることを理解させる板書になりました。「ぼく」と「友達」という関係や、ドッジボールが好きであることをみんなが知っているかどうかなどのことを考えて、話すこと・聞くことの大事さを理解させるように板書しました。
「相手の立場で言うこと」「よりよい言い方」に話し合いや発表の中心をしぼって、対話の視点を考えさせる板書にしました。
板書のコツ(2/2時間目後半)
板書のコツ①
ドッジボールの場面で、「入れて」「いいよ」という、肯定的な場面はそれほど問題ではないが、「入れない」という返答は、難しいです。しかし、「否定的なこと」も必要です。何が大事であるのかということを考える、気付くことが、学習内容では具体的に示されていませんが、しっかりと考え、見付けることを大事にしました。
板書のコツ②
「場面を想像する」「相手の立場」「練習で学んだこと」などの用語を使って、授業のまとめをしました。板書では「自分とはちがう立場になって考えよう。」「むずかしいけど、大事なこと。」「実せんする(やってみる)と後が気持ちいい。」という言葉でまとめました。
構成/浅原孝子