【相談募集中】苦手な先生と関わることで我慢が限界にきています
苦手な先生と話すことでストレスがたまり、我慢が限界にきているという2年目の先生から「みん教相談室」にSOSが届きました。学校には相談できる人がいないそうです。教員向け法定研修でメンタルヘルス研修の講師をされている臨床心理士・公認心理師の大多和二郎先生からのアドバイスをシェアします。
目次
Q. 苦手な先生との関わりに悩んでいますが、周囲に頼れる人もいません
学年を組んでいる先生で、昨年度から苦手意識を感じている先生がいます。その先生とは昨年度は違う学年でしたが、時折授業に入っていただくことがあり、それが私にはストレスでした。
今年度はその先生と同じ学年にされてしまい、授業も4クラスを私とその先生2人で担当しています。私にとっては、その先生と話すこと(関わりをもつこと)自体がストレスとなっています。今までずっと「今年度が終わるまでは」と我慢をしていましたが、最近その我慢が限界にきているのが自分でも分かります。校内には相談できる先生もいないため、頼れる人が近くにいません。
このままだと自分の人生が壊されてしまうのではないかと最近では考えています。このサイトもネットで検索して見つけました。助けてください。
(2年目の先生・20代女性)
A. 「相談」という形で、自分が限界に達していることを伝えるのも一案
大変きつい状況のようで、心配です。「苦手な先生」との関係での悩みですね。元々苦手意識を持っていた先生と同じ学年に配属されて、授業を担当することになったけれど、「その先生と話すこと(関わりをもつこと)自体がストレスとなっています」という状況が続いていて、相談できる人も、頼れる人も近くにいないということですね。追い詰められている苦しさが伝わってきます。
職場の人間関係は、その業務を行う上での役割を担当する人間が協力しあう関係ができているときに、効率良くなりますし、楽しくやりがいが感じられます。しかし、協力関係が取れなかったり、目標や方針を共有できなかったり、お互いのやり方に納得していなかったりすると、ストレスを感じ、業務が停滞したり、心理的に不快感や不満、怒りなどを感じます。お互いにストレスを感じている場合もありますし、相手は自分のやりたいようにやっていて、自分だけが常に我慢しているような関係になってしまうこともあります。今回の場合、自分の側が我慢することでなんとか関係を維持しているような感じが想像されます。
相手に問題意識がなくて自分が我慢している状況ですと、今後も今の関係が続いていきますから、自分の我慢の限界に達してしまったときが心配です。今まで我慢していたものが吹き出してきて相手にぶつけてしまったり、心身が不調になって仕事することが困難になってしまったり、ということになりかねません。なんとかしたいですね。
「2年目の先生」ということですが、相手はベテランの先生なのでしょうか。ベテランの先生が経験の浅い先生に対して「教えてあげよう」「指導してあげよう」という気持ちから、自分のやり方で進めていき、結果としてベテランの先生のペースに合わせざるを得ない状況になってしまっているのかもしれないですね。もしそうだとすると、自分の個性が生かされず、生き生きと仕事ができなくなってしまっているという現状をベテランの先生に気づいてもらえると良いかと思います。
テニスやバドミントンのダブルスの試合を見ていると、お互いの個性を生かし、協力し、フォローしあって試合している素晴らしい姿を見ることがあります。違う個性をもった人とペアを組んだ場合には、シングルでの戦い方と違ってきます。ペアの場合、お互いの個性を生かした役割と協力関係が必要になります。教育の場でも、複数での指導では「ペアとしての個性の生かし方」が重要だと思います。
相手の先生に不満や苦言ということではなく、「最近、苦しくなってきてしまいました。どうしたらいいのか相談に乗ってもらえますか」と相談という形をとって、自分が限界に達しているということを伝えるのも一つの方法です。
相手の先生が、「よかれと思って」「教えてあげようと思って」自分のやり方で授業を進めていたり、指導の方針を決めていたりしているのなら、「そのやり方についていけなくなってしまったので、今後どうしたら良いか教えてほしい」ということで、「ペアとしての関係性の立て直し」のきっかけづくりをするということです。シングルではうまくいくことでも、ペアになった場合には必ずしもそうでなくなってしまうという事実を知ってもらうということです。
とても勇気がいることですし、怖いかもしれませんが、現状を変えるための一つの方法だと思います。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。