【相談募集中】生徒の暴言、失礼な発言に怒りと嫌悪感が募ります

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臨床心理士・公認心理師

大多和二郎

自分に暴言、失礼な発言を繰り返す生徒に嫌悪感を持ってしまうという先生からの相談が「みん教相談室」に寄せられました。毅然と振る舞うにはどのような心持ちで接すればよいのかという悩みに、臨床心理士・公認心理師の大多和二郎先生からアドバイスが届きました。

イラストAC

Q. 自分に失礼な言動を繰り返す生徒に嫌悪感が募ってしまいます

教員歴3年、採用2年目の中学教師です。子どもに舐められているなあと感じており、発言や態度に傷つけられ、精神的にまいっています。

廊下を通ると、時折一部の生徒から「ブス」と叫ばれたりします。無視していますが、自分の不甲斐なさにいたたまれない気持ちになります。自分が頼りないこともあり、2年目は問題行動の多い生徒が少ないクラスを担任させてもらっているのですが、それでもふとした瞬間、私に対する暴言、失礼な発言が目立つようになってきました。一部の女子生徒から集団で無視をされていた時期もありました。今はありませんが、いつまたそのようなことが起きるかと考えると不安です。

暴言を吐く生徒も、授業中は一応自席に座っています。話を聞かず私語をすることがほとんどですが、参加しようとはしています。授業中に妨害したり、抜け出したりということはありません。

子どもたちは私を傷つけたいのでしょうか? こうした行動をとることにはきっと訳があると思っていましたが、繰り返される誹謗中傷にそうした冷静な考えもできなくなっています。

彼らに対し、怒りと嫌悪感が募るばかりです。こうした暴言に心を病む度に退職を考えましたが、私のことを好きでいてくれる子どもたちも沢山いるので簡単には辞めたくありません。

心を壊さず毅然と振る舞うためには、どのような心持ちでいるべきでしょうか。また、舐められない教師になるために必要なことはなんでしょうか。アドバイスいただけますと幸いです。
(らしお先生・20代女性)

A. 目を見ながら「もう一度言いますか?」と聞いてみてください

「自分に対して失礼な言動を繰り返す生徒」ということですが、その例として「廊下を通ると、時折一部の生徒からブスと叫ばれたりします」とあります。特に何もしていないのに、いきなりひどい言葉を言ってくるという感じでしょうか。暴言を吐く生徒も授業中は妨害したり抜け出したりということはないとありますので、学校や授業に不満があるとか、ある出来事に対しての反抗ということではなさそうですね。

先生の態度や特定の発言に対して不満があって抗議の意味で暴言を吐いているとしたら、そのことについて本人の気持ちを聞いてみるとか、誤解や思い込みがあった場合には、丁寧に説明するなどの対処も必要になるかもしれません。しかし、「子どもに舐められているなあと感じる」ということは、日常的に生徒から失礼な言葉をかけられるという関係性ができてしまっていて、そのことに悩んでいらっしゃると理解しました。

「子どもたちは私を傷つけたいのでしょうか」とありますが、その生徒たちも、年上の人に対して、そして先生に対して無礼な振る舞いをしてはいけないということは分かっていると思います。しかし、子どもの側から何を言っても大丈夫そうな大人がいると、その何を言っても大丈夫そうな感じを「何でも言える快感」と勘違いして発言を繰り返している可能性があります。もし嫌っているのなら無視するか、避けるでしょう。「私のことを好きでいてくれる子どもたちも沢山いる」とのことですから、先生に関心のあることの照れ隠しで暴言をぶつけてくる生徒もいるような気がします。もし、親しみも感じているのなら「先生こんにちは」と普通に好意を示してほしいですね。

とはいっても、これが続いてしまうのは耐えられませんよね。生徒はおそらく「傷つける」という意図はないと思います。らしお先生が退職を考えるまで追い詰められていることは全く気づいていないと思います。誰も好んで悪者にはなりたくないものですから、苦しんでいることが伝わったら生徒の態度も変わるでしょう。そこで、今後の対策としては、「気軽に無礼なことを言いにくい雰囲気」を示すことが大切です。

廊下を歩いていて「ブス」と言われたら、その生徒に近づいて言って、目を見ながら「もう一度言いますか?」と聞いてみてください。咎めるのではなく、真剣に静かに語ることが大切です。それだけで何かが伝わると思います。言葉で説明するより、先生の態度が生徒の心に響きます。そのような態度をとるようにしていると、「何を言っても大丈夫なんだ」という勘違いに次第に気づくようになり、無礼な態度を取る生徒も変わってくると思います。

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