できてますか? 大人の電話応対~小学校教員のための、恥をかかない電話術~

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

一般の企業では、新入社員の初めての仕事は電話応対だ、というところが多いです。社会人としての言葉遣いを身に付けると共に、どんな取引先がいて、自社の組織はどんな構成になっているか、という基本情報を学べるからですね。一方教員は、初任者から第一線の担任となりますが、電話の応対については、よほど機会がない限り学ぶことはありません。そのせいで外部の方からすると、ちょっと恥ずかしい電話応対をしている例もよく見かけます。最低限のマナーくらいは、覚えておいても損はないですよ!

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

あれれ! 教務主任なのに…。変な電話応対がホントに多い!

少し前、隣の席で電話応対しているせんせいのセリフにギョッとしました。

「○○小学校です。あっ、校長せんせいですね。校長せんせいは、ご出張で教育センターに校長会のために出張されています。ただ今、いらっしゃいません」

この方、何と! 今は退職されましたが、以前の勤務校にいらした大ベテランの教務主任なのです。

身内に敬語を使うことはないよな…。
不在の状況を伝えた後、先方がどんな対応を望むか、聞かなくていいのかな…。
校長の詳しい業務内容まで相手に伝えるべきなのかな…。

こういった基本的なことが、ずっと教員だけをしてきた人には分からなかったりします。
ちゃんと学ぶ機会がないため、我流でやっている人が何と多いことか。
社会の波に揉まれている外部の方から見ると、これは相当恥ずかしいです。
電話応対は、以下のポイントさえ押さえればOK。応用はカンタンですよ!

電話応対の4つの心がけ!

まず、言葉遣いうんぬんの前に、この4つは必ず押さえておきたいですね! わたしの体験がもとになっています。

①コール3回以内で出る!

学校にかかってくる電話で頻度が高く、同時にとても重要なのは、保護者からの電話だと言えるでしょう。
そして、学校に電話をかけてくる保護者は、欠席の連絡や何か問題の訴えかけなど、基本的に重い問題を抱えています。一刻も早くそれを伝えたい心理状態でしょうから、こちらがなかなか電話に出ないと、イライラが募ってしまうことにもなります。
一般的に、業務に関わる電話は「コール3回以内で出る」のがいいとされています。これを是非守りましょう。そして、電話を取るまでに3コール以上かかったら、
「大変お待たせいたしました」
と、開口一番伝えましょう。

②「保留」はゼッタイ忘れない!

「保留ボタン」を押さず、送話口を手で塞いで、取り次ぐ相手に伝えること、ありませんか?
『○○センセー、でんわあー、◇◇のお母さんからあ、また◇◇がプリント無くしたってよおー! 対応してー!』
まぁ、職員室の会話では、よくある内容ですね。
しかし、この電話を受けた方、ちゃんと送話口を塞いでいなかったようです。
電話を代わった担任にお母さん、
「また無くしてしまって、申し訳ございません。職員室でも話題なのですね…」。
身内の会話が筒抜けでした。これには担任も真っ青。電話口で恐縮しきりでした。
電話は、半径4メートル以内の人間の声を拾ってしまうそうです。
必ず「保留」ボタンを押しましょう。また、別の電話に会話が拾われることもありますから、身内の会話も丁寧さを心がけましょう。

③切るのはかけてきたほうから。そして受話器の「そっと置き」!

電話の相手が高い地位の人だったり、電話の内容が深刻だったりする場合など、実は起こしがちなミスがあります。大事な用件を早く伝えなければならないと焦るあまり、挨拶もそぞろに電話を自分から…しかも勢いよく切ってしまうことがあります。気持ちは分かりますが、相手に良い印象は与えません。

ア 一般的に、電話をかけてきたほうが先に電話を切る
イ 「それではよろしくお願いいたします」
  「本日はお電話ありがとうございました」
   等、締めの言葉を丁寧に
ウ 切るときは受話器はそっと置く

ということを気にして応対しましょう。

④見えてなくても姿勢良く

わたしの知り合いに、電話応対がとっても上手と評判の教頭せんせいがいます。その秘訣は、電話をするときの姿にありました。見えていない相手にもしっかりお辞儀をし、背筋を伸ばして傾聴しているのです。つまり、相手にしっかり向き合って応対しているかどうかは、微妙な音声のニュアンスとして受話器の向こうの人にも伝わる、ということですね。

ア 姿勢良く、背筋を伸ばして話す
イ 利き腕でメモを取る準備。反対の手で受話器を持ち、即座に伝言の対応ができるように
ウ 通常は笑顔で。話題に応じて、相手への共感を顔に出し、表情豊かに話す
エ 礼をする場合や挨拶のときには、実際に頭を下げる

基本フレーズを押さえよう

電話応対はお約束ごとの集まりです。使うフレーズは、ほぼ決まっています。
なお、電話でよく使われる言葉に「もしもし」がありますが、これは仕事の電話ではNGです。
馴れ馴れしい語感があり、相手を見下しているような印象を与えかねないからです。

ア 電話に出るとき
 「お電話ありがとうございます。○○小学校でございます」
イ 相手が名乗ったとき、用件が分かるとき
 「いつもお世話になっております」
イ 相手が名乗らない、または用件が分からないとき
 「恐れ入ります、ご用件をお聞かせいただけませんか?」
ウ 相手の話がうまく聞き取れないとき
 「申し訳ございません、お電話が遠いようですので、もう一度お聞かせくださいませんか?」
エ 電話番号をお伺いするとき
 「恐れ入りますが、電話番号をお聞かせいただけますか?」
オ 了承するとき
 「かしこまりました」「承知いたしました」
カ ほかの人に代わるとき
 「ただいま〇〇に代わりますので、少々お待ちください」
キ 電話を切るとき
 「わたくし○○が承りました。失礼いたします」

よく知っている相手なら別ですが、自分の個人名を名乗るかどうかについては、相手を見極めてからにするのが無難です。不用意に名乗ったばかりに、セールスやいたずら電話に巻き込まれることもあります。まず丁寧に相手の名前と用件を聞き、仕事上の電話だと確認してから、自分の名前を伝えるようにするのがよいと思います。

電話の取り次ぎのパターン

① 取り次ぐ相手が在席のとき
<名乗り>「はい、○○小学校です」
<相手の復唱>「□□小学校の△△せんせいですね。いつもお世話になっております」
<取り次ぐ相手の確認>「■■主任の▲▲ですね。ただいまおつなぎいたしますので、少々お待ちください」

② 取り次ぐ相手が不在のとき
名乗り・相手の復唱などは上記と同じ
<取り次ぐ相手の確認>「■■主任の▲▲でございますね。たいへん申し訳ございませんが、ただいま授業中で、午後3時には職員室に戻る予定でございます」

☆このほか、不在の理由として…
「ただいま、出張中でございまして…」
「ただいま、席を外しておりまして…」
「ただいま、ほかの電話に出ておりまして…」
「あいにく、▲▲はお休みをいただいておりまして…」
等があります。あまり詳しく教えないことがコツです。

また、相手の急ぎ度に応じて、その後の対応を変えましょう。
<急ぎ度の確認>「お急ぎでしたら、すぐ折り返すように申し付けますが、いかがいたしましょう?」
本当に急ぎの場合は相手をすぐに捕まえます。
<対応の確認>「もしよろしければ、ご伝言を承りますが、いかがいたしましょうか?」
それほど急ぎでない場合は、伝言を残すか、後ほど折返しにします。このように言うと、今伝言を受けてほしいのか、あるいは後ほど折返しの電話が欲しいのかが分かります。
<名乗りと最後の挨拶>「わたくし□□が承りました。折り返させていただくまで、恐れ入りますが少々お待ちください。それでは失礼いたします」  

だいたいこのような対応だとスムーズに取り次ぐことができます。

さわやかに、相手が不快にならないように、丁寧な電話の応対をしていきたいものですね。例えあなたが新人のせんせいであろうとも、電話口に立てば、あなたが学校の代表者なのです。責任重大ですが、基本フレーズを身に付けておけばだいじょうぶです。電話取り名人になりましょう!

イラスト/したらみ

【参考図書】
電話応対、これができればOKです!/直井みずほ/ナツメ社
電話応対はこわくない! 知っておきたい仕事のルールとマナー/松本昌子/池田書店
ゼロから教えて電話応対/大部美知子/かんき出版
新版 電話応対&敬語・話し方のビジネスマナー/尾形圭子/西東社


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山田隆弘先生

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、様々な分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、様々な資格にも挑戦しているところです。

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