小5[Cよりよい学校生活、集団生活の充実]集団の中の自分の役割を考える授業【前文部科学省教科調査官同行監修】動画・道徳科実践レポート
今回は小5の内容項目C[よりよい学校生活、集団生活の充実]、 主題名「集団の中の自分の役割」の授業レポートをお届けします。世の中が不安定になっている時代だからこそ、特に道徳性を養う道徳科の授業が重要視されています。道徳教育の研究に取り組んでいる小学校に、浅見哲也前教科調査官とともに伺い、調査官からのアドバイスを受けつつ、授業実践を動画で分かりやすく紹介します。調査官と授業者とのミニ対談の動画もご覧ください。
授業者/神奈川県公立小学校教諭・岡澤和美
目次
小5 C[よりよい学校生活、集団生活の充実]集団の中の自分の役割を考える授業
主題名:集団の中の自分の役割 内容項目 C[よりよい学校生活、集団生活の充実]
教材名:「バトンをつなげ」(東京書籍)
本時のねらい:みんなで協力することや全体のことを考えて行動したり、自分のできる役割を果たしたりしていこうと考えて、学校や学級の集団に関わっていくことで、集団がよりよくなり、集団の中の1人として自信がもてるようになることに気付き、よりよい学級や学校にしていこうとする態度を育てる。
導入
1 これまでの経験(委員会、クラブ活動、行事など)をふり返り、最高学年としての根拠となるキーワードを挙げ、学習課題へとつなげていく
●「たてわりありがとうの会」の準備時間後のふり返りを共有し、今の自分たちの思いを知る。その際、ロイロノート・スクールを活用し、今の自分の気持ちを次の色で表わす。
●水色…自分にできるのか心配になった。
●桃色…6年生はこれまで毎回たてわり活動を行ってきてすごい。
●黄色…自分たちで進行するのは大変だった。
●緑色…自分たちの行動ができた。
○白色…これからがんばっていきたい。
<授業の動画はこちら>
展開
2 教材を読んで、学習課題に迫っていく
最高学年のバトンを引き継ぐためには、どんな考えを大切にしていけばいいのだろう。
●教材の内容をつかみやすくするため、また、道徳的価値を捉えやすくするために、あらすじと読みの視点を伝える。
バトンを渡す6年生の思い、バトンを受け取る「わたし」の気持ちを考えながら聞く。
「6年生は見えないところでも全体を支えていた」ことに「わたし」が気付くが、どんな思いや考えがあるから6年生は動けるのですか?
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「バトンをつないでいく大事な役目が待っているわたし」は、これからの学校生活でどんなことを大切にしていくと思いますか?
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3 今の自分が一番大事にしていきたいことについて考え、学習課題を深め、ふり返りを行う
●本日の学習課題に戻り、バトンを引き継ぐためにどんな考えを大切にしていけばよいかをみんなで考える。
最高学年のバトンを引き継ぐためには、どんな考えを大切にしていけばよいのでしょうか?
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●子供たちから出された考えを4色で色分けし、今の自分が一番大切にしていきたいことを4つの視点の中から選ぶ。そして、ロイロノートを使って自分が選んだ視点の色を提出箱に提出し、クラス内で共有する。
●水色…自分の役割を自覚して責任感をもつこと。
●桃色…6年生みたいに声をかけて活動すること。
●黄色…みんなにとってもっとよい小学校にすること。
●緑色…学校のみんなをリードして支えていくこと。
●多面的・多角的に考えられるよう、同じ色(同じ考え)を選んだ人同士で交流した後、違う色(違う考え)を選んだ人と交流し、最後に全体で共有する。
終末
4 実践への意欲を喚起する
●6年生からの励ましビデオを視聴する。
●最高学年というバトンを引きつぐためには、他学年をリードして学校の責任を背負うことでよりよい学校をつくることができるということを知りました。
●私は「みんなをリードすること」が苦手です。具体的な場面では、授業をしているときに自分の意見を否定されるのが怖いので、発言することができないけれど、自分の将来や委員会、クラブをまとめて学校を支えるために取り組みたいです。
●この学習をして、6年生のバトンを引きつぐときに、委員会やクラブ、係などですべて責任をしっかりもつことがとても大切だと感じました。
●自分も委員会などで6年生のまねをして、もっとよい学校にしたいと思いました。そして、しっかりとバトンをつないでいきたいと思いました。
●私は前の6年生のようにみんなをリードしたり、支えたりできる6年生になって、来年の5年生にバトンを引きつぎたいです。
前文部科学省教科調査官・浅見哲也先生からのアドバイス
<授業者・岡澤和美先生とのミニ対談はこちら>
浅見哲也先生の解説する道徳科の目標、評価、指導についての動画もご覧ください。
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プロフィール
浅見哲也(あさみてつや)
前文部科学省教科調査官・十文字学園女子大学教授/1967年埼玉県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、1990年より埼玉県熊谷市及び深谷市内公立小学校教諭、埼玉県教育局指導主事、深谷市教育委員会指導主事、深谷市内公立学校教頭、小学校校長兼幼稚園長を経て、2017年より文部科学省教科調査官、2023年4月より十文字学園女子大学教授。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追究中。
取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗