異動先や新たな学年団での、相方の先生とのコミュニケーションのポイント ~毎日、コツコツ、自分から~

連載
松下隼司の笑って!!エヴリディ
特集
職員室の人間関係あるある:リアルな改善策を集めました!

大阪府公立小学校教諭

松下隼司

新年度が始まりましたね。異動された方は新しい環境での人間関係構築に。あるいは、他校から異動して来られた先生や、初めてチームを組む先生とのコミュニケーションに。職員室での人間関係に気を遣っている方も多いのではないかと思います。

そして、現場の教員にとって最も大切なコミュニケーションといえば、やはり学年団でしょう。「自分から話す、聞く。朝と放課後に小さな会話を積み重ねる」。これが、学年団の潤滑油になります。

育児や介護などで、放課後遅くまで残れなかったり飲み会に行けなかったりすることがあるかと思います。そんなときこそ、相方の先生とコミュニケーションをこまめにとり続けることが大切です。

劇団俳優を経て、公立小学校の教壇へ。得意のダンス指導で日本一になったり、絵本作家にチャレンジしたりと、精力的な毎日を過ごす松下隼司先生。その教育観の底には、子どもも指導者も毎日楽しく、笑顔でありたいという願いがあるそうです。そんな松下先生から、笑顔のおすそわけをしてもらうコーナーです。

指導/大阪府公立小学校教諭・松下隼司

1. 1時間目開始までにする毎朝の会話マニュアル

挨拶は自分から

「自分は若手だから」「自分は学年主任だから」などと自分の立場に囚われず、また見返りを求めず…。人間関係の基本は会話です。相手の言葉が欲しいなら、自分から率先して言葉を発しましょう。そうです。自分がしてほしいことを、相方の先生に発信し続けるのです。

難しいことではありません。例えば、出勤時の挨拶は、自分から「おはようございます」と笑顔で言うことを心がけます。この心がけと小さな積み重ねが、学年の雰囲気をつくるのです。

義務感ですると楽しくないので、ゲーム的要素を取り入れるのもいいかもしれません。

  • 「おはようございます」と言ったら、1ポイントゲット!
  • 相手より先に言ったら、1ポイントゲット!
  • 笑顔で言ったら、1ポイントゲット!

そして10ポイントたまったら好きなお菓子を買うなど、自分へのご褒美を決めると、楽しくできますよ♪

笑顔で挨拶するだけで、相手も自分も気持ちがいいものです。

相手が気持ちよくなった上で、その日や翌日の授業や行事、放課後の予定について、職員室の教頭先生の後ろにある黒板を見て確認するようにします。

「おはようございます。今日は、避難訓練が2時間目にありますね」
「おはようございます。今日は放課後、3時50分から職員会議ですね」
「明日は、体重測定ですね。体操服がいりますね」

など、付け加えて言います。

挨拶後の一言でさらに距離を縮めよう

相手と立場が近い場合、挨拶と予定の確認だけだと、もしかして淡泊かな…? と感じることもありますよね。あるいは目上の先生に少し丁寧な声がけをしたい、というときもあるでしょう。そんなときは、最後に一言を添えてみましょう。 

でも、「挨拶の他に、何を言ったらいいか分からない……」と悩まれたことはありませんか? 私はあります! 新任のころ超ベテランの先生と学年を組んだときは、とても緊張して、挨拶だけで精一杯でした。

そこで、授業の週案の計画と同じように、先輩の先生に何と挨拶をするかの週案をつくっていました(さらに家で練習していました……)。

次のように、曜日ごとにある程度、何を言うかを決めていました。

【月曜日】
「今日から1週間ですね」
「今週は祝日があるから4日ですね」

【火曜日】
「今日は、早く帰りたいですね~」

【水曜日】
「1週間の折り返しですね。うれしいですね~」

【木曜日】
「あと2日ですね」

【金曜日】
「今日で終わりですね。うれしいですね~」

あえて自分の人間臭さや弱みを見せるような一言を添えることで、相方の先生に親近感を持ってもらえました(あざとい新卒でしたwww)。自分が学年主任になった今でも、同じようなことを相方の先生に言っています。結構、使えますよ。

2. 放課後の会話マニュアル

「お疲れ様でした」の一言が癒しになる

「お疲れ様でした」と言うのは、退勤時はもちろんですが、放課後の職員室でも言うようにしています。 

6時間の授業が終わったら、ヘロヘロです。自分の教室から、疲労感いっぱいで職員室に戻ってきた相方の先生に「お疲れ様でした」の一言があるのとないのとでは、癒され感が違います。

「お疲れ様でした」の一言があるだけで、味方感、連帯感が沸きます。職員室に戻ってきてよかった~と思います。

自分の教室は、基本、担任1人です。1人で1日、たくさんの子どもたちの安全と安心を保障しながら、6時間の授業ばかりか休み時間までも対応をしています。常に気持ちは張りっぱなしですよね。職員室に戻ったときの「お疲れ様でした」は、あたたかいお茶を飲んだときのようにホッとします。

特に経験の浅い先生は、毎日の授業や子どもの対応で疲れているかと思います。教室から職員室に来たときに、「今日もお疲れ様でした」と学年主任に笑顔で言ってもらえれば、ホッとすることでしょう。

さらに、飴など小さなお菓子でもいいので渡せば、喜んでもらえます。

写真AC

具体的に話す

「お疲れ様でした」の次に、子どもの様子を褒めたり、楽しかったことを話したりするのもおすすめです。

「(先生のクラスの)〇〇くん、がんばってますね、おもしろいですね」
「(自分のクラスの)〇〇さんには、参りました。どうしましょう?」

など、自分から話を振ります。

そのとき注意するのは、具体的に話すことです。

 「今日、何かありました?」

だと、何と答えたらいいか分からないと思われるかもしれません。

特に放課後は、どんな先生でも疲労感がマックスなので、経験上、難しい質問はしないほうが無難かと思います。


ちょっとした挨拶や一言の積み重ねが、職員室の雰囲気をよくしてくれます。ぜひ、心がけてみてください♪

松下隼司先生

松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。

イラスト/したらみ

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
松下隼司の笑って!!エヴリディ
特集
職員室の人間関係あるある:リアルな改善策を集めました!

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました