「ジェンダー・ステレオタイプ」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】

多様性が進む社会でなお、根強く残っているジェンダー・ステレオタイプ。教育現場においては、性別による専攻分野の違いが顕著です。その要因の1つと考えられることについても取り上げます。

執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

「ジェンダー・ステレオタイプ」とは?

生物学的な性差(sex)に対し、ジェンダー(gender)とは、社会的・文化的な性差を指す言葉です。公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンの「日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査」では、ジェンダーおよびジェンダー・ステレオタイプについて次のように説明されています。

ジェンダー
社会文化的に形成される性別で、社会や文化で異なる、男女の役割、関係性、価値などに基づく考え方や、規範や期待を表しています。ジェンダーは、「女性」と「男性」だけでなく、ノンバイナリー(女性にも男性にも分類されない、もしくは両方を持ち合わせている)など、多様な性自認のことも指すことがあります。

ジェンダー・ステレオタイプ
性別に関し社会に浸透している固定観念や思い込みのこと。

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン「日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査」

ジェンダー・ステレオタイプの身近な例としては、「男性は仕事、女性は家事・育児に向いている」「男性は論理的、女性は感情的」などがあります。

ジェンダー・ステレオタイプを最も受ける場は学校

「日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査」では、高校生がジェンダー・ステレオタイプ的な表現や発言を向けられた場所・場面として、全体で「学校」が最も多く76.6%、次いで「家庭」が46.0%、「塾や習い事」が12.5%との結果が出ています。

女子生徒が向けられた発言として、「女の子なんだからもっとおしとやかにしなさい」「女なんだから大学には行かなくてもいい」、男子生徒には「男の子なんだから我慢しなさい、泣かない」「男は学歴が大事だ」などの体験が寄せられています。

また、男女ともに「理系は男子、文系は女子」など、学習面においてもジェンダー・ステレオタイプを押しつけられていることが分かったとしています。

性別による専攻分野の偏りと、ロールモデルの有無

内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 令和元年版 第2節 進路選択に至る女子の状況と多様な進路選択を可能とするための取組」では、現在は教育内容に男女で取り扱いの相違はないとする一方で、進路選択には男女の相違があると指摘しており、その要因を次のように述べています。

高等学校卒業時点の進路選択には,それまで生徒が置かれていた環境と選択の先にある将来の環境の双方が影響すると考えられる。

男女共同参画局「男女共同参画白書 令和元年版 第2節 進路選択に至る女子の状況と多様な進路選択を可能とするための取組」

日本の学校では、教育機関の段階が上がるにつれ男性教員の割合が増加します。また、文系科目(国語、英語)に女性教員が多く、理系科目(数学、理科)および社会で男性教員が多くなっており、このことが、生徒の好きな科目の傾向と一致すると述べられています。

さらに、理数科目を女性教員から教わっているか否かで、女子生徒の理系科目の捉え方に差があると指摘しています。

「女子生徒等の理工系進路選択支援に向けた生徒等の意識に関する調査研究」によると自身を「理系タイプである」もしくは「どちらかといえば理系タイプである」と位置付けている割合を,中学校で理数科目(数学,理科)を1科目でも女性教員から教わっている女子と,2科目ともに男性教員から教わっている女子とで比較すると,それぞれ33.8 %,22.5%となっており,前者が11.3%ポイント高くなっている。(中略)理数科目の女性教員の存在は,身近なロールモデルとして女子の目に映っているとも考えられる。

男女共同参画局「男女共同参画白書 令和元年版 第2節 進路選択に至る女子の状況と多様な進路選択を可能とするための取組」

ジェンダー・ステレオタイプを押し付ける発言をしないことはもちろん、理系の女性教員を増やすなど、多様なロールモデルがいる学校・社会に変わっていくことが、生徒が性別に縛られずに進路を選ぶために重要と言えるでしょう。

▼参考資料
公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン(PDF)「日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査」2022年
男女共同参画局(Webサイト)「男女共同参画白書 令和元年版 第2節 進路選択に至る女子の状況と多様な進路選択を可能とするための取組

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