新米先生でもできる!くつ箱・名札・教室環境からはじめる学級経営

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新年度のスタート時、若手の先生におすすめする生活指導のポイントは、上履き、名札、教室環境の3つ。そして、指導は、できていない子を叱るのではなく、できている子を褒めることが肝要。教師がこれを意識するだけで、子供同士もよいところを見つけ合うようになり、安心できるあたたかい空気が教室にもたらされるのです。

執筆/東京都公立小学校教諭・松原夢人

photoAC

一番大切なのは「明日も学校に行きたい」と思えること

「どうやって学級経営をしていけばいいのでしょうか?」
「上手く学級経営をしていくコツを教えてください」

教育実習生や若手教員がよく聞いてくる質問です。

授業で学力を高めることも大切ですが、子供たちが「明日も学校に行きたい」と安心感と期待を抱いてもらえるよう、学級を運営していかなければなりません。そのために学級担任に求められるのは“子供一人一人へ目が行き届いた学級指導”です。

子供一人一人へ目が行き届くようにするためにはどうすればいいのか? それは「できている子供にも注目し、褒めて目立たせること」です。どのように指導していけばいいのか、ポイントを3つに絞って説明していきます。

くつ箱(下駄箱)

教室では常に学級担任が子供たちを見ていますし、子供たちも学級担任に見られているという意識をもって生活しています。しかし、学級担任の目から離れて死角になりやすい場所があります。それは「くつ箱(下駄箱)」です。

気持ちが解放された子供の態度が、そのままくつ箱の状態に表れてしまうのです。乱雑にくつが置いてある状態は特に目立ちますから、そのくつの持ち主の子供に対して「くつを揃えて置くようにしましょう」と声をかけて注意を促すなどの指導方法が考えられます。

しかし、私はくつをきれいに揃えて置いている子供を見つけ、褒めて目立たせる方法をとっています。具体的には、以下の通りです。

  1. くつ箱(下駄箱)の様子を見に行って、くつをきれいに揃えて置いてある子供の名前をチェックする。
  2. 教室に戻って来て、子供の名前を一人一人呼んで起立させる。
  3. 「くつのかかとを揃えて、真っ直ぐ置いてありました。すばらしいです」と具体的に褒めて、みんなで拍手をする。

そうすると、名前を呼ばれた子供たちは自分の行動を称賛されて嬉しい気持ちになりますし、名前を呼ばれなかった子供たちは「次はくつを揃えよう」という意識が芽生え始めます。子供たちが登校してきた後、中休みが終わった後、昼休みが終わった後の1日3回も褒めるチャンスがありますから、非常に有効です。

名札

名札の着用が義務付けられている学校では、子供たちは朝の支度をする際に名札を胸に着けることが習慣になっているでしょう。当然、名札は目立つ位置にあります。その名札を身に着けないということは「自分は学校のルールを守っていません」と意思表示をしているようなもので、非常に目立ちます。

名札を着けていない子供に対して「名札を着けましょう」と声をかけて注意を促す指導方法もありますが、この場合も「くつ箱」と同様の方法を行うことができます。具体的には、以下の通りです。

  1. 「これから、とても良いことができている人の名前を呼んでいきます。とても良いこととは何なのか、当ててみてください」とクイズを出す。
  2. 「 〇〇さん」「△△ さん」「■■ さん」 と次々に名前を呼んで、名前を呼ばれた友達の共通点を見付けられるようにする。
  3. 子供たちの方から「ぼくは?」「わたしは?」と質問してきた場合は、「できていますよ」「残念だけど、できていません」と返答する。
  4. 最終的にはクイズの答えを明らかにして、名札を身に着けていた子供を褒め、みんなで拍手をする。

名札に限らず、学級の子供たちの「できていること」についてクイズを出すことにより、友達の良いところを見つけ出す力(見方)を養わせることができます。

教室環境

学級で集団生活をしていると、教室のごみが大量に出ます。はさみで切った紙の切れ端、消しゴムのかす、鉛筆の芯、ティッシュなど様々です。整理整頓が苦手で机の中にごみを溜め込んでしまう子供や、使った物を机の下によく落としてしまう子供は特に目立ちます。

だから、反対に、自分の持ち物の管理がきちんとできている子供や、物を大切に扱っている子供に対して、学級担任が意図的に働きかけて目立たせる必要があるのです。子供が以下の行動をしている姿が見られた時などに、褒めて学級全体を注目させます。

  1. 机の上の消しゴムのかすを集めて、ごみ箱へ捨てようとしている子供の姿
  2. 机の中にあるものを取り出して、必要なものと不必要なものに分けている子供の姿
  3. 床に落ちた細かいごみを集めるために、ほうきとちりとりを持ってきた子供の姿
  4. 床に落ちていた友達の持ち物を拾って、その友達の机の上に置く子供の姿
  5. 「これは誰のですか?」と落とし物の持ち主を探し回っている子供の姿
  6. 友達が筆箱を床に落として散乱した中身を、一緒に拾い集めている子供の姿
  7. 友達の持ち物が紛失してしまったとき、探すのを手伝っている子供の姿
  8. 鍵盤ハーモニカや絵の具、本、油性ペンなど学級の持ち物が乱雑に置いてあることに気付き、きれいに並べる子供の姿
  9. 「先生、私の机の中はきれいだよ」と自信を持って報告しに来た子供の姿
  10. ごみ箱の中のごみが多いことに気付き、ごみ捨てに行く子供の姿

など、褒めるところはたくさんあります。子供たちは褒められたことで「できるのが当たり前」と思っていた行動が「良い行動だった」と自覚できるようになり、それが継続・強化につながっていきます。

また、学級全体の注目を集めることで模範的な行動を真似しようとする子供も増え、モデリング(観察学習)にもつながります。

まとめ

くつ箱や名札、教室環境など「子供たちの細かい部分まで見なければならなくて大変だ」と感じる人もいるかもしれません。しかし、その細かい部分まで「私の目は行き届いていますよ」というメッセージを発信して、子供たちに伝わっていることが重要なのです。

「あなたたちのできていないところを監視して、厳しく指導しますよ」というより、「あなたたちのできているところや必ずできるところを見守って、ちゃんと評価しますよ」というスタンスで学級指導をしていくと、子供たちにとって“安心できるあたたかい学級“へと変化していくはずです。


いかがでしたか?
「学級経営」というと、難しいことのように感じるかもしれませんが、子供たちを見つめるということなら、できそうな気がしませんか? 応援しています!

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