小4[C家族愛、家庭生活の充実]家族の助け合いを考える授業【文部科学省教科調査官同行監修】動画・道徳科実践レポート
今回は小4の内容項目C[家族愛、家庭生活の充実]、 主題名「家族の助け合い」の授業レポートをお届けします。世の中が不安定になっている時代だからこそ、特に道徳性を養う道徳科の授業が重要視されています。道徳教育および、ICTの研究に取り組んでいる小学校に、浅見哲也教科調査官とともに伺い、調査官からのアドバイスを受けつつ、授業実践を動画で分かりやすく紹介します。調査官と授業者とのミニ対談の動画もご覧ください。
授業者/千葉県公立小学校教頭・永田 友
目次
小4 C[家族愛、家庭生活の充実]友達との本当のつながりを考える授業
主題名:家族の助け合い 内容項目 C [家族愛、家庭生活の充実]
教材名:「お母さんのせいきゅう書」(東京書籍)
本時のねらい:せいきゅう書の違いや、「たかし」が考えたことに目を向けることで、家族の一員として、家族みんなで協力し合って家庭をつくっていこうとする態度を育てる。
導入
1 自分と家族との関わりについて経験を想起することから問題意識をもてるよう、アンケートに答えさせる
●<アンケート項目>「お手伝いをしていますか?」「何をしていますか?」「どんな気持ちでしていますか?」「値段をつけるとしたらいくらですか?」などの質問に対し、子供たちは、Googleフォームで回答する。その回答の結果から友達や学級の傾向を把握できるよう、グラフやテキストマイニングを活用して見える化を図る。
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展開
2 教材を読んで、話し合う
●「家族と協力するために、大切なことはどんなことだろうか」ということを考えながら読むように伝える。デジタル教科書を活用して範読を行い、それについての感想を出し合う。
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●それぞれの場面での、行動と気持ちを考えていく。
たかしが請求書を出したときは、どんな気持ちだったのですか?
お母さんが、たかしへの請求書を全部0円にしたのは、どんな気持ちからですか?
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たかしは2つの請求書からどんなことを学んだのでしょうか?
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3 これからの自分について考え、主題についての考えを深める
●Google Classroomの質問機能を使い、「自分は家族の一員として、どんな気持ちを大切にしたいですか。また、どんなことができそうですか?」という質問に対し、自分の考えを入力して、教師のパソコンに送信する。その後、友達にコメントする。さらに、「すてきだと思った考え」を取り上げ、全体に広める。
自分は家族の一員として、どんな気持ちを大切にしたいですか。
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●お手伝いについてのアンケートにGoogleフォームで回答できるようにし、テキストマイニングを使ってはじめの考えとこれからの自分とを比べられるようにする。
<テキストマインニングの比較>
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終末
4 学習のふり返りを行う
●今日の学習を通して考えた、これまでの自分やこれからの自分についてふり返り、Googleフォームに回答できるようにする。
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●これからも家族の一員としてお手伝いを当たり前にして、家族がやってくれたことに感謝して、がんばっていきたいと思いました。
●家族を思うことはお手伝いがお金のためじゃないことがよく分かった。
●家族を大切にする気持ちが大事だと分かりました。なので、これからは、思いやりを大切にしたいと思いました。
●家族と協力して暮らすのは大事なことだと思いました。これからも家族の手伝いをしたり協力したりして暮らしていきたいです。そして家族に感謝の気持ちをもって手伝いをしたいです。
●やさしさはお金には表せない、ということが分かりました。これからは、もっと家族を大切にしたいし、家族が疲れているときには、私が手伝いをやりたいと思いました。
●お母さんたちは毎日疲れていても面倒を見てくれるけど、私はお手伝いをしたら「お金をくれる?」と聞いてしまうから、お金をもらわなくても自分からしっかりとお手伝いをして家族の一員として過ごしたいし、家族のことを大切にしたいです。
文部科学省教科調査官・浅見哲也先生からのアドバイス
<授業者・永田 友先生とのミニ対談はこちら>
浅見哲也先生の解説する道徳科の目標、評価、指導についての動画もご覧ください。
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プロフィール
浅見哲也(あさみてつや)
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官/1967年埼玉県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、1990年より埼玉県熊谷市及び深谷市内公立小学校教諭、埼玉県教育局指導主事、深谷市教育委員会指導主事、深谷市内公立学校教頭、小学校校長兼幼稚園長を経て、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追究中。
取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗