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#53 著者から読者へ贈る言葉【連続小説 ロベルト先生!】

連載
ある六年生学級の1年を描く連続小説「ロベルト先生 すべてはつながっています!」

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

トラブルあり、笑顔あり、学級経営の難しい小6の1年間を小説につづった「ロベルト先生 すべてはつながっています!」。前回でお話が完結しましたが、お楽しみいただけましたか。今回は著者の浅見哲也先生からの熱いメッセージをお届けします。

嬉しいことも辛いこともたくさん詰まった教師という職業。浅見先生の考える教師像とは? 浅見先生のメッセージは、教師という職業愛へと”すべてはつながっている”のです。

テレビドラマの熱血教師に憧れて……

アイドル全盛期の80年代に青春時代を謳歌し、1990年代、つまり、平成初期に教師になった私は、武田鉄矢さん演じる「3年B組金八先生」をはじめ、田原俊彦さんの「教師びんびん物語」、水谷豊さんの「熱中時代」に憧れて教師になりました。私と同じように、テレビドラマの世界に憧れて教師になることを目指した人もいるのではないかと思います。

そして、実際に教師になってみると、学校では、子どもたちとの喜怒哀楽の中で、その都度悩み、子どもたちに寄り添いながら解決策を考え、子どもの中に答えを見つけていきました。そんな毎日は気苦労の連続ではありましたが、子どもたちの成長を肌で感じ、子どもたちの夢に併走し、感動を味わうことに、教師としてやりがいを感じることができました。

私が教師となって1年目、新任教師の研修会で、確か、こんなことを発言したのを覚えています。

「実際に学校の先生になってみると、放課後、子どもたちを近くの土手に連れていって、夕陽に向かって走ったり、石を投げながら大声で叫んだりすることができませんでした。日曜日に子どもたちを校庭に集めて、時間を気にせずに遊ぶこともできませんでした。校長先生や教頭先生、先輩の先生に相談すれば、結局のところ、子どもに事故が起きたときに責任がとれますか?と反対に問われて、何も言えなくなりました。私が思い描いてきた学校生活は、テレビドラマの中だけの理想の姿でした」

今、思えば、こいつは何か勘違いをして教師になったのではないかと困惑されたと思います。また、少しは共感していただいたとしても、一見冷たく思えるような答えを返さなければならなかったことに、心を痛めていたのかもしれません。私の無茶な話でしたが、少なくともこの頃は、こうした発言ができた時代でもありました。

本連載に託した思い ー 教師という仕事を楽しもう!

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