【相談募集中】持ち上がりを避けることは「逃げ」でしょうか?
5年生を受け持つ男性教諭から「みん教相談室」へ相談が寄せられました。学級崩壊を経験したクラスを来年度も担任することに限界を感じているそうです。持ち上がりを拒む行為を「逃げ」と思われてしまうのではという悩みに、兵庫県公立小学校校長・俵原正仁先生が回答した内容をこちらでシェアします。
目次
Q. 来年度もこのクラスを受け持つことに限界を感じています
持ち上がりを避けることは「逃げ」でしょうか? 現在3年目で、5年生を担任しています。かつて学級崩壊を起こしたクラスで大変な子たちが多いです。しかし、すごく素直な子たちでもあるのでこの1年(残り数か月ありますが)なんとか大きなトラブルはなくここまできています。
しかし、もう心身共に限界が来ており、来年は受け持ちたくないと思ってしまっています。他の先生方からは「多分持ち上がりだろう」と言われていますが、別の学年で希望を出したいと考えています。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」とよく聞きますし、精神的にも勉強になるとは思うのですが……厳しいです。管理職との面談でもその旨は伝えるつもりですが、こういった行為は「逃げている」と思われてしまうのでしょうか?(ぺこ先生・20代男性教諭)
A. 教師の力量を上げるためにもオーバーワークはせず、休息を!
ぺこ先生、相談してくださり、ありがとうございます。まずは、1年間、お疲れさまでした。大変ハードな日々を過ごされたことでしょう。
結論から申し上げます。私も、来年度は別の学年担任を希望することがベストだと考えています。外の目よりもぺこ先生の思いを大切にしてください。
というのも、私自身、これまでの教師生活の中で、ちょっと違うなと感じていたにもかかわらず、外の目を気にして行動したことで、うまくいかずに後悔したことが何度もあったからです。この1年間のぺこ先生と子どもたちとの関係から、持ち上がりをしたとしても、たぶん学級崩壊などの大きなトラブルは起こらないと思います。それでも、自分の心はごまかせません。
周りに気を使うあまり、「担任は受け持ちたくない」という自分の思いを無理やり封じ込めて担任をしても、そのうち、どこかに無理が生じてきます。ぺこ先生には、「あの時、ああすればよかった」と悔いの残るようなことをしてほしくないと思っています。
ただ、残念ながら、「逃げている」と思う人はいるかもしれません。でも、その様な人はぺこ先生のことを分かっていない人です。過剰に意識することはありませんが、ぺこ先生のお気持ちを素直に話せば、むしろ、「1年間お疲れさまでした。学校のためにありがとう」という言葉が返ってくるのではないでしょうか。
中途半端に距離をとるのではなく、胸中に飛び込んで、自分の気持ちや現状を素直に話すことが一番です。心ある人なら理解してくれるはずです(もし、管理職が理解してくれないとしたら? そんな管理職のために無理をしてまで働く義理はありません。再度、「心身ともに限界です」と強調して、心置きなく断ってください。周りの先生は、ぺこ先生の味方になってくれます)。
ちなみに、筋トレの世界の言葉に「超回復」というものがあります。筋トレで筋繊維を破壊して、その後、十分な栄養と休息をとることで、筋トレ前よりも筋肉が大きくなるというメカニズムのことです。休息をとらずに、筋トレばかりしてオーバーワークになってしまうと、かえって筋肉は発達しないのです。
「超回復」で教師の力量を上げるためにも、オーバーワークにならないように休息を行うことは大切です。「若い時の苦労は買ってでもしろ」は、高度成長期やバブル期の話です。令和の時代に気にする必要はありません。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。