<小学校卒業シリーズ>学校への恩返し・恩送り

小学校の卒業という、感傷的なときを迎えつつある児童たちは、中学校への不安と期待のいりまじった気持ちで、小学校でやり残したことはないかと考えるものです。この時期、卒業担任としては、「感謝の気持ち」を醸成させることがいちばんの仕事でしょう。では、その気持ちをどう伝えていくのが良いでしょうか? 卒業時期、こんな計画をたててはいかがでしょうか。
【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

目次
1 奉仕活動は任せて!
①校舎の清掃大作戦
日頃の清掃活動で手が入らないところはどこか、児童に考えてもらいます。担任といっしょに校舎を回ってみると、けっこう児童は気付いてくれます。
●下駄箱の中の土汚れをきれいにしたい
●体育館のボールを拭いて、抜けた空気を詰め直したい
●図書室の本を移動して棚の埃を拭きたい
●音楽室の楽器を磨いて整理したい
●理科室の試験管やビーカーなど、器具を洗って整頓したい
●玄関の傘立てをきれいに洗いたい
●絵の具や版画インクの汚れが残った図工室の机を拭きたい
などなど…。たくさん出てきたら、あとはどれだけの時間と人を当てられるか考えて割り振ります。実行委員会を作り、自治的に計画をたててもらうといいですね。
②使えるものを作る
先輩たちが作っていったものを使わせてもらうという伝統がある学校は、自分たちが共同制作する話をすると、これを作ってみたい! と色々な案が出てくると思います。でも、初めての場合は、趣旨を説明したり、ほかのせんせいや児童にインタビューをしたりして、計画を立てて取り組みたいです。制作の主力となる児童を決め、担当教諭とともに技術指導を受けながら制作するようにしていきます。最後に着色をするときなどに全員が関わるようにするのがいいですね。
例えば、
●椅子
●花瓶などを置く台
●本棚
●片付け用の大きな木箱
●ボードゲーム(手づくりオセロ・手づくり将棋など)
などが喜ばれます。
また、運動系では、
●的あてボード(ボールを何点のところに当てられるか競うボードです)
●なわとび練習台(頑丈な合板に角材等で足を付け、しなるようにしたもの。跳ぶと弾むので、なわとびが楽しくなります。ジャンピングボードとも呼ばれます)
●缶ぽっくり(缶下駄、つまり缶の竹馬です。缶の底にヒモを通して結び、手で引いてコントロールできるようにします。給食室から大きな缶をいただくと良いです)
などなど、いろいろなものを作ることができます。ただし、安全性には十分注意しなければらないです。ぜひとも教頭せんせいや担任の監修・点検が必要です。
2 会えなくなるせんせいや友だちへ
多くの人が経験していると思いますが、小学校を卒業して以来、一度も会ったことがないせんせいや友だちはたくさんいます。この時期に、そんな将来への手立てが、何かできないものでしょうか。
①せんせいへの感謝状や寄せ書き
担任のせんせいへの感謝状ですから、担任が主導することはできません。担任以外で六年生に接する機会のあるせんせい、ぜひ考えてみてはいかがでしょう? また、例えば複数の学級ある場合は、ほかの学級や担任へのメッセージをつくるのもいいかもしれないですね。寄せ書きなども嬉しいと思います。
②校長せんせいとの交流
卒業証書は、校長せんせいからいただきます。証書には校長せんせいの名前が刻まれます。ですから、卒業生はどんな校長せんせいなのかをきちんと知っておくべきですね。小規模校では、校長せんせいは身近ですが、2学級以上ある学校ではなかなかふれ合う機会がありません。こんなことが考えられます。
●校長せんせいと校長室で会食会
●校長せんせいのラスト授業(教室で)
●校長せんせいからのプレゼント(書や絵手紙、似顔絵など)
●校長せんせいと思い出を語る会
学校の事情によりできるかどうか検討し、細かい点まで事前にしっかり打ち合わせをしておきたいです。
③友だちへの卒業証書授与
学級活動などで、友だちのいいところを出させ合い、そのいいところを書き連ねた「卒業証書」をつくってみるのもいいですね。校長せんせいの名前が入った本物の証書とは別に、自分の存在の意味を意識できるものにしたいです。ただし、人権問題や人格批判にはならないように言葉に気をつけさせ、担任が必ず目を通しておきたいです。これからの人生の中で、迷った時悩んだ時、勇気をもらえる証書になるといいです。