読書指導のアイデア ⑤言葉遊び
5回目のテーマは「言葉遊び」。グループ活動をしながら、言葉を楽しみ、数多くの語彙に触れることができます。先生が「言葉遊び」の本を紹介したり読み聞かせをしたりして、子供たちに興味をもたせることから始めましょう。読書離れが進みつつある現在だからこそ、子供たちが本を好きになるきっかけが必要となります。ここでは本好きの子供たちを育てるためのアイデアを紹介します。
監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり
目次
言葉遊び 準備~実践
1 見本になる本を紹介する
子供たちが「言葉遊び」の活動をする手がかりとなる本を紹介します。例えば、「回文(逆さ言葉)」「アナグラム」「なぞかけ」「数え歌」「言葉の連想」「言葉の積み重ね」など、言葉遊びの本はさまざまな種類があります。先生の気に入ったもののなかから、子供たちに紹介する本を選びましょう。
松岡司書おすすめ 言葉遊びのヒントになる本
●回文
『ぞうまうぞ・さるのるさ うえからよんでも したからよんでも』
ことば/石津ちひろ 絵/高畠 純
ポプラ社
上から読んでも下から読んでも同じ。ユーモアたっぷりの回文絵本。
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『サカサかぞくの だんながなんだ』
作/宮西達也
ほるぷ出版
「だんながなんだ」とママは家を「るすにする」ところから始まる回文いっぱいの絵本。
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●アナグラム
『アナグラムで遊ぼう けんじのじけん』
作/ささきあり 絵/さいとうかおり
あかね書房
文字の順番を入れ替えて別の言葉を作るアナグラム。話を読んで自分でも作れそう!
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●なぞかけ
『なぞかけ学校』
作/ねづっち
理論社
学校にまつわるものをお題にしたなぞかけの数々が楽しめる。
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●数え歌
『かぞえうたのほん』
作/岸田衿子 絵/スズキコージ
福音館書店
「すうじさがしかぞえうた」「ひのたまかぞえうた」など、楽しいかぞえ歌の数々が掲載。
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●言葉の連想
『うろおぼえ一家のおかいもの』
作/出口かずみ
理論社
「うろおぼえ」のあひる一家は、お母さんから買い物を頼まれて出かけるが……。
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●言葉の積み重ね
『の』
作/junaida
福音館書店
「わたしの お気に入りの コートの……」。不思議な「の」に導かれた旅に出かけよう。
2 本選びをする
子供たちは各グループに分かれ、自分たちがどの言葉遊びをするかを決めます。このとき、先生がどのような言葉遊びがあるのかを提示すると、子供たちがイメージしやすくなります。子供たちが話し合って決めた言葉遊びの本を図書館で探します。
3 自分たちで言葉を作る
各グループの子供たちが図書館で探してきた本を参考にして、自分たちで言葉を作ります。言葉を作るのが難しい場合は、その本の中から、おもしろい言葉を選ぶようにしてもよいでしょう。
4 グループで発表する
子供たちが作った言葉、本から選んだおもしろい言葉をグループごとに発表します。
松岡みどり司書からのメッセージ
子供たちは回文やなぞかけの本が大好きです。「言葉遊び」は理屈抜きにして、「言葉がおもしろそう!」というところから入ることで、子供たちの興味を引き付けることができるのではないでしょうか。
子供たちのオリジナルの言葉作りが少し難しいと感じたときには、先生が言葉のヒントを出すようにしましょう。例えば、回文なら本になぞらえて「〈あ〉から順に当てはめていくといいよ」というようにアドバイスをすると、子供たちは言葉を作りやすくなるでしょう。また、「人を傷つけない言葉を選ぶ」「友達の選んだものを否定しない」など、温かい心を育てるような指導をすることが大切です。
言葉を選ぶときには、特に選んだ理由付けをしなくてもよいのではないかと思います。子供たちが単純におもしろがれることも大事なことかもしれません。
先生も含め、学級のみんなで言葉遊びを楽しむことで、言葉に関心をもつきっかけにつながる実践にできるとよいですね。
読書や本の情報が満載
ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/
取材・文・構成・撮影/浅原孝子
授業で使える312冊の絵本を紹介
著/齊藤和貴(京都女子大学教授)
司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよくわかります。
B5判/112頁
ISBN9784098402212
〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)
京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。