英検に漢字に…「語学」の資格にチャレンジしてみよう!~せんせいだってどんどん勉強#1
新しい年を迎え、今年は何か新しいことにチャレンジしようと考えている方も多いのではないかと思います。そこで、新春特別企画として、せんせいのスキルアップをテーマに3本、短期連載記事をおとどけします。第1回となる今回は、語学関係の資格へのチャレンジについてご紹介します。
教員は、教員免許を取得して採用されれば、一生教員として働き続けることができます。だからこそ、常に良い授業を、良い学級づくりをしたい、という向上心を持ち続けることが必要なのではないかと思います。既定の研修制度の中で勉強するだけではなく、児童に努力する大切さを説くせんせいであればこそ、より高い向上心を持ち、資格や検定にチャレンジしてみませんか?
【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
目次
資格取得の考え方
教員免許の更新制度は正式に廃止されましたが、これまで行われてきた免許更新の講習には、いわゆる教育力のバージョンアップ的な意味もあったのかもしれません。
そうであるなら、何か代替手段になるような、広い視野で教育をみていけるような機会を作っていけたらいいなあと思います。
小学校の教員に対するものではなく、広く様々な対象者を想定した教材や指導法に触れることで、新たな学び方・教え方の視点に触れることができるのではないかと思ったのが発端です。また、新たなハードルを設定し、それに向かって努力することは、教育者として常に持ち続けていたい姿勢でもあると思います。
これからご紹介するものは、わたし自身が体験したものです。これにチャレンジしてみたい! というものに出会っていただければ幸せです。
<難易度を私見で★5段階にわけましたので参考までに…>
実用英語検定
いわゆる「英検」ですね。いちばん知名度がある検定試験でしょう。
文科省から資格取得者の調査がありましたので、「英語検定準1級レベルの小学校教員はどれくらいいるのか」ということを気にしている…つまり、それくらいのレベルを英語の授業に求めていきたいのか? あるいは今後、英語指導のリーダーや専科教員の人員確保するための予備調査だったのではないかと、深読みしたくなりますね。
この「準1級」は、「社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる」レベルだとされています。難関大学の入試程度の難易度とされ、一般的に「実際に使える英語力」の証明として高く評価されています。高校の英語教員には物足りないレベルかもしれませんが、小~中学校の英語授業者(担当者)にとっては充分なレベルであり、ひとつの目標になると思います。語学はすぐには上達しません。日々の努力が必要です。今まで、こんなことをやってみました。
○対策1 街の英会話教室に行ってみる
わたしはまず、近場の英会話教室で開講されている「英語指導者特別授業」を受講してみました。指導してくれるのは、ALTとして活躍したアメリカ人の講師です。その経験から日本人の弱点がわかっているので、説明が丁寧でわかりやすく、たくさん褒めてくれるのも良かったです。また、受講料がそれなりにかかるので、もとをとるために1分でも多く話そうと、モチベーションもわきました。
ネイティブが使う日常会話のフレーズは、じつに簡単で分かりやすいということが分かり、「外国語は難しいのではないか」という心理的なハードルが下がったことは大きな成果です。また、わたしたちは日常生活で外国人に接する機会が多くありませんので、リアルな外国人講師と会話することで、慣れや度胸を得られるのも大きいです。
○対策2 ラジオ講座・テレビ講座で学ぶ
テレビやラジオも活用しました。NHKでは、小学生の英語から、一般的な日常生活会話、旅行英語。そしてビジネス英語まで、様々なレベルが用意されており、多彩さに改めて驚かされます。自分自身の学習にとっても良いですが、児童にどのように教えるか…ということについても、非常に参考になります。
ただ、放送時間帯が様々ですので、リアルタイムに聴いて学習することはかなり困難ではないかと思います。録画録音を活用しましょう。
わたしは、一般的なラジオ英会話講座を自動録音して、テキストを購入して学びました。
○対策3 ネットで学ぶ
YouTubeの英会話講座はかなりお得です。さまざまな方が番組を開設しています。
自分にあったものを選べるので、自由度は高いです。さらに、最近は英会話教室に行かなくてもwebを利用して自宅で受講できるようになってきました。授業料もネット決済等、気軽な支払い方法で利用できます。
また、最近は英語の発音を聞かせると、その発音の善し悪しを採点評価してくれるアプリも登場しました。
スマホの場合、英語モードにした音声アシスタントに英語で話しかけ、即席の会話レッスンもできますよ。
ただ、スマホのAIは無駄に賢く、「掘った 芋 いじんな?」と質問をしても、ちゃんと”What time is it now?”と聞き取って、時間を教えてくれます。
このネタは、英語の授業びらきで使うとかなり受けますよ。
自分の発音を鍛えることができ、英語の授業ではカタカナ英語がなくなっていくのがメリットです。
○対策4 英語講師の書籍で学ぶ
メディアで有名な講師は、たいてい自著を出版しています。自分と相性のいい講師を見つけたら、その人の著書を買うのも良いでしょう。
書籍は学習内容が体系化されているので、順々に学ぶことができます。またレベルが異なる本をたくさん出版している著者も多いので、一冊を終え、いいなあと思ったら、同著者のハイレベルな本に挑んでみましょう。わたしのオススメは、ラジオ講座の講師、大西泰斗先生です。優れた指導者に書籍代だけで師事できるのはありがたいです。
○対策5 学校で勤務する外国人英語教師と仲良くなる
日本語が得意な外国人教師は、高いコミュニケーション力を持っている人が多いです。日本語でもどんどん話しかけてくれるし、わたしたちのへたっぴな英語も一生懸命聞いてくれます。
しかし中には、来日したばかりで日本語がまだ苦手な方もいます。
中学校であれば日本人教師との打ち合わせが頻繁に行われるので、日本語慣れが早いと思いますが、小学校では職員室の中でぽつんとしていることも多いです。
そんなとき率先して話しかけると、お互いにとってWin-Winではないでしょうか?
できれば日本語で話しかけ、日本語が通じないときは、自分ができるレベルの英語で話してみましょう。
これは教員ならではの特権です! 改めてコミュニケーションの楽しさや大切さを感じることができ、自分の英語の弱点もよくわかってきます。話術の発展にもつながります。休み時間などにぜひ話してみてほしいです。もちろん必要なのは、「度胸」だけです。
ちなみにわたしは、Google翻訳を立ち上げておいて、話す際のサポートに使っています。これで話が全く聞き取れない…などの不安が解消しますよ。
また、英検の他にも、
ケンブリッジ英語検定 TOEFL TOEIC 国連英検 通訳ガイド試験
などがあります。
チャレンジの範囲が広い分野です。
まずは、英語の授業に自信をもつことができます。カタカナ英語ではない、英語発音が身につきます。そして、慣れから、日常的に使う表現や教室英語が自然と口に出てくるようになります。どうすれば子どもたちが楽しく学ぶことができるか、英語上達することができるかなど楽しい英語の授業プランのアイディアがどんどんわいてきます。
さらに、日常生活に生かしていくこととして、日本人が苦手な気軽に話すというライトな感覚の会話力が自然に身についてきます。小学校英語の比重はますます重くなってきます。ぜひ、取り組んでほしいです。
学生時代に実用英語検定2級を取得して以来、レベルは止まったままです。4年前に準1級を試し受験をしましたが、箸にも棒にもひっかかりませんでした。相当な対策が必要です。
小学校英語で、正確に楽しく英語学習を進めていくなら、少なくとも2級は取得しておくといいかなあと思います。わたしの現勤務校には1級取得者がおり、密かに目標視しています。これからも先にあげた学習方法で、英語度胸をつけてがんばっていきたいです。いかがですか?
準2級 ★★
2級 ★★★(20代前半に取得)
準1級 ★★★★(現在、挑戦中!)
1級 ★★★★★
漢字検定
この検定を児童生徒に受検させたり、受検を奨励したりする学校が増えてきました。小学校の教員でしたら、高校在学程度の準2級くらいは取得していてもいいでしょう。2級になると、「こんなの相撲の昇進口上でしか使わないよなあ」と思うような、難しい四字熟語がたくさん出てきます。
国語を専門にする先生でしたら、準1級に挑戦するのもいいかもしれません。1級まで来ると、実務には直接役立たない知識が大半になると思いますが、ステップアップの最終目標に設定するのもいいですね。今までこんなことをやってみました。
○対策1 日常的に漢字に着目する
あれ、この漢字なんていうのかな? と疑問に思ったら、書き出しておいて、必ず調べることです。読めない漢字をなくすことが大切です。
○対策2 漢字検定過去問題集をやってみる
過去問研究がいちばんです。自分の苦手なタイプの出題を徹底的に攻略していきたいです。
漢字に関する知識が増えますので、直接的に国語の授業に役立ちます。また、教職員はさまざまな場で、読むこと、書くことが要求されますので、社会人としての基礎学力の向上としてもいい検定だと思います。学習の過程で、漢字の深さやおもしろさを感じ取ることができ、日本語で書かれた文章をたっぷり味わうことができます。
普段はPCやスマホの優秀な漢字変換を使って文章を書くことが多く、いざ自分で書くとなると、忘れていることに気づくことが多いです。
児童は、最近ではタブレットを利用したり、指書きで練習することも増えてきましたが、今後も鉛筆でノートに漢字練習をする方法が最も大事ではないかと思います。同じように大人もやってみるのもいいですね。
わたしは身の丈以上の級にボケ防止で受検しています。読みや書き取りはほぼできるのですが、四字熟語がくせ者です。ほんのちょっとのところで逃してしまっています。専門の『四字熟語辞典』を購入しました。今後は、これで勉強し直しです! きちんとした対策をしていけば合格できると思います。とりあえず2級取得を目指しています。
準2級難易度 ★★
2級難易度 ★★★(挑戦中!)
準1級難易度 ★★★★
1級難易度 ★★★★★
◆
語学資格は、直接的に小学校教育に関係するので、取得しておくと自信につながります。英語や漢字はすでに皆さん一通りの学習を経験済みですので、これらの検定を受検しての「学び直し」で、もう一度基本から見直してみる、良い機会にもなると思います。
イラスト/したらみ
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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。