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ゲーム要素を取り入れた九九アイディア指導【前編】

2019/9/19

二学期から九九の単元が始まります。全員が九九をすらすら言えるようにするには、子供たちの「九九を覚えたい」という気持ちを引き出すのが近道です。ゲーム要素を取りいれて、子供たちがはりきって取り組む九九学習を考えてみましょう。

執筆/富山県射水市公立小学校教諭・前田正秀

九九のイメージかけ算

数え対決で、かけ算のよさを実感

かけ算の学習の導入では、かけ算を使うよさを十分に味わわせることが大切です。よさを実感することが、「かけ算九九を覚えたい」とう意欲の原動力となり、主体的な学習につながります。

かけ算のよさは、うまく数えられることです。同じ数のまとまりに目を向けると、やみくもに数えるよりも効率よく数えることができます。「一つ分」がどれだけで、それが「いくつ」あるかさえわかれば、全体の数を求めることができるのです。そうしたよさを味わえるように授業を仕組みたいものです。

例えば、こんなゲームはいかがでしょう。

「チョコが何個あるかな。5秒で数えましょう」と言って、チョコの絵を見せます。教室を半分ずつ二つのチームに分け、「正解が多いのは、どっちかな」と競わせると盛り上がります。ここで提示する絵にこっそり仕掛けを施しておきます。一方の子供たちに見せる絵(下図の(ア))は、ばらばらに置かれたチョコの絵、もう一方の子供たちに見せる絵(イ)は、きれいに並べられたチョコの絵にしておくのです。

チョコを数える競争

そうすると、(イ)を見た子供たちは「12個!」とみんなの答えが一致するのに対して、(ア)を見た子供たちの答えは、「11個だったかな・・・」「13個だったような・・・」と曖昧になってしまいます。勝負は(イ)のチームの圧勝となりますが、(ア)のチームの子供は納得しないはずです。「きっと、(イ)の方が簡単だったに違いない」という声があがることでしょう。

クイズは、両方とも答えは12だった

そこで、「実は(ア)と(イ)、どちらも答えは12個だったんですよ」と伝え、二つの絵を提示します。両方の絵を見た子供は「ずるーい」という声をあげ、「(イ)の方が数えやすいよ。だって・・・」と、(イ)が数えやすい理由について考えていくことでしょう。

かけ算するときのものの数え方

(イ)は、3のまとまりが四つ並んでいます。ですから縦と横の数さえ分かれば、全てのチョコを一つずつ数えなくてもよいのです。こうしたやり取りをしながら、同じ数のまとまりに目を向けるよさを実感させるのです。中には、数え方を「3たす3たす3たす3で、12」と言わずに、「3を4回たして12」といった言い方をする子も出てくることでしょう。「3たす」を何度も言うのが面倒だからです。こうした些細な言い方の工夫も大切に扱いたいものです。「3×4=12」と、かけ算の記号を用いて簡潔に表記するよさにつながります。

きまり発見で、数の感覚が豊かに

かけ算九九の学習では、それぞれの段の九九を「①つくる」「②覚える」という活動が繰り返されるのが一般的です。しかし、つくって覚えるばかりでは、味気ない学びになってしまいます。

九九のきまりを発見して喜ぶ子ども

せっかく九九表は、美しい数の並びになっているのです。九九表からきまりを発見する活動を取り入れてみてはいかがでしょう。毎回、各段の九九をつくった後に、つくった段の「きまりを見つける」という活動を取り入れます。つまり、それぞれの段の九九について「①つくる」「②きまりを見つける」「③覚える」という流れで学習を進めるのです。

通常は、単元の終わり頃に九九表からきまりを見つける学習を行います。しかし、いきなり九九表にある81個もの数を眺めても、なかなかきまりを発見しづらいものです。各段ごとに、九つの数にしぼって観察することで、様々なきまりを発見することができ、学びが深まります。

子供は、それぞれの九九をつくる中で、無意識のうちに様々なきまりを使っているものです。例えば5×4は、5を4回たすことなので、通常は「5+5+5+5」をして答えをつくります。しかし、中には5を4回たすのは面倒なので、先に求めた5×3=15に5をたして「15+5」と求める子も出てきます。これは「かける数が1増えるごとに答えはかけられる数ずつ増えていく」というきまりを使っています。

また、5×4は、5×2の二つ分だから「10+10」と求める子も出てくるでしょう。これは、「分配法則」というきまりを使っています。さらに、5×5、5×6、5×7・・・と九九をつくり進めるうちに、計算せずにすらすらと答えを書いていく子が出てきます。「5の段の一の位は、0、5、0、5・・・と続くから、次は0のはず」といったように、一の位のきまりを使っているのです。

こうして子供が無意識のうちにきまりを使っている姿を見かけたら「きまり発見だね」とほめて、価値付けていきます。単元の始めのうちは、手際よく九九をつくるためにきまりを発見していく子供たちですが、こうした声かけを続けるうちに、きまりを見つけること自体が楽しくなっていきます。そして、様々なきまりを主体的に見つけていくことでしょう。

例えば、一の位に目を向けた子供は、「3の段の一の位には、3692581470って、全部の数字が登場するよ」「4の段の一の位は、48260を繰り返すよ」といったきまりを見つけていきます。子供って、きまりを見つけるのが大好きなのです。

9の段のきまり

九九の中でも特に面白いのは、9の段です。9の段の答えは、まるでエレベーターのように、十の位の数は1ずつ減っているのに対して、一の位の数は1ずつ増えています。この二つのきまりを合わせると、「十の位と一の位をたすと、9になる」というきまりが見つかります。

「たすと9」というきまりが見つかったなら、子供に「指を使ったかけ算」を紹介してあげるのもよいでしょう。9の段の九九は指を使って計算することができるのです。

指を使ったかけ算の例

例えば、9×3なら、指を10本出して、かける数である3本目の指を折ります。折った指より左にある指の数が答えの十の位になります。折った指の右にある指の数が答えの一の位になります。左に2本、右に7本あるので、答えが27だと分かります。

きまりを見つける活動を行った後に、九九を覚えると、覚える作業がスムーズになります。何しろ、きまりを見つける際に、子供は各段の九つの答えと、何度もにらめっこしているのです。覚える活動に入った頃には、ほとんど覚えている状態になっています。また、きまりと結びつけると、覚え間違いをしにくくなります。間違えやすい九九の代表格に、「4×7」「4×8」「6×7」「6×8」等があります。それは、「し」「しち」「はち」の語呂が似ていることが覚え間違えやすい原因です。しかし、きまりを見つける中で数の感覚が豊かになっていれば、「この段の答えが、こんな数になるはずないな」と、間違いに気付くことができるのです。

イラスト/設樂みな子

『小二教育技術』2018年10月号より

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