オンライン研修が機能する職員組織になっていますか?【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #43】

連載
赤坂真二の「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第43回は、<オンライン研修が機能する職員組織になっていますか?>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

これからオンライン研修をするなら

例年、7月後半から8月の40日間に、およそ30回の対面研修を行っていましたが、今年度(2020年度)は、14回と半減し、その大半はオンライン研修でした。現在もオンラインによるうち合わせをしない週はないというくらい、オンライン会議は日常化しました。

本連載において、校内研修は学校をチーム化するまたとない機会であることをお伝えしてきましたが、コロナ禍で、研修を中止、削減している学校が多いと聞きます。過剰な研修、効果の見えない研修は、なくしていっていいと思いますが、やはり必要度の高い研修はあり、また、それを機にチーム力を上げていく学校もあるわけで、何をやめて何をするかという判断は、学校経営においては大事なことなのかもしれません。そうした判断をするときに、オンライン環境がないから最初からオンライン研修を除外してしまうことは、先生方の学びを狭めてしまうことになります。校外でも近隣から講師を招聘するならば、対面の研修は実施可能でしょう。また、校外の講師に頼らずとも先生方の学び合いが組織化されていれば、それはまたそれで充実した時間が過ごせることでしょうし、効果的だと思います。ただ、校外の講師による研修は、校内では誰も発想しない情報に触れたり、先生方の共通認識をつくったりと校内研修を推進する上では起爆剤となる可能性があります。現時点では、オンラインでしか呼べない講師もいますから、その選択肢は持っていた方がいいでしょう。

多くの学校がオンライン研修を経験済みかと思いますが、もし、これからやっていきたいと思う学校があるならば、情報提供をさせていただきたいと思います。

オンライン研修をするために必要なものは、ZoomやSkypeなどのWEB会議システムのソフトとパソコンやタブレット等の端末、そして、Wi-Fiなどのオンライン環境です。ただ、カメラが付いてないパソコンをご使用の場合は、WEBカメラをUSB等で接続しておくといいでしょう。

次にチェックしていただきたいのは、そのWEB会議システムのアカウントの使用時間です。私は主にZoomを使用していますが、Zoomでは無料アカウントだと40分の使用制限がかかっていることがあります。40分以内の研修なら問題はありませんが、それ以上の時間設定の場合は、有料サービスにした方がよろしいかと思います。ある研修で、先方からいただいた計画が90分の枠で、40分刻みになっていました。確かめてみると無料アカウントをご使用でしたので、僭越ながらこちらのアカウントを使用させていただきました。

オンライン研修を成功させる要因

初めてのときはいろいろ手違いがあります。例えばZoomで言えば、オンライン会議を設定するとホストと呼ばれる主催者に、URLが割り当てられます。そのURLを参加者に配信して、時間になったら参加者がそこにアクセスすればいいわけです。しかし、会議の当日になってもURLが届かないことがありました。何回かメールで連絡しても届くのは、パスコードと呼ばれる暗証番号ばかり。これは、URLにアクセスすると求められるもので、そもそもURLがないことには使用できません。何回目かの電話でなんとかご理解を得て、事なきを得たこともありました。

さて、オンライン研修には、いくつか問題点が指摘されています。例えば、①機器の不具合でうまく受信できない、②参加者のモチベーションが上がらない、③ワークショップ的な活動には不向き等です。

①については、やはり事前にリハーサルをしておくことで多くは解決されるでしょう。校内研修では一台のパソコンを大型テレビ等のモニターに接続し、一か所に集まって受講する場合が多いようです。そうすると音声の聞きやすさは大事なので、専用スピーカー等を準備するといいでしょう。②についてです。大学の講義では、自室を映したくない等の理由があれば画面オフを許可していますが、原則的に画面オンです。先生方の研修会でも基本的に画面オンにしていただいています。対面研修だったら、本来、画面オフはあり得ないわけです。学生に聞くと、顔出しをすることで、ある程度の緊張感が生まれ、それがモチベーションにつながるそうです。企業の研修では、画面オンを推奨しているようです。③についてZoomで言えば、少人数のグループに分けることができる機能(ブレイクアウトセッション)があり、また、そこでWEB上のホワイトボードを使用することもできます。Googleスライドなどの別のサービスと併用することでさらにアクティブに交流することは可能ですが、参加者側からすると、苦手な方には少しハードルが高い場合もあるでしょう。こちらから明確な課題を設定した上で、先方に講師と学校を繫ぐコーディネーターのような方がいれば、通常に近い形で活動は可能です。また、何人かファシリテーター役がいたら、なお好都合です。この夏は何回かそうしたグループワーク付きの研修を担当させていただき、問題なく実施できました。

機能的なオンラインの研修を成功させる学校に見られるのは、研修意欲の高さと職員のまとまりの良さでした。そして、その前提として、研究主任が、職員に時間をかけて研修の必要性を説き、情報を提供するなどの下準備をしっかりやっていました(ある学校は1年)。その主任たちが、なぜ、そこまで動いたのでしょうか。それは、学校課題が明確になっていたこと、そして、校長が通信や言葉で研修を意味付けていたこと等が指摘できます。

『総合教育技術』2020年11月号より


赤坂真二(あかさか・しんじ)
上越教育大学教職大学院教授
新潟県生まれ。19年間の小学校での学級担任を経て2008年4月より現職。現職教員や大学院生の指導を行う一方で、学校や自治体の教育改善のアドバイザーとして活動中。『スペシャリスト直伝! 学級を最高のチームにする極意』(明治図書出版)など著書多数。


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