不登校【わかる!教育ニュース#15】
先生だったら知っておきたい、さまざまな教育ニュースについて解説します。連載第15回のテーマは「不登校」です。
目次
不登校の小中学生が24万4940人に上り、前年度比24.9%増
新型コロナウイルス禍から日常が戻りつつあると感じることも多いでしょう。ただコロナ禍は、陰に陽に子供たちを蝕んでいるようです。
文部科学省の調査で、2021年度に不登校とされた小中学生が、24万4940人に上り、1991年度の調査開始から最も多くなりました(参照データ)。9年連続で増えていますが、今回は前年度より24.9%増と、増加幅の大きさが際立ちます。とりわけ、小学生は前年度比28.6%増(8万1498人)で、中学生の23.1%増(16万3442人)よりさらに深刻です。
要因は何でしょうか。小学生の結果で最も多いのは「無気力、不安」(49.7%)。次いで「親子の関わり方」(13.2%)、「生活リズムの乱れ・あそび・非行」(13.1%)です。
17年施行の教育機会確保法で、学校以外でも学べる環境づくりが、打ち出されました。無理に登校させる必要はないという意識も広がり、フリースクールやNPO法人など多様な学びの場を選べるようになっています。ただ今回の調査結果では、学校や民間団体などの支援や指導を受けていない不登校の子が、36.3%います。背景をつかみ、必要な支援につなげなくてはなりません。
小学校のいじめ認知件数は50万562人
いじめの認知件数も膨らんでいます。小中高と特別支援学校で把握した件数は61万5351件で、過去最多を更新。このうち、小学校は50万562人です。一斉休校の影響で減った前年度から、再び増加に転じました。ただ、いじめ自体が急増したというより、積極的に見付け出そうとしている表れとも言えます。
いじめの形は「冷やかしやからかい、悪口など」が最も多い57.8%に上ります。ただ目を引くのは、SNSを通じて嫌がらせや中傷をする「ネットいじめ」。全体に占める割合は3.6%ですが、件数が2万1900件と、前年度の16.1%増です。高校では5.5%減(2454件)に対し、中学校は12.9%増(9783件)、小学校が27.6%増(9454件)と、年齢が低いほど増え幅が広がるのも気になります。低年齢層にスマートフォンやパソコンが急速に普及している今、早い段階で適切な使い方を教える必要があります。
文科省は一連の結果に、コロナ禍の影響を指摘しています。休校や分散登校で生活リズムが崩れたり、学校を休む抵抗感が薄くなったりした。運動会や遠足などの行事がなくなり、登校意欲が湧きにくい。集団行動の制限や環境の変化で悩みやストレスを抱えているのに、心身ともに人との距離が遠くなっていて相談できない。そんな状況が、不登校やいじめに結び付いたと分析しています。
学校では今も、集団活動が制限される部分は多いでしょう。人間関係を築く機会が減り、他人とうまく付き合えない子もいるかもしれません。これまで以上に細やかな目配りが望まれます。
参照データ
▽文部科学省初等中等教育局児童生徒課
https://www.mext.go.jp/content/20221021-mxt_jidou02-100002753_1.pdf
執筆/東京新聞記者・中澤佳子