腹をくくれるか【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #7】


多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第7回は、<腹をくくれるか>です。
執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二
目次
学校改善から見る実態の多様化
年間に数多くの学校を訪れ、また、多くの教育委員会の担当者とお話をさせていただきます。そうした中で様々な実態の学校に出会います。私が関わらせていただくのはほとんどが公立学校です。しかし、公立と一言で言っても異なる実態が混在しているのが現状です。読者の皆さんも、学校の実態の多様化を感じておられるのではないでしょうか。河村茂雄氏は、各地区の学校の実態を次のようにまとめています※1。
①熱心に教育活動に取り組んでいて、成果のあがっていると思われる学校
②問題が数多く発生していて、厳しい状況の学校
③大きな問題は発生していないものの、教育実践が低水準になっていると思われる学校
私が直接訪れる学校の圧倒的多数は、①です。予算を確保して外部講師を呼ぼうという学校ですから、成果をあげようとしていたり、その途上の学校であるわけです。②のような学校からは、ほとんどお声がかかりません。②のような学校は、問題の所在すらはっきりしていないので、講師を呼ぼうとする方針すら定まらないし、それに、そもそもどんな講師を呼んでいいかも決められないのです。何をしていいのかがわからないわけです。ある学校では、学級崩壊のような状態が起こっていて、病休の先生も出ているというのに、学級経営に関する学習会が、資料を読み合わせた30分ほどだったというような現状もお聞きします。
また、極めて少数ですが、③の学校に出会うこともあります。その学校の教育が、低水準とは言い切りませんが、先生方はなんとなくうまくいっていないと感じています。しかし、子どもたちはおとなしく素直であり、日々の教育活動は大きな支障なく成り立っていますから、多くの職員が研修の必要を、あまり感じていないわけです。
しかし、一部の職員は、改善の必要感をもっています。だから、外部の講師を招聘する運びになったわけですが、実際にお邪魔してみると、職員の何割かが「年休」だったりします。こうした学校は、外部の講師を呼ぶ前にすることがありそうです。「年休」の取得は、権利ですからそれについてとやかく言うつもりはありません。管理職の先生方だって、そこについては口を出せない状況ですから、外部の私が口を挟む余地のない話だとはわかっています。しかし、学校改善という営みから見ると、問題点として指摘できるだろうとは思います。