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目標が、学校をチームにする【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #4】

連載
赤坂真二の「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第4回は、<目標が、学校をチームにする>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

チームの条件

多くの学校のトップリーダーやミドルリーダーが所属校のチーム化を願っていると思います。しかし、「チーム学校」という聞こえのいい文言とは対照的に、その実現はなかなか難しいのが現実です。校長が、職員会議で「学力調査の成績が、自治体の平均よりも◯点よかった」とか「入学式の後の6年生の歓迎の言葉が素晴らしかった」などと、子どもや職員を褒め称え、「〇〇小学校のチーム力のなせる業」などとご機嫌に話しても、職員の方は、「やれやれ」とため息をついたり、「あの人を喜ばせるためにやっているんじゃない」なんて更衣室でささやき合っていたりすることは、よく聞く話です。独りよがりの経営になっているのでしょうか。学校は大人による組織ですから、一筋縄ではいかないものだろうと思います。「チーム学校」の実現の肝は何なのでしょうか。

前号でチームの条件を挙げました。それらを観点にして、学校組織を見つめ直してみると、力を注ぐべき点が見えてくるかもしれません。前回挙げたものを簡略化して、再掲すると、次の四つになります。

①達成すべき明確な目標の共有
②メンバー間の協力と相互依存関係
③各メンバーに果たすべき役割の割り振り
④チームの構成員とそれ以外との境界の明確さ

読者の皆さんの学校には、これらの条件が備わっているでしょうか。③は校務分掌という役割分担がありますから、ここはどんな学校でも標準装備されていることでしょう。実際に先生方にお聞きすると「不公平感」はあるようです。ただ、「役割がない」という人はいないので、ここは学校組織の場合は大丈夫だろうと思います。また、④も学校組織の場合は、かなりしっかりとした境界線が引かれていると思います。

では、①や②はどうでしょう。管理職の皆さんにお聞きすると、特に①が難しいようです。「なかなかベクトルがそろわない」とか「学校課題が共有できない」などと仰います。第2回の連載で紹介した鍋島祥郎(2003)が指摘した、「エフェクティブ・スクール(効果のある学校)」の条件に「教員集団の意志一致」がありました※1。鍋島はここで、エドモンズの研究から、効果のない学校とある学校における「この学校で一番の課題は何ですか」と尋ねたときの職員の反応の違いを紹介しています。前者では、答えがバラバラでしたが、後者では、ほとんど全ての職員が同じように答えたといいます。「効果のある学校」の職員の全てが、納得してそう答えているわけではなかったそうですが、答えた職員は、その課題の存在や意味を理解していたと見られます。

ベクトルがチームをつくる

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