板書で見る話合い活動の工夫ポイント

板書をもとに、話合い活動の工夫のポイントをまとめました。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・江原和宏

板書全体図

「議題」を焦点化する

みんなで話し合っていくとよさそうな問題を見つけて、より話合いにふさわしい議題を選べるようにします。子供が見つけた問題を学級全体で選ぶときには、「学級全員で話し合うべき問題かどうか」を吟味するようにします。できるだけ話し合うことを焦点化して、話合いができるようにします。

短冊を活用する①〜思考の構造化〜

短冊を活用するよさは、子供たちが思考整理しやすくなることです。意見と理由で色分けをしておくことで板書が整理され、互いの考えを比べやすくもなります。短冊に考えを書くときには、なるべく短く、キーワードなどで書くようにします。そうすることで、学級全体でどんな考えが出ているのかを確認できるようにします。

短冊例

短冊を活用する②〜思考の操作化〜

短冊を使って、意見を分類します。出された意見の短冊を動かし、似ている意見でまとめたり、賛成や心配の理由ごとにまとめたりします。話合いの途中に、短冊を移動して分類することで、意見の種類や内容が分かりやすくなります。

また、事前に集約した意見をもとに、話合いの方向性を予想し板書計画をしておくことも必要です。そうすることで、黒板係の子供は、事前に出た意見を短冊に書いておき、本時は短冊を動かしながら見やすい板書づくりに集中することもできます。

「提案理由」をキーワード化する

提案者の思いや願いをもとに、提案理由を明確にしておきます。子供たちが話し合う内容から逸れてしまったときや提案者の思いから離れてしまったときに、提案理由に立ち戻る必要があります。学級会の最初に、サイドラインを引き、話合いで大切にしたい内容を焦点化し、合意形成するときの拠り所となるようにします。

「話合いのめあて」を明確にする

話合いへの参加の仕方を確認します。これまでの話合いでの課題や活動で大切にしていることをもとに、この話合い活動でどのような姿を目指すとよいかを明確にします

「提案者の考え」を具体的にする

何もない状態で話合いを始めては、時間内に話合いをまとめることは難しいでしょう。提案者は、事前に案を考えて提示しておきます。提示するときには、より具体的な案を示し、「何を話し合うのか」をクラスのみんながイメージしやすいように工夫する必要があります。

思考ツールを活用して整理する

板書に出された意見を整理する方法には、思考ツールを活用する方法もあります。それぞれの意見のメリットやデメリットを整理して提示することで、子供たちから出された意見の共通点や、相違点に気付くことができるようになります。

必要なときには適切な思考ツールを用いて、子供たちの思考整理がしやすいように提示しましょう。

決まったことが分かるようにする

学級会が終わったときに、何が決まったのかを必ず確認することが必要です。決まったことに印を付けることで、板書を見て、合意形成されたことが分かるようにします。印は、学級目標のキャラクターやロゴなどを活用してもよいでしょう。

具体物を活用する〜思考の可視化〜

学級全員が共通のイメージをもって話せるようにすることが大切です。提案者が考えていることや話合いの中で出てきた考えを、可視化して共通理解できるようにします。

可視化するときには、説明を補足する図や具体物を示したり、事前に撮ったやり方の動画を見せたりして、合意形成に向かうための拠り所となるようにします。

先生の話・ふり返りを生かす

子供たち自身が話合いで解決できたことやめあてを達成できたことを、先生の話で伝えることが大切です。話合いの中でできるようになったことも話題とし、教室に掲示し積み重ねておくことで、学級の話合いの質が高まっていきます。

イラスト/山本郁子

『教育技術 小三小四』2021年12/1月号より

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