学級経営のポイント〜「安心」を土台に、成長へつなぐ〜
一年間の4分の3が過ぎ、いよいよクラスも総仕上げの段階に入ってきます。これまでにいろいろな学習や活動を経験して、子供たち一人ひとりもクラスとしても、ぐっと成長する段階にいると言えるでしょう。そして次の学年のことも少しずつ意識するようにもなります。この段階になると、これまで積み上げてきたものを生かして、担任としては「もっとできるようになってほしい」「もっとがんばってほしい」と、子供たちに期待をしていくものです。ただ、この時期だからこそ、子供たちの実態をしっかり把握することが大切です。子供たちが成長するために、何が必要なのか考えてみましょう。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・山本恭兵
目次
成長するためには、「安心」が必要
教師は子供に「成長してほしい」と願い、さまざまな手立てをとります。
しかし、その前に子供が成長するためには、その前提として「安心」が必要です。クラスに自分の居場所を感じられず、不安を感じている子供は、いくら教師が成長を促しても、なかなか自分の力を発揮することができません。友人関係や家庭で悩みを抱えている子供も同様です。
また、昨年から長引くコロナ禍の中で、規制の多い生活や目に見えない脅威に対し、子供たちの心理的不安は大人が考えるよりも大きくなっているのではないでしょうか。
どうすれば子供がクラスの中で安心することができるか、今、クラスの子供は安心できているのか。まずはそれを見極めるのが、担任や担当の教師の行うべきことなのです。
子供の様子をよく見る
クラスの子供が安心できているかを判断するには、まずは子供のことをよく見ることです。いつもの様子と変わりはないか、友達関係に変化はないか、あいさつの声や休み時間の遊び方は……などと、子供を見るポイントはいくつもあります。まずは「休み時間の様子を見よう」など、一つずつポイントを決めて取り組んでいきましょう。普段の場面での会話や日記の文章など、さまざまな方法で子供の様子を見ることができます。
「自分」を表現することができるようにする
子供が安心して過ごすことができるように、様子をよく見ると同時に、子供が「自分」を表現することができるようにすることも大切です。
会話や日記、係活動など、日常のさまざまな場面で、子供が自分の思いや考えを表現する場を設けるようにします。いろいろな方法を用意することで、子供が自分の得意なやり方で表現することができるようになるでしょう。ICT機器も有効に活用していきましょう。どの子供も「自分」を表現し、クラスの中で互いに受け入れられるように、教師が励ましたり認めたりすることが重要です。
心も体もすっきりしてよりよい人間関係を
思いきり体を動かすことも、子供にとっては安心して過ごすことにつながります。休み時間などを利用して、教師が子供と一緒に体を動かして遊ぶことで子供たち同士の距離が縮まり、自然とつながりが生まれます。一緒に遊んで楽しかった経験が安心感につながっていきます。
普段友達関係が気になる子供などは、教師のほうから遊びに誘って、みんなで過ごすことの楽しさを味わわせることで、よりよい人間関係を築くことができます。
イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2021年12/1月号より