日記指導〜ねらいをもって「日記」でつながる〜
教師は、子供たち一人ひとりと関わる時間をとるようにしていますが、いつもどの子供ともコミュニケーションをとれるわけではありません。そんな場合に、日記でコミュニケーションをとる方法があります。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・杉本竜太
目次
日記を始める前に
ねらいを子供に伝える
日記指導をする際に、子供に「なんのために日記指導をするのか」というねらいをはっきりさせることが大切です。ねらいとは子供とつながること。子供にもはじめに「先生は、みんなのことをよく知りたいし、みんなにも先生の思いを知ってほしい。だから、日記を書くんだよ」とねらいをしっかり伝えます。
その際に、「日記は他人には見せない」という約束をします。そうすることで、子供は安心して自分の正直な思いを日記に書くことができます。
テーマの工夫
日記にどんなことを書くのか、テーマも大切です。教師からテーマを提示することで、子供の思いをより具体的につかむことができます。
その日の授業から
その日にあった授業で、一人ひとりの子供たちがどのように受け止めているかを知ったり、教師がさらにじっくり時間をかけて考えてほしいことがあれば、日記に書くようにしたりします。
先生への相談
友達との人間関係など、いろいろなことで悩んでいる子供がいることもあります。困りごとや悩みごとがあれば書いてよいことにし、解決に役立てることができます。ただしプライベートな悩みも出てきますので、口外しないなど、約束を守ることが大切です。
子供のやる気を高めるために
子供とつながるための日記ですから、返事も当然必要になります。子供はただ日記を書くのではなく、日記を通して教師とのコミュニケーションをとっているのです。そのため、教師からの返事を楽しみにしています。
返事はできるだけ早く、次の日には必ず返すようにします。このやりとりを続けることが、子供との信頼関係を築くことにもつながります。
返事を書く際には、子供との会話をイメージするようにしましょう。日記の記述で大切だと思うところには線を引いたり、子供に考えてほしいことを教師からの質問として提示したり、「先生はあなたの思いを受け取ったよ」というメッセージが伝わるような返事にしましょう。
また、返事を書く際には、誤字や脱字があれば赤ペンで指導することで、子供に書く力を付けることができます。
イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2021年10/11月号より