【相談募集中】高学年の子供を楽しませる学級経営のコツが知りたい
高学年を受け持つ女性教諭から「みん教相談室」に相談が寄せられました。自身の学級経営について、他のクラスと比べてしまい悩んでいるそうです。この悩みに対し、千葉県公立小学校教諭・高橋朋彦先生は、高学年の特性をふまえた学級経営のコツを教えてくださいました。
目次
Q. クラスが楽しくないと子供に言われてしまいました
小学校5年生の担任をしています。産休育休を含まず考えると、13年目です。子供が小さかったため、担任以外や低学年などが多く、久しぶりの高学年です。クラスの子供は真面目でかわいく、問題も特にないのですが、他のクラスの子に「ここのクラス楽しい?」と聞かれていた子供が、「楽しくない」と言っているのが聞こえてしまいました。
隣のクラスの若い男の先生が面白そうでいいのかな、厳しくしすぎてるのかな、など悩んでしまいます。高学年の子供が楽しいと思える学級経営のコツなどが知りたいです。(さな先生・40代女性)
A. 人として向き合える高学年ならではの関わり方を大切に
さな先生。ご質問ありがとうございます。学級の子供のことが大好きな様子が伝わってきます。そんな学級の子に「楽しくない」と言われたら悲しいですよね。
結論から申し上げますと、高学年の子供が楽しいと思える学級経営のコツは、
■他の先生と比べず、さな先生の魅力で子供と向き合うこと
■友達同士の人間関係をつくること
だと思います。
さな先生の魅力で子供と向き合うこと
「魅力なんて言われても、そんなものないよ」と思ってしまうかもしれません。しかし、自分の魅力は自分では気づかないものです。私もそうでした。
ある年、かっこよくて面白く、子供たちとよく遊ぶ先生が異動してきました。子供からは大人気です。ふと、4年生の自分のクラスの女の子に、
「〇〇先生(若手の先生)みたいに人気者の先生になりたいな」
と呟くと、
「本当にそんなこと思っているんですか? 〇〇先生は確かに素敵な先生だけど、トモ先生は優しかったり、子供のことを考えてくれていたり、トモ先生には別のいい所があるんですよ!」
と、本気で説教をされてしまいました(笑)。若手の先生には若手の先生にしかない魅力があるように、私には私にしかない魅力があることを小学4年生の女子に教えてもらいました。
では、さな先生の魅力はなんでしょうか? さな先生が経験された「子育て」は大きな魅力の1つだと思います。子育てを通して気づいたことや感じたことは目の前の子供にも通じる素敵な経験です。そんな経験をもとに、
「先生の子はね、こんなことをしているんだよ。」
と、何気ない会話をしたり、
「先生の子はね、こんな悩みがあったんだよ。」
と、共感したり、
「先生はね、自分の子と同じくらいみんなのことが大好きなんだよ。」
と、気持ちを伝えたりできます。
これは、若手の男性の方ではできないかもしれない子どもとの関わり方です。そんな話をするだけで、子供たちは親しみを感じたり、しっかり話を聞いてくれたりします。
他にもさな先生の魅力はたくさんあると思います。質問の文章から、優しくて誠実な方だということが伝わってきます。そんなさな先生が、今までの人生で経験されたこと。大切にしている考え。子供への想いを伝えることで、さな先生にしかできない子供との関わり方ができると思います。
高学年は教師を教師としてではなく、人として向き合うことができます。ですから、紹介したような関わり方も高学年の子供たちは「楽しい」と感じてくれると思います。
友達同士の人間関係をつくること
さな先生の文章から、隣のクラスは「先生が楽しい」という状況なのかなと推察します。「先生が楽しい」ことも大切ですが、高学年は「友達との関係が楽しい」ことも大切です。私は、友達との関係を楽しくするために、
・学級のネガティブな言葉をポジティブな言葉に変える
・友達同士の人間関係づくりをする
・男女問わず関わり合える雰囲気をつくる
などの実践をしています。高学年は、友達同士のトラブルが増えてきます。それは、悪いことではありません。先生だけでなく、友達同士のつながり方を学ぶ大切な時期だからこそ起こるものです。高学年は友達同士のつながり方を学び、人間関係が良くなっていくことで、より楽しい学級だと感じてくれます。
高学年は教師を教師としてではなく、人として向き合うことができます。また、友達とのつながり方を学ぶ大切な時期です。だからこそ、「先生の魅力で子供と向き合うこと」「友達同士の人間関係をつくること」を大切にした学級経営をすることで、子供たちが楽しいと思える学級に育っていくと思います。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。