小1国語「くちばし」京女式板書の技術
今回の教材は「くちばし」です。小1の板書は子供たちが見てわかるように見やすい大きさで丁寧に書きましょう。ひらがながまとまって文になることがわかるようにすることも大事です。
監修/元京都女子大学教授・同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子
教材名 「くちばし」(光村図書)
目次
単元の計画(全8時間)
1 くちばしに興味をもつ。(くちばしの絵を描く。くちばしクイズをする)
2 「くちばし」を読み、大体がわかる。
3 「きつつき」の文章を読み、くちばしの様子を見つける。
4 「おうむ」の文章を読み、「問い」と「答え」の文を見つける。
5 「はちどり」の文章を読み、くちばしの役目を見つける。
6・7・8「すずめ」「かわせみ」の説明文を作る。
板書の基本
〇ひらがなを学習している時期と重なっていることを心にとめておきます。
〇黒板に書く文字の数が急に多くなります。ひらがなを指導している時期と重なるので、1文字ずつ丁寧に書くようにします。
〇絵を使う場合は絵を手がかりにして、言葉と絵をつないで考えるようにします。 入門期では、学習したことの大体を理解できることが大事です。そのために、授業の終末段階においては、大事な言葉を選んで板書します。ここで言う大事な言葉とは、学習の大体が理解できる言葉です。
〇学習の内容が「めあて」に書いていることを理解させます。どの子も一言で言える単語を書くと効果があります。
〇促音や句読点は、入門期の子供の中には、なじまない子がいることを前提にして、注目させてから書くようにします。
〇教科書の文章を板書すると、大事な言葉や文を書いているという理解につながります。これから続くノート指導に役立ちます。
板書のコツ(4/8時間目)
板書のコツ①
「ひらがなの指導」のときに大事にしてきた「とめ・はね・はらい」を伝えながら、題名である「く・ち・ば・し」と書きます。続いて、「くちばし」と声に出して読ませます。この指導方法は、1文字1文字の文字(ひらがな)が物の名前や語句になるという基礎的な学習内容です。
板書のコツ②
長い文である「めあて」や「もんだい」は、書く前に口頭で伝えます。そして、読点でいったん書くことを止めて、声に出して読ませます。最初は、1文字ずつ、続いて文節で読ませる過程で、声に出すことに慣れさせ、再び、板書を続けるというようにします。この過程で、板書を集中して見るという習慣が育っていきます。
板書のコツ③
「めあて」が「もんだいとこたえのぶんをみつけよう」です。「こたえのぶん」ということは、初めて学習する内容です。「問題」と「答え」の違いを子供は理解できます。「答え」は「おうむ」であることもわかります。しかし、答えは教えても「文」は教えていないことになります。そのため、「これは、なんのくちばしでしょう。」と句点まで板書します。これから、繰り返し出てくる「文」の見つけ方です。
※黒板に貼っている「くま」「かえる」のカード(絵)は、学習活動の内容をわかりやすくするために「考える時間」(かんがえるさん・蛙の絵)「書く時間」(かくまさん・熊の絵)としてカードで示したものです。
板書のコツ(5/8時間目)
板書のコツ①
板書の形は、単元を通して同じ形にします。初めに、日付を書きます。次に題名を書き、めあてを書きます。単元のどの時間も、同じ形にすると勉強の仕方を理解できるからです。大事な言葉には、色チョークで丸や線を付けると目立つとともに、繰り返すことで、「大事なことが書いてある」ということを子供は学びます。
板書のコツ②
板書は、「問い」のところと「答え」のところがわかるように黒板全体を使います。鳥のくちばしの説明は、「これは、なんのくちばしでしょう。」という問いの前に「ほそくてながい」という説明があります。また、「これは、はちどりのくちばしです。」という答えの後に、役目の説明があります。クイズではなく、文を読むといろいろと新しいことを知ることができることを板書に示します。右が問い、左が答えの説明であるということがわかるようにします。
板書のコツ③
挿絵やカードを効果的に使うと、集中して学習する雰囲気が生まれます。例えば、「ほそい」「ながい」という言葉を知っていても、事柄を理解することは、1年生にとってむずかしいものです。具体的な、絵やカードは理解を深める手がかりになるように活用すると、教科書と同じことを勉強しているという安心感をもつようになります。文をそのまま板書すると、音読にも役立ちます。
構成/浅原孝子